[マドリード 21日 ロイター] スペインは21日、国内銀行の外部監査結果を公表し、景気の大幅な悪化を想定したストレスシナリオの下で510億─620億ユーロ(640億─780億ドル)の追加資本が必要になると明らかにした。
オリバー・ワイマンとローランド・ベルガーが担当していた外部監査の第1段階を終えたことで、欧州からの銀行支援に道を開いた格好。
スペインはユーロ圏各国と合意している最大1000億ユーロの国内銀支援について、今回の結果を基に支援規模を決定し、正式要請する。
スペインのデギンドス経済相は同日、銀行支援の正式要請を数日以内に行うことを明らかにした。
スペイン中銀副総裁で銀行再編基金(FROB)の責任者を務めるフェルナンド・レストイ氏は記者会見で、資本必要額は「ユーログループと合意した規模を下回っている」とし、再編を実施する上で十分な余裕があるとの見方を示した。
監査のストレスシナリオでは、国内総生産(GDP)が今年4.1%減、来年2.1%減に落ち込んだ場合を想定し、求められるコアTier1(狭義の中核的自己資本)比率を6%に設定した。
国際通貨基金(IMF)の基本シナリオは、GDPが今年1.7%減、来年が0.3%減となっている。
スペイン政府は、経営状況が悪化している銀行の清算は行わず、再編で乗り切りたい考え。ただ欧州委員会のアルムニア競争政策担当(副委員長)はこれまで、少なくともスペイン銀1行を清算する可能性があるとの見解を示している。
スペインのサンタンデール銀行SAN.MC、BBVABBVFA.MC、カイサバンクCABK.MCの国内大手3行については、厳しいストレスシナリオ下でも資本不足に陥らなかったとしている。
レストイ氏は「追加資本が必要な銀行は、すでにFROBの管理下に置かれている銀行に集中していることを示唆しているようだ」とし、問題はすでに政府が行動に着手している一部の小規模銀に限られるとの見解を示した。
さらに詳しい監査結果については、9月に明らかになる見通し。
第2次監査では、各行のリスク管理プロセスや資産に関するより詳細な評価が行われ、これに基づき、政府は銀行別の資本ニーズや、資本注入の方法を株式取得あるいは融資を通じたものにするかなどの詳細を決めることが可能となる見込み。
インターマネー・バロレスのチーフエコノミスト、ホセ・カルロス・ディエズ氏は、監査結果について「第2次監査の結果を待たないと、全体像はつかめない。銀行別の具体的なニーズが示されていないため、特定の銀行の状況について知ることができない」と指摘した。
一方、結果を評価する声も聞かれた。
IGマーケッツのアナリスト、ダニエル・ピンガーロン氏は「1社の監査では資本ニーズは予想レンジの下限付近となり、もう1社の監査ではさらに低いニーズが示された。これを踏まえると、データはポジティブな結果だ」と語った。
*内容を追加して再送します。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」