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シャープが過去最大の通期赤字に、来期回復へ液晶中小型化

[東京/大阪 1日 ロイター] シャープ6753.Tは1日、2012年3月期は過去最大の連結最終赤字になると発表した。当期純損失は2900億円の赤字の見通しで、リーマン・ショック後の2009年3月期の1258億円を上回る。液晶パネル、液晶テレビの両事業が赤字に転落するほか、太陽電池事業も従来予想より赤字が拡大する。

2月1日、シャープは、2012年3月期の当期純損益予想を従来の60億円の黒字から2900億円の赤字に大幅下方修正した。都内で2009年10月撮影(2012年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

市況低迷で、テレビ向けの大型液晶パネルを製造する堺工場(大阪府堺市)の稼働率を1―3月期から半減する。減産は来上期中も継続する見通し。外販などの状況を見ながら稼働率を上げていく考えだが、スマートフォンやタブレット端末で需要が拡大している中小型パネルへの移行がどこまで進むかが、来期に向けての利益改善の大きなポイントとなる。

<テレビ数量・単価が下落、パネルも悪化>

大阪市内で会見した安達俊雄副社長は、今期の液晶テレビ国内市場について「今まで全くなかったパターン。数量的にも単価的にも急激に下落した」と説明。需要の低迷と価格下落が同時に進行したことを明らかにした。

自社の液晶テレビ「アクオス」は、国内需要の急減や中国市場の消費鈍化のほか、競争激化による単価下落で販売台数・売上金額とも従来予想を下回った。通期の液晶テレビの販売台数は従来計画の1350万台から1280万台に修正。通期の液晶テレビの売上高見通しも従来予想の6400億円から6000億円に下方修正した。

世界的な液晶テレビの需要低迷から、大型液晶パネルを製造する堺工場の外販も減少。国内のテレビ需要低下で昨年12月から亀山第2工場が稼働率を落としたのに続き、堺工場も今1―3月期から減産を実施し、稼働率を50%程度まで落とす。通期の液晶パネル事業の営業損益は190億円の赤字(従来予想は330億円の黒字)に転落する見通しだ。

<太陽電池事業も苦戦>

太陽電池事業も、欧州での金融不安や価格下落で海外販売が減少するほか、国内でも中国メーカーなどとの競争激化で事業環境が悪化しており、通期の売上高は従来計画の2400億円から2000億円に、販売量の計画も従来の1350メガワットから1100メガワットに、それぞれ下方修正した。同事業の営業損益は従来計画の160億円の赤字が240億円の赤字に拡大する。

この結果、今期の連結売上高予想は従来の2兆8000億円から前年比15.6%減の2兆5500億円に、営業損益予想はゼロ(従来予想は850億円の黒字)に、それぞれ下方修正した。営業損益予想は、トムソン・ロイター・エスティメーツによるアナリスト18人の予測平均669億円の黒字を大幅に下回った。

液晶工場の中小型化など構造改革費用やパネル在庫の評価減も計上するほか、税制改正による法人実効税率引き下げと業績悪化で繰り延べ税金資産の取り崩しすことも、今期に最終赤字が膨らむ要因となった。

<中小型パネルへのシフト、来期黒字化の鍵に>

記者会見した片山幹雄社長によると、同社の液晶パネルの外販比率は従来まで3割程度としていたが「需要低迷で今や1割程度まで落ち込んでいる」という。また、稼働率を半分まで落とすのは来期の上期いっぱいを想定しているが「状況をみて稼働率を高めていく」(野村勝明常務執行役員)としている。堺工場で稼働を落とした分は、需要の拡大しているスマートフォン用の中小型パネル製造の技術導入を検討する。

今期赤字に転落する液晶パネル事業について片山社長は「来期は黒字に持っていきたい。そのために中小型化の取り組みをしている」と述べた。また、会見後に片山社長はロイターなどの取材に応じ、来期は中小型液晶事業が「全体の利益をけん引する」と述べた。その上で、テレビ市況の低迷で採算が悪化している大型液晶と競争の激しい太陽電池事業を収支トントンの水準にすることができれば「(来期は)劇的な利益改善になる」と指摘。堺工場での中小型パネルの製造は「早くて年末を目標に頑張りたい」と述べた。

<赤字額は想定以上、ネガティブインパクト>

今期の最終赤字見通しが2900億円となったことについて、ベイビュー・アセット・マネジメント執行役員の佐久間康郎氏は「驚くくらい大きい赤字額。特別損失の計上見込み額が尋常ではない」と指摘した。

マネックス証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆氏は「赤字転落は報道済みだったが、赤字額が想定以上に大きい印象。市場コンセンサスは150億円程度の赤字であり、株価に対するネガティブインパクトは強い」とした。ただ、広木氏は「日本の産業界は転換期を迎えており、シャープも事業構造の改革が進めば来期以降の業績回復に期待が持てる」とみていた。

日本格付け研究所(JCR)は1日、シャープの業績予想下方修正を受け、同社の長期優先債務格付け「AA」を「ネガティブ」のクレジットモニターに指定した。

(ロイターニュース 村井令二 長田善行 取材協力 久保田洋子 杉山容俊: 編集 石田仁志)

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