[サンフランシスコ 12日 ロイター] 米アップルAAPL.Oは12日、新型スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)5」を発表した。2007年の初代アイフォーンから5代目となる新機種の導入により、競争が激化するスマホ市場でライバルの攻勢をかわしたい考え。
画面の大きさは4インチと、従来の3.5インチから拡大する一方、「アイフォーン4S」と比べてさらに薄く、20%軽量化した。「レティナ」液晶ディスプレーを搭載し、第4世代(4G)通信規格「LTE」に対応している。
バッテリー寿命も長期化し、4Gで8時間のウェブ閲覧が可能としている。
米国では、ベライゾン・コミュニケーションVZ.N、AT&TT.N、スプリント・ネクステルS.Nが取り扱いを行う。
14日から事前予約の受け付けを開始し、21日に発売する。
価格は容量16ギガバイト(GB)の機種が199ドル、32GBが299ドル、64GBが399ドルとなる。
年末までには世界100カ国で入手可能になるとしている。
デスティネーション・ウェルス・マネジメントのマイケル・ヨシカミ最高経営責任者(CEO)は「バッテリー寿命が延びる一方で、さらに薄型かつ大きな画面を実現することは、非常に素晴らしい技術の進歩だ」と述べた。
アナリストは今月だけで、新型アイフォーンの販売台数が1000万─1200万台に達すると見込んでいる。
またアイフォーン5では、「A6」プロセッサを搭載。従来機よりも処理速度を2倍に速めた。
8メガピクセルのカメラも内蔵され、より高画像の写真が撮影できるとしている。
ティム・クック最高経営責任者(CEO)は新型アイフォーン発表の場で、アップストアで取り扱うアプリの数が70万以上と、業界最大に達したことを明らかにした。
アップルはまた、カナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)RIM.TOが独占していた法人向け市場でも着実に足場を固めており、クックCEOによると、「フォーチュン500」に入るほとんどがアイフォーン、もしくはタブレット型パソコン「iPad(アイパッド)」を利用、もしくは試験的に使用している。
この日の発表は事前の予想通りの内容で驚きはほとんどなく、すでに過去最高水準にあるアップルの株価をさらに押し上げる展開とはならなかった。
デスティネーション・ウェルス・マネジメントのヨシカミ氏は「進化した形であり驚くような点はないが、十分満足できる内容だと思う」と述べた。
年末商戦を控え、他の業界アナリストの関心は、早くもアップルの新製品に向いている。今回発表はなかったが、市場ではこれまでもたびたびテレビ装置や小型のアイパッドについてのうわさがささやかれている。
キャピタル・アドバイザーズ・グロース・ファンドの共同マネジャー、チャニング・スミス氏は「10─12月期には小型アイパッドが投入されることを期待している。そうなれば株価はさらなる上昇が期待できる」と述べた。
12日のアップルの株価は1.4%高の669.79ドルで引けた。
*内容を追加して再送します。
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