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ドル/円が一時9カ月ぶり高値:識者はこうみる

[27日 ロイター] 27日朝のアジア市場で、ドルは一時81.66円まで上昇し、昨年5月末以来9カ月ぶり高値を付けた。市場は円売りの様相を呈している。為替動向に関する市場関係者の見方は以下の通り。

2月27日、アジア市場で、ドルは一時81.66円まで上昇し、昨年5月末以来9カ月ぶり高値を付けた。写真は昨年8月撮影(2012年 ロイター)

●円安局面終わりに近づいている可能性高い

<JPモルガン・チェース銀 債券為替調査部 チーフFXストラテジスト 棚瀬順哉氏>

今回の円安局面は終わりに近づいている可能性が高いと見ている。

まず、ファンダメンタルズ面では、今回の円安局面における日経平均の上昇率は過去の円安局面に比べて大きい。しかし一方で、日本と主要国の金利差拡大の度合いはむしろ小さい。総じてみれば、現在進行する円安の規模が、過去2009年7―8月、2009年11月―2010年1月、2010年2―4月を大きく上回る可能性を示唆する材料は乏しいと言える。

さらに、過去の円安局面の平均持続期間はおおむね1―1.5カ月程度だった。円の名目実行レートが1月11日に直近のピークを付けてから既に1カ月半余りが経過している。過去のパターンを踏襲するのであれば、投機筋に主導された今回の円安は巻き戻される時期に差し掛かっていると考えられる。

●ドル/円のみに注目すると為替市場の動向を見誤る

<三井住友銀行 市場営業推進部 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

ドル/円だけに注目すると為替市場の動向を見誤る。

現在のドル高/円安は、ユーロ/円などクロス円の急上昇による影響と、短期筋が日本の追加緩和や貿易赤字等の材料を口実にドル買い/円売りを執拗に進めていることが背景だ。さらに、現在は企業が来年度の社内レートを決める「エア・ポケット」的時期に当たり、こうしたタイミングにドル/円相場が上振れたため、80円台で想定されていた実需のドル売りが出にくくなっている。

しかし、為替市場全体を見れば、ユーロを筆頭に諸通貨買い/ドル売りが進行しており、対円でのドル高はむしろ例外的なものだと言える。

ドル売り材料としては、イラン情勢の緊張化をめぐる地政学的リスクの増大や、ユーロ圏に対する懸念の後退がある。ユーロについては財政、財布が1つではないという構造的な問題があり、ユーロ売り材料とされてきたが、国境の縛りをすぐに解き放つのは困難であり、今回のギリシャを巡る債務問題は、財布を一つにするための必要なプロセスであると考える。抵抗のある事象だけに、困窮しないと物事は前進しなかったはずだが、今回の経験を通じて、その必要性を国家レベルとして認識したと思われる。

●ドル/円はしばらく80─82円近辺で推移か

<住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏>

ドル/円はだいぶスピードをつけてここまで上昇してきたので、そろそろスピード調整のタイミングに入ってくるのではないか。昨年5月の高値は82.20円近辺だが、目先はこの水準が上値のめどになるとみている。

昨年7月から8月初旬にかけて円高が進行したが、この時のスピード・値幅と今回の円安局面のスピード・値幅はだいたい同じだ。これから考えると、しばらくは昨年5─6月にもみ合った80─82円近辺で推移する可能性がある。日本の貿易赤字もだいぶ織り込まれてきたとみており、新しい材料を探していく局面に入ってきたのではないか。

まだトレンド転換したとはみていない。日本と米国の相対的な物価スピードはまだドル安を示唆しており、米国の量的緩和第3弾(QE3)の可能性もまだ完全になくなったわけでもない。そういった情報を一度整理するタイミングが今の状況ではないか。

●日米欧金融緩和に乗る円安、早晩揺り戻しも

現状を俯瞰(ふかん)すれば、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀と、日米欧金融緩和のコラボレーションの上に乗って、これまで心理的な警戒モードで固まっていたマネーが溶け出してきているという構図だろう。

歴史的な低ボラティリティーでこう着相場が続いてきたドル/円相場は、その反動から上振れしている。背景は、経常、貿易赤字という円売り材料に加え、日銀がインフレ目標1%という数字を持ち出したことで、ファンド筋に円売りのモメンタムを与えたとみている。

しかし、基本的にドル安/円高の構造は不変だと考えている。ドル/円は上昇が止まれば、早晩揺り戻しが来るだろう。その結果として、80円割れから79、78円と徐々にドル安が進行するとみている。 ただ、ドル/円相場のリズムが明確に変化したのは事実だ。これまでは欧州問題の影に隠れていた米財政赤字など、米国が抱える構造問題に市場が再びフォーカスすれば、ドル下げピッチが加速する場面もあるだろう。

*内容を追加します。

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