[ワシントン 29日 ロイター] 米商務省が29日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)改定値は前期比年率で2.7%増と、速報値の2.0%増から上方修正された。企業の在庫補充が押し上げ要因となった。ただ、個人消費支出や民間設備投資は下方修正され、基調的な回復の弱さも示された。
エコノミストの間では2.8%増への上方修正が予想されていた。
第3・四半期のGDPは2011年第4・四半期以来の強い伸びとなったものの、在庫増の影響は第4・四半期中に失われる公算で、堅調な回復の兆しとは言いがたい。
米経済は年明けに減税失効と歳出の自動削減が重なる「財政の崖」問題にも直面しており、回避できなければ再びリセッション(景気後退)に陥る可能性もある。
コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの首席市場アナリスト、オマー・エシナー氏は「伸びの大半は在庫変動によるものだった」とし、「実際のGDPはこれよりも若干低い水準にあるとみて市場はきょうの統計を重視しない可能性がある」との見方を示した。また、個人消費支出が下方修正されたことも懸念されていると述べた。
在庫変動は第3・四半期のGDP伸び率を0.77%ポイント押し上げた。速報段階では押し下げ要因とされていた。
在庫変動を除いた成長率は1.9%と、速報値の2.1%から下方修正され、需要の低迷を浮き彫りにした。
純輸出がより小幅なマイナスに修正されたこともGDP伸び率を0.14%ポイント押し上げた。ただ、中国や欧州など世界的な需要の弱さを踏まえると、堅調な輸出が持続する可能性は低いとみられている。
個人消費支出は速報値の2%増から1.4%増に下方修正され、2011年第2・四半期以来の弱い伸びとなった。
民間設備投資は速報値の1.3%減から2.2%減へと大きく下方修正。
民間住宅投資の伸びも速報段階の14.4%から14.2%に引き下げられた。
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