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ハリケーン「サンディ」米東部に上陸、金融・政府の機能マヒ

[ニューヨーク/レホーボスビーチ(デラウェア州) 30日 ロイター] 米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、巨大ハリケーン「サンディ」は29日夜(日本時間30日午前)、ニュージャージー州南部の大西洋岸に上陸した。

10月30日、巨大ハリケーン「サンディ」が米東部に上陸し、公共交通機関が止まり、世界の金融の中心であるニューヨークも取引所の取引が中止されるなどマヒ状態に陥った。写真は停電したニューヨークの街並み(2012年 ロイター/Andrew Kelly)

NHCによると、サンディは上陸前に温帯低気圧に変わったが、最大風速は一時、毎時129キロに達し、米国を襲った過去最大級のハリケーンとなった。

国内では550万人以上が停電の影響を受けており、100万人以上に避難勧告が出た。

公共交通機関が止まり、世界の金融の中心であるニューヨークも取引所の取引が中止されるなどマヒ状態。投票が間近に迫った大統領選挙活動にも影響が出ている。

現時点で、米国では少なくとも13人が死亡。

ニューヨーク市内は広範な地域で冠水しており、警察は市内で少なくとも2人の死亡を確認。マサチューセッツ州でも悪天候による事故で1人が死亡した。

カナダのトロントでも飛んできた物に当たった女性1人が死亡した。

ニューヨークの電力会社コンソリデーテッド・エジソンED.Nによると、市内では「記録的な大停電」が発生。58万8000世帯が停電している。マンハッタンでも25万人が停電の影響を受けているという。

フィラデルフィアでも、43万6000世帯以上で停電が起きている。

ある災害予測会社は、「サンディ」による経済損失が200億ドルに達すると試算した。保険でカバーされるのは、その半分という。

米株式市場は29日に続き30日も取引中止される。取引が中止されるのは、2001年9月11日の同時多発攻撃以来。ワシントンの政府機関は30日も閉鎖される。東海岸の学校は休校となっている。

<株式市場休場、NY連銀はオペ延期>

サンディの接近を受け、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、ナスダック(米店頭株取引)は29日の取引を中止。債券市場は半日取引となった。

NYSEを運営するNYSEユーロネクストNYX.N、ナスダック市場を運営するナスダックOMXグループNDAQ.Oはともに30日も取引を中止すると発表した。

米証券業金融市場協会(SIFMA)も、30日のドル建て債券市場取引の終日中止を勧告した。

NYSEユーロネクストは、現時点でニューヨーク証券取引所自体に損害は出ていないと表明。株式取引の再開に向け、新たな緊急対応計画の実施に動いていると明らかにした。

NYSEユーロネクストとナスダックOMXは、状況が許せば31日に取引を再開する方針を示した。債券取引も31日再開が期待されている。

31日は月末で、トレーダーがポートフォリオの価値評価をする重要な日。市場関係者の間では、ハリケーンによる公共交通機関や電力などライフラインへの影響が予想できないため、31日に市場が開くかどうかが不安視されている。

ニューヨーク連銀は、多くの米金融市場が休場となっていることを受け、30日に予定している国債買い入れオペを延期すると発表した。

30日は、2036年2月から2042年8月までに償還を迎える国債、17億5000万─22億5000万ドルを買い入れるオペを実施する予定だった。

NY連銀は、国債の売却・買い入れオペは31日には再開されるとの見通しを示している。

労働省は、10月の米雇用統計を予定通り11月2日に発表する方針としている。

<大統領選挙活動にも影響>

オバマ大統領は、ハリケーン対応にあたるため、30日に予定していたウィスコンシン州での遊説を取り止めた。

ホワイトハウスは声明で「大統領は30日、ワシントンにとどまり、ハリケーン『サンディ』の影響を注視しつつ対応する」とした。

ロムニー共和党候補も、30日に予定していたアイオワ、フロリダ両州での遊説を取り止めると発表した。

両候補の遊説地はサンディの予測進路からは外れているが、オバマ大統領が「サンディ」への対応に注力することを理由に遊説を中止していることもあり、選挙運動を継続することで国民に「無神経」との印象を与えることを避けたい考えとみられる。

<原発への影響>

米原子力規制委員会(NRC)によると、サンディの影響で付近の水位が上昇していることから、米発電大手エクセロンEXC.Nは、ニュージャージー州のオイスタークリーク原子力発電所(615メガワット級)に警報を発令した。

警報は、NRCが定める4段階の緊急事態の中では下から2番目の深刻度となる。 同原発については元々、燃料交換のために運転を停止している。

NRCスポークスマンは水位上昇がこのまま続き、原子炉のサービス水ポンプに影響が及ぶ事態となった場合は、必要に応じて消防ホースからの水を使って使用済み燃料プールの冷却を行うとしている。

NRCスポークスマンはまた、米電力大手コンステレーション・ニュークリア・エナジー・グループが29日、ニューヨーク州にあるナインマイル・ワン原発(630MW)の運転を停止したと発表した。

グリッドへの電力供給に不具合が生じたことが理由と説明したが、サンディとの関連があるかどうかは明らかにしなかった。

米東海岸の製油施設、パイプライン、主要な港湾の3分の2も閉鎖に追い込まれた。

*内容を追加します。

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