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北朝鮮の金総書記死去、市場への影響は:識者はこうみる

[ソウル/東京 19日 ロイター] 北朝鮮の国営テレビは19日、最高指導者の金正日総書記が17日に列車で現地視察に向かう際に死去したと報じた。69才だった。

12月19日、北朝鮮の国営テレビは、最高指導者の金正日総書記が17日に死去したと報じた。写真は金総書記(右)と後継者の三男正恩氏(右から3番目)ら。9月撮影。KCNA配信(2011年 ロイター)

金総書記は2008年に脳卒中に見舞われ、その後北朝鮮では息子の金正恩氏を後継者として権力移譲が進められていた。

聯合ニュースによると、北朝鮮の金総書記死去報道を受けて、韓国軍が非常警戒態勢に入り、青瓦台(大統領府)は安全保障関連会議を緊急招集した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●市場は北朝鮮の混乱予想しリスクオフ

<マネックス証券 チーフ・エコノミスト 村上 尚己氏>

マーケットは北朝鮮のこれからの混乱を予想し、いったんリスクオフに動いている。後継者である金正恩氏への権力移譲が十分進んでいないなかであり、今後、権力争いなどが予想されるためだ。

●日本株への影響は限定的、北朝鮮と中国の関係を注視

<りそな銀行 総合資金部 チーフストラテジスト 高梨 彰氏>

北朝鮮の金正日総書記が死去したとの報道を受け韓国の株価が急落するのは当然としても、日本株にはあまり影響はないとみている。(先物や為替の動きなどで)短期的に反応するかもしれないが、薄商いには変わりないのではないか。今後の北朝鮮の体制がどうなるのかを注目している。また、北朝鮮と中国との関係がこれからどう維持されていくのか注視する。

●投資家は地政学リスクの高まりを意識

<カブドットコム証券 マーケットアナリスト 山田 勉氏>

金正日総書記の死亡を受け、権力移譲がきちんと行われるかどうかが不安視されている。仮に北朝鮮内で混乱が起これば地政学リスクの高まりを意識せざるを得ないだろう。現時点では様子見要因の一つとして趨勢を見守りたい。

●特需で株高、金利上昇転換の可能性も

<SMBC日興証券 チーフストラテジスト 末澤豪謙氏>

円債相場への影響としては、短期的には有事ということで質への逃避的な動きになりそうで、株安、金利低下要因になる可能性がある。一方で、北朝鮮の体制が変わる可能性が出てくれば、朝鮮半島内での特需で株高、金利上昇に転換する可能性も想定される。

●市場にとって明らかにマイナス要因

<MERITZ証券のシニアエコノミスト、JUNE PARK氏>

詳細情報がなく、市場にとっては明らかにマイナス要因だ。地政学的リスクが増したということで海外投資家が韓国から資金を引き揚げる可能性があり、株式市場は下落、韓国ウォンは大幅に売られるだろう。

●地政学的な不確実性、短期的に高まる

<みずほ証券 エクイティ調査部 シニアエコノミスト 飯塚尚己氏>

長期にわたり北朝鮮のトップであった金正日総書記死去に伴い、しばらくは北朝鮮の内政面や南北朝鮮半島を中心とした極東の安全保障などに一定の関心が集まらざるを得ない。地政学的にみると、一定の不確実性が少なくとも短期的には高まったといえる。

●地政学的リスク拡大でドル買い誘発されやすい

<野村証券 金融市場調査部 チーフFXストラテジスト 池田雄之輔氏>

為替市場では、地政学的リスクの拡大を反映してドルが買われやすい地合いとなっている。後継者の金正恩氏が何をするかわからないという意味で、不確実性が高い。体制引き締めのために挑発的行為を繰り返す可能性もあり、その場合は朝鮮半島で軍事的緊張が高まるだろう。

韓国、米国では来年に大統領選挙も控えており、朝鮮半島情勢の不安定化に対しては、より強硬な姿勢で臨むとみられる。これは極東アジアのみならず、国際的に地政学的リスクを高め、ドル買いを誘発するだろう。さらに、年末で流動性が細る為替市場では相場の値動きが荒っぽくなりやすい。

●市場への影響は長くは続かず

<新韓証券のマーケットアナリスト、LEE SUN-YEB氏>

報道を受け株式市場が反応しているが、悪影響は長くは続かないと思う。北朝鮮は総書記の死去をテレビで伝えており、冷静で落ち着いている。後継者はまだ若いが、金総書記は長期間病気を患っていたため、権力移譲も時間をかけて確立していた。

●韓国経済と株式市場全般に大きな影響

<新韓フィナンシャルの金融アナリスト、CHOI CHANG-HO氏>

金正日総書記の死は、韓国経済と株式市場全般に間違いなく大きな影響を及ぼすだろう。

ただニュースが出たばかりで、どの程度の影響があるか判断するのは難しい。注視しなければならない最も重要な要素は、海外投資家がどの程度、資金を引き揚げるかだ。

これまでのところ、株式市場で大量の空売りは見られていない。

●世界情勢の不安定化なら質への逃避

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

円債市場の影響は、他のマーケットの反応をみてからになるだろう。世界情勢の不安定化要因としてとらえることになれば、「質への逃避」としての連想から、ドル高・債券高・株安になるのだろう。

金総書記死亡による北朝鮮の混乱は収束するだろうが、直接的に資金移動が起こるかどうかは、今後の新体制を見極めないと何とも言えない。

●東独型崩壊が望ましい、懸念は中国保護国化

<福井県立大学 島田洋一教授>

金正日氏は単に金日成氏の息子であるのみならず、ライバルとなる親戚を蹴落として権力を獲得した。金正恩氏は、年齢的にもそのような政治的パワーを持たず、独裁体制の継承はスムースでないだろう。

東ドイツ型の崩壊により韓国に吸収されるのが最も望ましく、拉致被害者も戻ってくる。懸念されるのは中国による保護国化。中国側も出したくない情報があるため拉致被害者の帰国が難しくなる可能性があり、日本としては米国や国際社会と連携が必要だ。

●来年の世界政治・経済に新たな不安定要素

<信州大学経済学部 真壁昭夫教授>

北朝鮮は地政学的に米ロ中と3つの超大国の勢力均衡の要にあり戦略的に非常に重要な地位を占めるが、金正日氏という支えを失い不安定化する。2012年は米中で政権交代の可能性が高いなど世界の政治・経済は不安定要素が多く、さらなる不安定要素が加わった格好で経済的によいことはない。

当面様子見が必要だが、新体制が日本に対して弾道ミサイル「テポドン」を撃ち込むような無茶苦茶な選択を採る可能性は少ないとみる。

*内容を追加して再送します。

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