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来週はドル高/円安一服、次の円売り材料は日米金利差拡大か

[東京 23日 ロイター] 来週の外国為替市場では、一服感が広がるドル高/円安が、次にどちらの方向に転がるかを判断するうえで、米中欧のマクロ景気指標に関心が集まりそうだ。足元では、ユーロはギリシャ問題が一山越えたことでネタ切れとなり、円売りを仕掛けてきた短期筋の「心のよりどころ」だった貿易収支が予想外に黒字転換したことで、円売りの勢いも心もとなくなってきた。

3月23日、来週の外国為替市場では一服感が広がるドル高/円安が、次にどちらの方向に転がるかを判断するうえで、米中欧のマクロ景気指標に関心が集まりそうだ。写真は昨年8月撮影(2012年 ロイター/Issei Kato)

今後は各国の景気指標に対する株価や米金利の反応や期末を控えた実需のフローが相場を左右する展開が予想される。

予想レンジはドル/円が82.00─84.00円、ユーロ/ドルが1.3100─1.3300ドル。

経済指標では、26日に3月の独IFO業況指数、27日に3月の米消費者信頼感指数、28日に2月の米耐久財受注などの発表が予定されている。また、米財務省は27日に2年物、28日に5年物、29日に7年物の国債入札を予定している。

<米金利動向>

最近のドル高/円安局面では、マクロ系ファンドを中心に、日米金利差拡大を受けたシステムによる自動的なドル買い/円売りが目立っていた。来週も、「景気指標を受けてアメリカの金利がどう動くかがポイントだ」とJPモルガン・チェース銀行のチーフFXストラテジスト棚瀬順哉氏は言う。

予想より堅調な米指標を受けて、株価が上昇し、米金利が上昇すれば、「円の方がドルより弱くなって、これまでのドル高トレンドが復活するだろう」と棚瀬氏は見込んでいる。一方、堅調な指標を受けても米金利が上昇しなければ、「ドル/円の上値は限定的になるとみられる」(同)という。

米2年債利回りは1月30日に付けた0.2070%から徐々に上昇し、3月15日には0.4140%と8カ月ぶりの高水準となった。23日正午時点では0.3675/0.3634%と、上昇分(20.7ベーシスポイント)の約4分の1を失っている。

米セントルイス地区連銀のブラード総裁は23日、香港で開かれた会議で講演し、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利の引き上げ時期を決定する際には、インフレ見通しが主要な要因になるだろうと述べた。

超緩和的な金融政策について、同総裁は過度に傾注することは好ましくないとの考えを示し、金融政策を失業率のみに関連付けるべきではなく、非常に慎重な対応が必要との見解を示した。「超緩和的な金融政策へ過度に傾注することは、米経済、ひいては世界経済にも弊害をもたらす可能性がある」と同総裁は述べた。

ただ、ガソリン価格が1ガロン5ドルに達しない限り、米国内のインフレを懸念する必要はないとも指摘した。米国での調査によると、3月16日までの週のガソリン平均価格は1ガロン3.84ドルだった。

<燃料価格と輸入の水膨れ>

実需関連の動きでは、期末を目前に輸出勢のドル売り手控えが目立つなか、原材料輸入関連や直接投資関連とみられる外貨買いのフローが継続的に市場で観察されている。

財務省が22日に発表した2月の貿易統計(速報)では、貿易収支が329億円の黒字と予想外の黒字転換となった。このため、貿易統計を絶好の円売り機会として待ち構えていた短期筋は出鼻をくじかれた。事前の市場予測は1200億円程度の赤字だった。

輸入増加品目のうち、金額では液化天然ガスの伸び率(金額)が対前年同月比プラス53.8%(寄与度プラス3.5)、原粗油が同プラス15.5%(寄与度プラス2.9)、通信機が同59.8%(寄与度プラス1.2)となった。

一方、為替レートは2月に77.10円と対前年同月比6.4%の円高となった。

円高が燃料価格上昇のインパクトをある程度相殺しているが、脱原発の流れを受けて液化天然ガス等の輸入が増えているため、金額ベースの輸入の拡大が抑えられない状態だ。

2月の貿易収支について、東海東京証券、チーフエコノミストの斎藤満氏は「輸入サイドは、原油や天然ガス価格の上昇で輸入金額が引き続き水膨れしており、海外需要(輸出サイド)は、アジア、特に中国の景気が弱いことが気になるものの、輸出がこれ以上大きく落ち込むとは予想しがたい」と指摘したうえで、「原油や天然ガス価格が下がらない限り、日本の貿易収支は時々赤字に転落しつつも、トレンドとしてはほぼトントン(均衡状態)になるとみられる」と予想した。

さらに、 貿易収支がほぼ均衡するとの前提を置けば、経常収支は基調として黒字を維持することが見込まれ、「経常取引からは円高圧力が続くだろう」と同氏は述べている。

<金融規制の流れ>

金融危機を受けて欧米当局が規制強化に乗り出したことで、金融機関は、資産圧縮やこれまでより厳しい流動性管理を進めている。このため、ファンド勢などの短期筋に回る流動性も低下し、ポジション圧縮・短期化につながっている。こうした規制強化の流れを背景に、為替市場を含む金融市場では、元手(コスト)のかからない先物中心に、システム主導の相場が展開しやすい。システム売買の特徴としては、同方向に商いが集中しがちであることや、ポジションが短期的で反対売買が入りやすいことなどがある。

しかし、米国では最近、規制強化策適用の先延ばしや後退が目立ってきている。規制強化の逆戻りの動きは、日米欧の量的緩和の波と相まって、短期筋の動向に影響をを与えそうだ。

米国の銀行は、金融機関の自己勘定取引を制限する「ボルカールール」について、時間的猶予が与えられる可能性が出てきた。ボルカールールは、金融機関における短期の自己勘定取引の禁止、プライベート・エクイティやヘッジランドへの投資の禁止を柱とする規制。

米FRBのタルーロ理事は22日、同ルールを徐々に順守させていく方針を示したほか、金融規制改革法の成立に尽力したバーニー・フランク下院議員(民主、マサチューセッツ州)は当局に対し、当初案を破棄してルールを簡素化するよう求めた。 今年7月の金融規制改革法導入を前に、金融業界からはルールの複雑さと曖昧さに対する不満の声が上がっていた。

他方、米商品先物取引委員会(CFTC)は22日、スワップ市場の大手参加者に対して導入する報告義務制度について、今月20日までとしていた期限を再度延期し、7月2日とした。報告義務制度は当初、昨年9月下旬に導入の予定だったが、CFTCの市場監督部門は、必要な関連情報の収集には時期が悪いとして、実施を延期。11月に導入期限を今年3月に設定した。

タルーロ 理事はまた、ドイツ銀行DBKGn.DEが資本規則の適用を免れるため、米子会社の銀行持ち株会社の法的地位を変更したことに関連し、FRBは米国内の外国銀行に適用するルールを検討すると述べた。

(ロイターニュース 森佳子)

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