[ニューヨーク 13日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、最上級の「AAA」としているフランス、英国、オーストリアの格付けについて、格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げると発表した。
英国の最上級格付けについて主要格付け機関から懸念が表明されたのは、今回が初めて。
英国のオズボーン財務相は格付け見通しを引き下げられたことを受け、同国は多額の財政赤字を削減する努力を継続すると表明した。
ムーディーズはまた、イタリア、ポルトガル、スペイン、スロバキア、スロベニアおよびマルタの格付けを引き下げた。引き下げ幅はイタリア、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、マルタは1段階で、スペインは2段階引き下げられた。各国とも格付け見通しは「ネガティブ」。
一方、ドイツ、デンマーク、フィンランド、ルクセンブルク、オランダの格付けは「AAA」に据え置かれた。欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の格付けも引き続き「AAA」とされた。
ムーディーズはフランス、英国、オーストリアの格付け見通し引き下げについて、「信用を圧迫する数多くの要因が存在し、各国のバランスシートの脆弱性が高まる可能性があるため」と説明。
9カ国の格付け見通しを「ネガティブ」としたことについても、「向こう数四半期にわたって、金融の状況をめぐる不透明感が継続することや、それが信用力に与える影響を考慮した」としている。
ただ、当州当局がユーロ圏を守る決意を示しているほか、信頼回復に向けあらゆる措置が講じられていることから、格下げの余地は限られるとしている。
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も先月、フランス、オーストリア、イタリア、スペイン、ポルトガル、キプロス、マルタ、スロバキア、スロベニア各国の格付け引き下げを発表している。S&Pの格下げを受けて、フランスとオーストリアは、トリプルAの格付けを失った。
このニュースを受け、ユーロとポンドが下落したものの、米国の株価指数先物はさほど反応せず、S&P500先物は薄商いの中、2ポイント安で推移している。
ユーロは対ドルで0.2%安の1.3164ドル。
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