[ワシントン 20日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は、6月末で終了する予定だった「ツイストオペ」を2012年末まで延長することを決定した。
事実上のゼロ金利政策を「2014年終盤」まで継続する方針を再表明。バーナンキ議長は記者会見で、景気回復支援に向け一段の措置を講じる姿勢を示した。
連邦公開市場委員会(FOMC)は20日、長期金利を抑制することを目的とした「ツイストオペ」を年末まで延長することを決めた。償還までの期間の短い債券を売却して同規模の期間の長い債券を買い入れ、保有証券の残存期間を長期化を図る措置をさらに2670億ドル規模で実施する。ツイストオペを延長するにあたり、ポートフォリオ上で満期を迎えた国債の償還資金の再投資を停止する。FOMC声明は、ツイストオペオペの延長により「長期金利に押し下げ圧力がかかり、広範な金融状況を一段と緩和的にする一助となる」としている。
バーナンキFRB議長はFOMC後の記者会見で、長引く欧州債務危機が米経済活動や雇用情勢に悪影響をもたらしていることに懸念を示し、「労働市場に継続した改善が見られない場合、追加措置が必要になる」と発言。「一段の措置を講じる余地が依然としてかなりあり、そうした用意がある」と述べた。
今回発表された経済見通しでは、2012、13、14年の国内総生産(GDP)伸び率予想が下方修正された。12年については4月時点の2.4─2.9%から1.9─2.4%に引き下げられた。
失業率は年内を通じて8%を上回る水準に高止まりすると予想し、改善のペースは従来の想定よりも緩慢になるとの見通しを示した。
FRBの発表を受けた市場の反応はまちまちで、米株価は不安定に推移した後、ダウ工業株30種.DJIとS&P総合500種.SPXが小幅安で引けた。米国債価格は30年債を除き総じて下落。ドルは対ユーロで下落した一方、対円では上昇した。
エコノミストの間では、FRBがいずれ、より積極的な国債買い入れプログラムに踏み切る可能性が高いとの見方が出ている。
TDセキュリティーズのストラテジスト、ミラン・マルレーン氏は、量的緩和第3弾が必要かどうかは今後の経済指標次第との見方を示した。
FOMC後にロイターが米プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)17社を対象に実施した調査によると、FRBが量的緩和第3弾(QE3)を実施する確率は50%と、6月1日調査と変わらずだった。
<景気認識を下方修正>
FOMC声明は、経済について「緩やかに拡大している」との認識を示す一方、雇用の伸びは最近の数カ月で鈍化したと指摘した。また消費支出の動向にも懸念を示した。
フェデラルファンド(FF)金利に関しては、少なくとも2014年終盤まで異例の低水準に据え置くとの見通しをあらためて示した。
米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁は、ツイストオペ延長に異議を唱え、反対票を投じた。
FRBの経済見通しによると、FOMCメンバーが予想する利上げ開始時期は、2015年が19人中6人だった。
一連の米経済指標は、雇用の伸び鈍化、製造業生産の低迷、消費者信頼感の低下を示している。第1・四半期の成長率は雇用回復には力不足で、第2・四半期もさほどの改善は予想されていない。加えて欧州で続くソブリン債務不安、国内では年末に減税措置が失効する、いわゆる「財政の崖」問題も米経済に影を落としている。
バーナンキ議長は会見で、FRBの有する手段が枯渇しているとの見方や、過去の国債買い入れは有効でなかったのではとの指摘について「われわれが有している手段は非標準的ではあるものの、依然として、一段と緩和的な金融情勢を実現するとともに、景気を支援し、一段と正常な経済情勢への回帰を支援することが可能だ」と説明した。
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