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次期米FRB副議長、前イスラエル中銀総裁に就任要請=関係筋

[エルサレム 11日 ロイター] ジャネット・イエレン氏の米連邦準備理事会(FRB)議長就任に伴い空席となる副議長ポストをめぐり、スタンレー・フィッシャー前イスラエル中銀総裁(70)が就任の要請を受けていることが11日、関係筋の話で分かった。

12月11日、米FRB副議長ポスト人事をめぐり、スタンレー・フィッシャー前イスラエル中銀総裁(写真)が就任の要請を受けていることが関係筋の話で分かった。ワシントンで11月撮影(2013年 ロイター/Jonathan Ernst)

この関係筋は匿名を条件に「フィッシャー氏は就任の要請を受けた」と述べた。ホワイトハウスとFRBはいずれもコメントを差し控えている。

イエレン副議長は来週にも上院本会議で次期議長への指名が承認される見通しで、1月に任期を終えるバーナンキ議長の後任となる。

フィッシャー氏は有力金融エコノミストして世界的に多大な尊敬を集めており、マサチューセッツ工科大学の教授時代には、バーナンキFRB議長やドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が同氏の教えを受けた。

今年6月まで8年間務めたイスラエル中銀総裁時代には、世界的な経済危機の影響を最小限に抑えたと評価されている。イエレン副議長の後任に就けば、FRB外部出身者として新たな視点をもたらす一方で、一定の継続性も提供するとみられている。

ジェフリーズのエコノミスト、トーマス・サイモンズ氏はフィッシャー氏について「様々な問題についてバランスのとれた学術的アプローチをとることから、『タカ派』や『ハト派』といった描写は難しい」と指摘した。

ただ、バーナンキ議長の金融経済に対する考え方に影響を及ぼしたことを踏まえると、フィッシャー氏の起用はFRBにとって移行期に一定の継続性を確保することになるとの見方を示した。

また、調査会社コーナストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は、フィッシャー氏は「金融安定問題についてはイエレン氏よりも敏感である可能性がある」とし、イエレン氏をうまく補佐するとの見方を示した。

フォワードガイダンスについてフィッシャー氏は、中銀が過度に今後の方針の詳細を示すことに批判的な見解を示しており、イエレン氏やバーナンキ氏が将来の利上げ時期を失業率やインフレ水準と結びつけていることを踏まえると、FRB内にある程度の緊張が生まれるかもしれない。

メシロー・フィナンシャル(シカゴ)の首席エコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「フィッシャー氏はコミュニケーションできることとできないことをよく認識しているが、FRBがコミュニケーションに関して常にそこまで配慮しているか疑問だ」と語った。

11月8日に開かれた国際通貨基金(IMF)のフォーラムでフィッシャー氏は、FRBの非標準的政策の効果を強く確信しているとの考えを示唆した。

同氏は「われわれが今回学んだのは、(金利の)下限がゼロになっても金融政策の有効性は必ずしも失われず、中銀の金利が事実上ゼロになっても経済を引き続き支援するために中銀としてできることは多く存在するということだ」と発言。

そのうえで、今回の危機でFRBが実施した量的緩和プログラムでは、効果をめぐり意見が分かれることが明らかになったが、非標準的な措置に効果がないと結論付けることは非常に難しいとし、流動性の供給や、長期金利など、中銀金利以外の金利を誘導することで効果を生んでいるように見えると指摘した。

フィッシャー氏はイスラエル中銀総裁の2期目の任期を2年残して6月に退任。9日にテルアビブで行われた会議で今後の去就について質問された際、「少なくとも6カ月経過してから要請を受けるようにとのアドバイスを受けている。あと3週間でその6カ月の期間が過ぎるため、決断の時が近づいているもようだ」と述べていた。

同氏は世界銀行の首席エコノミストや国際通貨基金(IMF)の筆頭副専務理事などを歴任。IMFの筆頭副専務理事として、1990年代のメキシコ通貨危機やアジア通貨危機の対策の先頭に立った。

2011年にはIMF専務理事候補に挙がったが、年齢が問題となり実現しなかった。ザンビア生まれでイスラエルと米国の国籍を持つ。

イスラエル中銀総裁時代の2008年には、景気後退(リセッション)回避に向け主要国に先駆け利下げを実施。1年後には早くも利上げを行った。ソシエテ・ジェネラルの新興市場国部門代表、ベノイト・アン氏は「先を見越して行動し、必要な時にはハト派に傾くこともできる人だ」と述べた。

同氏がFRB副議長就任の要請を受け入れれば、米議会上院の承認が必要になる。上院で指名が承認され、同氏がイエレン氏のFRB議長就任と同時に副議長に就任すれば、FRBの歴史上初めて議長と副議長が同時に就任することになる。

イエレン氏の後任をめぐっては、一部エコノミストや市場関係者の間で、スタインFRB理事が昇格するとの観測も出ていた。フィッシャー氏が副議長に就任すれば、スタイン理事は退任し、ハーバード大学で再び教鞭をとる可能性があるとの見方も出ている。

*内容を追加します。

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