[ブリュッセル 23日 ロイター] 欧州連合(EU)は23日、スペインに対して2012年財政赤字削減目標の緩和を認める可能性を示唆した。ただ、11年に赤字が膨らんだ理由や新たな緊縮策について説明を求める方針。
欧州委員会は12年のユーロ圏成長率について、マイナス0.3%との予想を明らかにした。景気が低迷する中で各国は財政目標の達成が困難になるが、欧州委はスペインなどの債務国について、一段の緊縮策を講じる用意を整える必要があるとの立場を示した。
欧州委はスペインが3月に明らかにする新たな予算案の内容を検討するとしており、レーン委員(経済・通貨問題担当)は23日の記者会見で、全体像を把握した上で、同国の財政赤字目標について決定する考えを示した。
同委員は「安定・成長協定に沿ってスペイン財政の構造的持続可能性を確実にするため、スペイン当局が昨年の予算の結果や赤字削減の遅れの理由、今年の予算の準備に関するすべての情報を共有することを期待している」と述べた。
欧州委はスペインに対して二面的な対応をとっている。12年の財政赤字について、削減目標の緩和を検討する構えを示唆する一方、関係筋によれば、財政健全化の先送りに対して制裁を課す用意もあるという。
欧州委は12年のスペインの成長率について、マイナス1%に悪化するとの見通しを示した。
これを受けてスペインのラホイ首相は23日、財政赤字目標についてEU当局と協議する意向を示した。スペインは12年に財政赤字を対GDP比4.4%に削減することを目指しているが、8%と推定される11年の赤字水準から4.4%までカットするためには約400億ユーロの節減が必要になる。
ラホイ首相は「欧州委と話し合うとしか言えないが、いずれにしてもスペインは財政赤字の目標を達成する」と述べた。
首相は、欧州委による12年のスペイン経済成長率予測は非現実的との見方も示唆し、同国政府が数週間以内にも発表する見通しは欧州委の予測ほど楽観的にはならないとの見方を示した。
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