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小沢氏ら50人が離党届、民主党分裂

[東京 2日 ロイター] 小沢一郎元代表ら消費増税法案に反対する民主党の議員50人が2日、離党届を輿石東幹事長に提出した。小沢氏は記者会見で「あす、あさって中にも新党結成について皆(離党した支持グループ)の合意を得たい」との考えを示し、民主党の分裂は現実のものとなった。

7月2日、小沢一郎元代表ら消費増税法案に反対する民主党の議員50人が、離党届を輿石東幹事長に提出した。写真はロイターのインタビューに応じる小沢氏。都内で3月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

この日の段階では離党届は衆議院で38人、参議院で12人にとどまり、衆議院での過半数割れなどは避けられる状況となったが、野党側は一体改革法案成立後の解散を一斉に要求、政権運営への打撃は避けられない。野田佳彦首相は夕方、「多くの方に心配いただいていることをお詫びしたい」とした上で、「参議院で一体改革関連法案を成立させるために責任を果たしていきたい」と語った。

<衆院での単独過半数、参院の第一党は維持>

山岡賢次民主党副代表が2日午後、民主党議員の離党届を輿石東幹事長に提出した際には、52人とされていたが、辻恵衆議院議員と階猛衆議院議員がその後、離党する考えのないことを明らかにし、離党届の提出は結果として50人にとどまった。

衆議院の離党者数が38人なら、これを除く民主党の議席は251となり、与党での単独過半数は維持される。参議院でも離党者数が12人にとどまれば、民主党の議席は92となり、自民党などの会派の86議席を上回り、第一党を維持できる。

また、衆議院での離党者に消費税反対などで同調する新党きづなと新党大地の議員を合わせても、内閣不信任案を提出できる51議席には届かない。

野田政権にとってひとまず最悪の事態は避けられる形となるが、政権運営が厳しくなるのは避けられない。山岡氏はフジテレビの番組で「今週中にも数人が(離党者に)加わることになっている」と発言、さらにその先にも離党者が出るとの見通しを示している。衆議院で離党者がさらに1人出れば、新党きづなと新党大地を合わせれば51人となり、内閣不信任案を提出できる状況となる。

<処分は首相と幹事長に一任、遠くない将来に方針>

離党届提出を受けて開かれた民主党の役員会では、消費増税法案採決への造反だけでなく、離党届を提出した議員への処分も野田首相と輿石幹事長に一任することが確認された。輿石幹事長は離党届を出した議員を慰留する考えはないと明言。離党届を受理するか、除名にするかについては答えなかった。野田首相は包括的方針を遠くない将来に出す考えを示した。

ただ、野田首相はこの役員会で「危機というよりも日本の政治の分岐点になるという大きな問題になりかねない。この大きなヤマをきちんと皆さんと一緒に乗り越えていきたい」と話すなど、危機感をあらわにした。

その後、野田首相は記者団に対し、「消費増税関連法案を通すという責任を果たすのが、私と幹事長の責任だ」と語り、法案成立への意欲をあらためて示した。

<一体改革関連法案成立後の解散求める野党、問責決議案提出も>

これに対し、野党からは「これによって混乱が続く。法案が通ったら国民に信を問う責務が生まれた」(石原伸晃自民党幹事長)、「分裂を引き起こしたということで、政権交代の国民の信はもはやなくなった。一体改革法案を早期成立させて、首相は信を問う必要がある」(山口那津男公明党代表)などと、消費増税法案成立後に信を問うべきだとの声が一斉に出ている。

自民、公明は3党で修正合意した一体改革関連法案の審議には協力する考えを示しているが、その後の特例公債法案などの審議で協力を得られる見通しは立っていない。

参議院での法案審議も難航する可能性がある。自民党の山本一太参議院政策審議会長は「一体改革法案は参議院でも成立させるのが筋だが、3党合意でのわれわれの考えと違う解釈を民主党がすれば、法案不成立もあり得る」との考えを示し、「(自民党としては)会期末には問責決議案を出すことをにらんで戦略を組み立てる」と語っている。

(ロイターニュース 基太村真司、吉川裕子、石田仁志)

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