[ワシントン 1日 ロイター] 米労働省が1日発表した5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が6万9000人増と、昨年5月以降で最も低い伸びとなったほか、失業率は8.2%に上昇、昨年6月以来の悪化となり、米連邦準備理事会(FRB)に対する金融緩和圧力が今後強まる可能性もあるとみられている。
市場関係者の見方は以下の通り。
●世界的な景気減速が顕著に、FRBの行動強く促す
<RBCキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏>
海外市場で発表された5月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値が悪化したこともあり、今回の雇用統計の結果は明らかに望ましいものではない。世界的に景気減速期の真っ只中にあることが次第に顕著となってきている。
統計内容は米連邦準備理事会(FRB)による行動を強く促し、FRBとしても対応せざるを得ないと感じる公算が大きい。これまで株価動向がFRBの行動を阻んできたが、他のすべての要件が満たされるなかで、FRBの政策行動にとり最後のハードルだった株価も足元下落している。
●米経済も他地域と同様に減速
<スチュワート・キャピタル・アドバイザーズ(ペンシルバニア州)の社長兼最高投資責任者(CIO)、マルコム・ポリー氏>
悪い内容で、景気減速を示しているようだ。米国経済は、中国の景気減速や欧州問題とは無関係と信じる向きもあるが、そうした見方は近視眼的なものだろう。米国経済も世界の他地域と同様、減速している。
●次回FOMCで金融緩和される確率高まる
<ジェフリーズのマネーマーケット・エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏>
雇用者数の伸びは弱く、前回4月の内容も下方修正されたほか、時間当たり賃金は低迷、週間労働時間は縮小した。インフレが現時点で目標を下回っていることを考え合わせると、米連邦準備理事会(FRB)が今月19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金融緩和に踏み切る確率は高まったとみられる。
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