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指標改善に崩れない米緩和継続期待、インフレ警戒感も強まらず

[東京 17日 ロイター] 米経済指標が堅調だったことで米株高とドル高/円安が加速、日本株を両輪で押し上げている。ギリシャ債務交換協議の進展期待も加わり、株高と債券高の同時進行は崩れた。

2月17日、米経済指標が堅調だったことで米株高とドル高/円安が加速、日本株を両輪で押し上げている。写真は米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長。1月25日撮影(2012年 ロイター/Larry Downing)

ただ米緩和継続との見方が変わったわけではない。「緩和負け」している米連邦準備理事会(FRB)は後に引けないと市場はみている。

一方、原油価格は上昇しているが、新興国経済が減速していることで、インフレ警戒は強まっていない。過熱感はあるものの、景気回復と金融緩和期待が並存する流動性相場が続いている。

<「緩和負け」のFRB>

米新規失業保険週間申請件数が4年ぶりの低水準となったほか、2月米フィラデルフィア連銀業況指数や1月米住宅着工は市場予想を上回る上昇となった。堅調な米経済指標を好感し、米ダウ.DJIは2008年5月以来の高値、ナスダック.IXICは00年12月以来の高値に跳ね上がった。

これまでは米株高となっても円高が日本株の重しとなっていたが、サプライズとなった日銀の追加金融緩和をきっかけに円高基調は反転、ドル/円は3カ月半ぶりに79円台まで上昇している。依然として80円を割り込む水準であり国内輸出企業の円安メリットが浮上する水準ではないが、円高一服と米株高で日経平均.N225は約半年ぶりに9400円を回復。ソニー6758.Tやホンダ7267.Tなどが反騰歩調を強める一方、ディー・エヌ・エー2432.Tやグリー3632.Tなどの内需関連株が下落するなど物色のシフトが進んでいる。一方、マーケットの視線が景気にシフトしたことで、国債先物は反落した。

予想を大きく上回った米新規失業保険週間申請件数で、市場では2月の米完全失業率が大きく低下するとの予想も強まっている。このためFRBの金融緩和「時間軸」に対する市場の期待は幾分短縮されるとの見方も広がっていることもドル高/円安の背景だ。

米金融緩和「時間軸」の短縮観測は、流動性収縮をイメージさせるため株式などにとってネガティブ材料だが、強気ムードが支配している現在のマーケットでは影響は限定的だ。「金融引き締めの時期の観測が多少近くなっても、それは2014年といった先行きの話。足元の米超低金利状況が変化するとの見方は少ない」(国内証券エコノミスト)という。市場では「緩和負け」との印象が強くなっているFRBが「時間軸」を短縮するようなことはしないとの見方が多い。

「日銀が追加緩和に踏み切ったことで、現時点ではFRBは世界的な緩和競争に負けているとのイメージが強くなっている。米景気は堅調だが、ダメ押しのためにもMBS(モーゲージ担保証券)購入など追加緩和の可能性もある」とトヨタアセットマネジメントのチーフストラテジスト、濱崎優氏は指摘する。

<インフレは昨年より抑制>

景気回復と金融緩和期待が並存する「ハネムーン期間」はそう長く続かないのが通常だ。過剰流動性は商品市場などに流れ込み、インフレ懸念が台頭する。昨年終了した米量的緩和第2弾(QE2)の時も原油価格や金などが急騰。新興国が金融引き締めを進めたことで世界経済を圧迫した。

16日の原油先物市場では、北海ブレント先物が1バレル=120ドルを突破し、8カ月ぶりの高値で引けた。イランからの供給懸念や北海油田の産油量減少見通しに加え、ギリシャ支援承認期待からユーロが上昇に転じたこともブレントを押し上げた。 米原油先物も、失業保険申請件数の減少など良好な経済指標が発表されるなか、下げを取り戻して上昇に転じ6週間ぶり高値を付けるなど、じわりと物価上昇の懸念が強まっている。

ただインフレが現時点で商品相場全体に広がっているわけではない。原油など19商品の先物相場で構成されるロイター/ジェフリーズCRB指数.CRB終値は下値を切り上げつつあるが、1年前と比べ6%下の水準、昨年5月のピークからは約15%下の水準にある。1月の米卸売物価指数(PPI)は半年ぶりの大幅な伸びとなったが、今晩発表の1月米消費者物価指数(CPI)では食料品価格の上昇が止まり、伸びは抑制されるとの見方が多い。

ロイター調査によると、食品とエネルギーを除いたコアの米消費者物価上昇率は、今年は1.9%(1月調査と同水準)と見込まれており、FRBの目標である2%を下回っている。「中国など新興国経済が減速気味であることも、今年はインフレが抑制されるとの見方につながっている」(マネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏)という。

<日米株には過熱感も>

ただ日米株には過熱感も強くなっており、調整局面が近いとの見方もある。「海外勢の日本株買いはここ数日の勢いがやや減速してきた」(外資系証券)という。円安が一服すれば株式に利益確定売りも出やすい。16日の東証1部騰落レシオ(25日移動平均)は132.21%に上昇し、過熱のメドとされる120%を大きく超えている。

大和証券投資情報部長の高橋和宏氏は「トレンドに乗る動きが続いているうちは良いがいったん動きが止まれば利益確定売りが出やすい。リスクもはらんでいる」との見方を示す。

ドル/円についても「日米欧で緩和合戦をしているようなもので、3月13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和第3弾(QE3)などの話になったら、あっという間に手綱を持っていかれてしまうだろう」とみずほ証券FXストラテジストの鈴木健吾氏は話す。フロー面では「3月にかけてはリパトリ(資金の本国還流)に絡んだ円買いもあり、円高になりやすい」(国内金融機関)との指摘もあった。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎大)

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