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バーナンキ米FRB議長のジャクソンホール会合での講演要旨

[31日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は31日、米ワイオミング州のジャクソンホールで講演を行った。発言内容は以下の通り。

8月31日、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は、米ワイオミング州のジャクソンホールで講演を行った。写真はワシントンのFRBで22日撮影(2012年 ロイター/Larry Downing)

<経済上の課題>

代替的な政策措置のコストとメリットを評価する上で、米国が直面する経済上の大きな課題を見失うべきではない。雇用市場の停滞は特に深刻な懸念事項だ。非常に困難な状況をもたらし国民の能力を無駄にするだけでなく、高止まりしている失業率によって経済が何年にもわたって構造的な打撃を受ける可能性があるからだ。

過去5年間、FRBは経済成長と雇用創出を促進する措置を講じてきた。特に雇用市場の一段の改善を実現することは重要だ。物価が安定した状況での景気回復の強化と雇用市場の持続的な改善に向け、FRBは、政策手段の不透明性と限界を十分考慮しながら、必要に応じて追加政策緩和を実施していく。

<緩和政策は成果上げた>

本日わたしが説明した金融緩和政策は伝統的・非伝統的措置ともに、物価安定の維持に寄与すると同時に、経済回復を支援する重要な効果をもたらした。

デフレリスクがたびたび懸念される一方で、過剰な政策緩和がインフレを招く恐れがあるとの警告を何度か受けながらも、インフレ率は(商品相場の振れを主因とする一時的に変則的な動きを除いて)、連邦公開市場委員会(FOMC)が目標とする2%近辺で推移し、インフレ期待も安定してきた。

製造・住宅・貿易など主要部門は強さを増し、企業のソフトウェアや設備への投資は再び上向いた。金融・クレジット市場の状況も改善した。

<非伝統的金融政策実施に当たってのハードル>

要するに、非伝統的金融政策の費用と効果は不確かだ。恐らくは、経済や金融市場の状態、さらには以前FRBが行った資産買い入れの程度といった要因によって、時間と共に変わる。さらには、非伝統的政策には、伝統的政策にさほど関係がないかも知れないコストがかかる可能性がある。

これらの理由から、非伝統的政策を実施する際のハードルは、伝統的政策の実施時よりも高くする必要がある。同時に、注意深く検討すれば、非伝統的政策のコストは管理できるようにみえる。このことは、経済状況が正当化する場合にそうした政策の追加実施(という選択肢)を排除すべきでないことを示唆している。

<現在の経済状況>

経済情勢は最近改善の兆しを示しているものの、明らかに満足のいく状態からは程遠い。失業率は依然、大半のFOMCメンバーが長期的に正常とみなす数値を2%ポイント強超える水準にあるほか、労働参加率やパートタイム労働者数など他の指標も、労働力の活用が引き続き極めて低い水準にとどまっていることを示している。

さらに、労働市場の改善は極めて遅いペースにとどまっている。過去のケースを踏まえると、これまでに確認されている失業率の低下は、経済成長率が長期トレンドを上回って初めて継続していく公算が大きい。実際、過去数四半期に見られた経済成長は精彩を欠いており、1月以降、失業率に改善が見られなくても驚きではない。経済が一段と速いペースで拡大しない限り、失業率は当面の間、最大雇用と一致する水準を大幅に超え高止まりする公算が大きい。

<成長抑制要因>

鈍い回復原因をより長期の構造的要因に求めるよりも、現在の伸び鈍化はいくつかの逆風によってもたらされているとみている。

まず、住宅部門に改善の兆しが見えるものの、住宅活動は引き続き低水準にあり、(景気)サイクルの現段階で通常予想されるよりも回復への寄与度が相当小さい。

2番目としては、連邦や州・地方レベルの財政政策が、経済成長のペースに大きな逆風となっている。このところ税収がある程度改善したにもかかわらず、州・地方政府は依然厳しい財政状況に直面し、実質支出や雇用を削減し続けている。連邦レベルでは、実質調達も減少している。いわゆる「財政の崖」の解消や、債務上限の引き上げなど財政政策をめぐる不透明感があり、こうした影響の大きさは判断しにくいが、おそらく活動を抑制している。財政政策担当者らは、連邦予算を中長期的に持続可能な軌道に乗せる、信頼できる計画を整えることが重要だ。ただ、政策担当者は回復を危うくしかねない短期の、急激な財政縮小を避けるよう注意する必要がある。

<非伝統的な金融政策の成功と限界>

米国や他の先進国で、非伝統的な金融政策の導入からすでに数年経過していることから、こうした政策がどのように機能するか、われわれはすでに知っている。

これまでの経験に基づくと、こうした政策には効果があり、実施されなかった場合2007─09年のリセッション(景気後退)は一段と深刻化し、現在見られる回復も現状より緩慢なものになっていたことは明確だ。

非伝統的な政策が、経済活動と物価上昇に及ぼす効果の推計は不明確だ。さらに、非伝統的な政策の実施に伴うコストは、標準的な政策に通常伴うコストを超える。この結果、非伝統的な政策の実施に対するハードルは、標準的な政策よりも高くなる。

さらに現在の文脈においては、非伝統的な政策は、より一般的に金融政策の限界に直面する。その限界とは、より広範でバランスのとれた経済政策の組み合わせを用いて達成できることを、金融政策のみでは達成できないということだ。また特にその国が直面する財政、および金融上のリスクを、金融政策で中和することはできないということだ。さらに、明らかに経済への成果を微調整することもできない。

*内容を追加して再送します。

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