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焦点:危機でも底堅いロシア経済、原油安・資本流出などリスクも

[モスクワ 12日 ロイター] 下院選の不正疑惑をめぐり政治リスクがクローズアップされているロシアだが、国内経済は底堅く推移しており、欧州債務危機でも深刻な影響は受けないとの見方が多い。

 12月12日、ロシア経済は底堅く推移しており、欧州債務危機でも深刻な影響は受けないとの見方が多い。写真はモスクワのクレムリンで2010年5月撮影(2011年 ロイター/Mikhail Voskresensky)

ただ、欧州の景気停滞に伴い輸出が鈍化するリスクがあるほか、金融機関のロシア向け投融資圧縮で資本流出が進む可能性も指摘されている。

国内経済が低迷し、国民の不満が一段と高まれば、プーチン首相の大統領復帰向けた動きに影を落とす可能性もある。

また欧州危機をきっかけに原油価格が急落し、長期にわたって原油安が続けば、ロシア経済にとっては深刻な事態となる。

オトクリティ証券のチーフエコノミスト、ウラジミール・ティコミロフ氏は「欧州はロシアにとって極めて重要な存在だ」とし「ユーロ圏は何とか危機を切り抜けるというのがコンセンサスだが、ロシアは次第に巻き込まれつつあり、危機は混迷の度を深める可能性がある」と述べた。

今年のロシア経済は欧州危機の影響を免れ、4%前後の成長を達成するとみられている。ただ、豊作で収穫が大幅に増加したことや、選挙関連の支出が膨らむなど、一時的な要因に支えられている側面もある。

エコノミストの間では、来年の景気減速を予想する声が多く、国際通貨基金(IMF)は来年のロシア経済を3.5%と予測。「大きな下振れリスク」があるとしている。

ロシアの外貨準備5140億ドルの45%はユーロ建てで、その大半が国債で運用されている。輸出の50%は欧州連合(EU)向けだ。

預金流出、国債のデフォルト、ユーロ圏崩壊といった最悪のシナリオが現実のものとなった場合、ロシア経済にも深刻な影響が及ぶとみられる。

VTBキャピタルのマクロ経済担当ヘッド・エコノミスト、アレクセイ・モイセーエフ氏は「(最悪の場合)投資家心理が急激に悪化し、質への逃避が一気に進むだろう」とし、「ロシア人も含め、あらゆる投資家がルーブルを売り、米国債を買うはずだ」と述べた。

ただ大半の国内アナリストは、こうした最悪の事態は回避できるとみている。

トロイカ・ディアログのチーフエコノミスト、エフゲニー・ガブリレンコフ氏は「金融システムの完全な崩壊といった壊滅的な事態が起きなければ、ロシアに大きな影響が及ぶことはないだろう」と述べた。

<底堅い原油>

注目すべきは原油価格が底堅く推移していることだ。堅調な原油価格はアジア新興国の需要を反映しているとみられるが、欧州経済が一段と悪化すれば新興国にも影響が波及する恐れがある。

モルガン・スタンレー・ロシアのチーフエコノミスト、ジェイコブ・ネル氏は「ロシアにとって重要な問題は、直接的な影響ではない。欧州危機が中国経済に影響を及ぼすほど深刻なものになるかどうかだ」と指摘した。

<加速する資本流出>

今年のロシアの資本流出入は、欧州危機を背景にすでに大幅な流出超となっている。今年の純流出額は850億ドルと、昨年の2倍以上になる見通しだ。

ロシアの国内企業・金融機関は今年上半期に、新たに480億ドルを海外から借り入れたが、企業・金融機関の対外債務は第3・四半期に170億ドル減少している。

ネル氏は「ロシア経済で欧州の資金調達難を最もよく反映しているのが、対外債務の減少だ。これは大きな減少だ」と指摘した。

ただ2008─09年の金融危機に比べれば、国内企業・金融機関への影響は軽微との見方が多い。

HSBC(モスクワ)のロシア担当チーフエコノミスト、アレクサンダー・モロゾフ氏は「ロシア企業・金融機関は総じて3年前より体力が増している」と指摘した。

先の金融危機時には、民間対外債務の約3分の1が1年未満の短期債務だったが、現在、短期債務の比率は10%前後に下がっている。国内銀行も2008年の時点で1000億ドルの純対外債務を抱えていたが、現在は450億ドルの純対外債権を保有している。

(Jason Bush 記者;翻訳 深滝壱哉;編集 山川薫)

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