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「日台連合」で起死回生のシャープ、背後にアップルTVの存在も

[東京 28日 ロイター] シャープ6753.Tが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業2317.TWグループと提携するのは、液晶パネル工場の減損リスクや財務悪化懸念など、同社の課題を一挙に解決する起死回生の効果がありそうだ。「日台連合」は、テレビ事業に参入間近とされる米アップルAAPL.Oの存在が大きなチャンスになる可能性がある。

3月28日、シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループと提携するのは、液晶パネル工場の減損リスクや財務悪化懸念など、同社の課題を一挙に解決する起死回生の効果がありそうだ。写真はラスベガスのショーでシャープのフラットパネルテレビ展示を準備する作業員。2009年1月撮影(2012年 ロイター/Steve Marcus)

一方で、長期的には台湾メーカーを筆頭株主に迎えることによる新たなリスクも指摘されている。

シャープは鴻海との提携で、グループ4社から669億円の出資を受けるほか、鴻海の郭台銘(テリー・ゴー)会長に堺工場の46.4%の株式を660億円で売却することで合計1329億円を調達する。これは同社の時価総額の25%に相当。今期は過去最大の2900億円の最終赤字の見通しで、12月末に29.1%だった自己資本比率が一段と毀損する恐れがあったうえ、2013年9月に予定の2000億円の転換社債(CB)償還による財務懸念が出ていた。

また、大阪府堺市の液晶パネル工場を鴻海と共同運営することで、同工場が生産するパネルの50%を鴻海が引き受ける。今年から同工場はパネル市況の低迷で5割の減産に踏み切っており減損リスクが出ていたが、記者会見した奥田隆司次期社長は「堺工場はフル操業に近づくので減損リスクはない」と述べた。

<アップルTVの受注にめどか>

さらに日台連合は、アップルが開発中とされるテレビが大きなチャンスになりそうだ。アップルは自社で工場を持たずに、iPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)の組み立てをEMS(電子機器の受託製造)に委託しているが、テレビの製造もEMS大手の鴻海が受託するのが順当。ただ、鴻海傘下の液晶パネルメーカーの奇美電子(チーメイ・イノラックス)3481.TWではアップルが求めるパネルの品質基準を満たせない可能性が高い。一方でシャープは、液晶パネルで世界最先端技術がある。シャープと鴻海の連合は、アップルのテレビ向けの受注で有利な組み合わせになり得る。

シャープと鴻海の日台連合は、韓国サムスン電子005930.KSへの対抗で結成された色が濃いが、ある業界関係者は「アップルのテレビ向け液晶パネルでは、シャープとサムスンの提案合戦が続いていたが、日台連合が発表されたということは受注にめどが立った可能性が高い」との見方を示していた。

<技術流出の懸念残る>

一方で、アップルがテレビに参入することは、テレビメーカーのシャープにとっての脅威を意味する。ある市場関係者は「アップル向けのパネル供給で一時的に潤ったとしても、長期的に見ればマイナスの方が大きい」(外資系証券アナリスト)と指摘していた。シャープが強みを持つ国内のテレビ市場にアップルが参入すれば「シャープはアイフォーンで携帯電話のシェアが奪われたが、同じようにテレビのシェアを失う可能性がある」(同)という。シャープの今期の携帯電話販売は800万台の計画で、11年3月期の974万台、10年3月期の1054万台からジリ貧の一途をたどっている。

また日台連合で堺工場を共同運営することで、技術流出の懸念が発生する。鴻海傘下の奇美電子とシャープは競合関係が継続するが、シャープは常に先端の技術を開発することで生き残りをかけてきたメーカーだ。シャープの奥田次期社長は「特許はわれわれが保有するので心配ない」としているが、日々の運営で技術者が交流する中で、どこまでノウハウの流出を防げるかは不透明だ。

(ロイターニュース 村井令二 編集:田中志保)

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