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円売りバイアス継続、「短期筋主導型」相場のもろさ露呈も

[東京 5日 ロイター] 今週の外為市場では、短期筋主導型の円売りバイアスが続きそうだ。ただ、ドル上昇局面では、利食いのドル売りが入りやすいため、こうした利食い売りを圧倒するパワフルなドル買い/円売り材料が出てくるかが焦点だ。一方、足元で日米金利差が拡大していないことや、本邦貿易収支が2月上旬に黒字を回復したことなど、円安方向へのトレンド転換を示す材料が出そろったとは言い難く、「短期筋主導型」の円売り相場のもろさを露呈する余地もある。

予想レンジはドル/円が80.00─82.20円、ユーロ/ドルが1.3000─1.3450ドル。

3月5日の週は、8日に1月の経常収支が公表予定だ。リーマンショック後の2009年1月の赤字幅(1327億円)を上回り過去最大規模の赤字になることが予想され、短期筋が再び円売りを仕掛ける可能性がある。

ただ、2月上旬の貿易収支は既に76.36億円の黒字を回復しており、「ドルが上がればむしろ利食いが先行するだろう」(外銀)との予想も出ている。

8日には欧州中央銀行(ECB)理事会や米新規失業保険申請件数の発表も控えている。9日には2月の米雇用統計が予定される。1月の統計では非農業部門雇用者数が24万3000人増と、市場予想の15万人増を大幅に上回ったが、2月も20万人のハードルを越えられるか注目される。

<低ボラの反動で吹き上がる円安>

「低ボラティリティの反動で一気に吹き上がった円安だが、米金利の上昇が伴わない中で更なるドル高/円安には限界がある」と輸入商社アイガー貿易部、シニア為替アドバイザー角田秀三氏はいう。

「先週の円安は勢いがなくなってきていた」とJPモルガン・チェース銀行、チーフFXストラテジストの棚瀬順哉氏は指摘し、「特に、ユーロ/円、スイスフラン/円、スウェーデンクローナ/円など、短期的に過大評価されてきた通貨ペアでは上値の重さが目立っている。今後はクロス円主導の調整がドル/円相場に波及する可能性があるとみている」と述べた。

米国では、米経済指標の改善を受け多少は米金利が上がったものの、「本格的な米景気回復を伴わなければ、持続的な金利上昇は起こらないはずで、ドル/円トレンド転換の兆しを示唆するものではないだろう」と角田氏は指摘する。

米国では労働市場の僅かな改善はみられるが、依然として労働参加率は低く、住宅価格は再び下落に転じている。「ガソリン高による消費への影響も注目したい」(同)。

<燃料輸入のドル買い>

一方、ドル/円の下値を支える要因として、本邦実需勢の動きに市場は関心を寄せている。

市場では日本の燃料輸入に関連するコンスタントなドル買いが目立っている。脱原発の潮流下における燃料輸入増によるドル手当てを反映したもので、「原油が高止まりする状況が長引けば、ドル/円の下支えとなることは留意する必要がある」(角田氏)という。

1月分の貿易統計(速報)金額ベースの輸入の伸び率(対前年同月比)では、LNGの伸び率が74.3%(寄与度プラス4.3)、原粗油の伸び率が12.7%(同プラス2.1)、石炭の伸び率が26.5%(同プラス0.9)となった。LNGは都市ガスや火力発電の燃料として多用されるが、「脱原発」の流れを受けて、輸入量が増えている。

<3月リパトリ説>

年度末が近くなると、レパトリにからむ円高観測が浮上しやすいが、2007年以降の3月については、ドル/円相場が月間で上昇したケースが下落したケースより多い。

今年度末は「欧州債務問題に絡むドル調達懸念の記憶が新しいこと、貿易赤字であること、本邦事業法人にとってM&Aなどで外貨の活用が期待される局面であることなど諸条件を考慮すれば、レパトリが例年より膨らむ理由は見つけにくい」とみずほコーポレート銀行、国際為替部マーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏は言う。

「今年もクロスボーダーM&A案件などは増える公算が大きく、レパトリは抑えられる可能性がある」と唐鎌氏は予想し、その背景として、国内市場の縮小、待機資金の蓄積、国内電力の供給不安、アジアとの成長率格差、円高等を上げている。

ただし、2011年の対外直接投資がアジアを中心に非常に強い動きを見せており、その果実(配当金)が所得収支の直接投資収益の拡大という形でいずれ還流してくることが見込まれるが、目先の影響は限定的だと同氏は指摘する。

(ロイターニュース 森佳子)

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