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温家宝首相の「銀行寡占打破」発言、真意は穏健な金融改革か

[4日 ロイター] 中国の温家宝首相が銀行の寡占体制を壊す必要があると語った際、彼の念頭にあったのは4大国有銀行の支配体制を崩すことではなく、穏健な金融改革だったのかもしれない。

4月4日、中国の温家宝首相が銀行の寡占体制を壊す必要があると語った際、彼の念頭にあったのは4大国有銀行の支配体制を崩すことではなく、穏健な金融改革だったのかもしれない。北京で3月撮影(2012年 ロイター/Jason Lee)

3日の首相の発言は率直なものだった。それは、大銀行は「あまりにも簡単に」利益を上げており、独占企業のように振る舞っているが、融資を必要とする中小企業へ資金を呼び込むためにそうした体制を壊す必要がある、との内容だった。

ロイターが中国の大手5行に、温首相の発言をどのようにみているか尋ねたところ、重大な政策転換が迫っているとの懸念はほとんど感じられなかった。温氏自身も含め、中国共産党の10年ぶりの指導部交代を数カ月後に控えている影響があるようだ。

敏感な話題であることを理由に匿名を希望したある国有銀行関係者は「温首相(の任期)は残り1年にすぎない。中国の銀行をめぐる問題は次の指導部の課題であり、1年以内に解決できるものではない」と述べた。

4大銀行とは、中国工商銀行(ICBC)601398.SS、中国銀行(BOC)601988.SS、中国農業銀行(ABC)601288.SS、中国建設銀行(CCB)601939.SSを指し、中国における全融資の約4割を手掛けている。中小企業が資金繰りに苦しむなか、利益をむさぼっているとの批判が根強い。

4行を合わせた昨年の純利益総額は990億ドルに達し、米国のシティバンクC.N、JPモルガン・チェースJPM.N、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチBAC.N、ウェルズ・ファーゴWFC.Nを合わせた額の2倍以上の水準だ。

大手国有銀行は国有銀行に融資資金を回しがちだが、中国では近年、雇用創出や経済成長の面で、より規模の小さい私営企業の存在感が高まっている。

政治力も無視できない。大手国有銀行のトップは共産党中央組織部が任命し、省次官級の役職だ。

寡占体制を崩すには幅広い政治的支持が必要となり、今のところ環境が整っているようにはみえない。

温首相の過去の発言から判断すると、「寡占体制打破」の意味するところは、地方銀行の発展促進や、借り手の選択肢を増やすための信用市場の開発といった比較的穏健な政策なのだろう。4大国有銀行に脅威を与えることなく、中小企業への資金流入を促せるというわけだ。

首相は長い間、改革派と目され、安定的な経済成長に向けた中国の金融システムをめぐる近代化の必要性を積極的に訴えてきた。といっても、首相の発言がその他の指導部と常に共有されていたわけではなく、3日の発言も指導部全体の考えを反映したものなのか判然としていない。

指導部の意向を反映する国営新華社や、共産党機関紙・人民日報も首相の発言を報じていない。

温首相が大手国有銀行による寡占体制打破に言及したのはこれが初めてではない。

首相は1月30日、民間資本が金融分野へ流入するのを妨げている「寡占状態を打ち壊す」必要性がある、と発言している。企業家精神にあふれる一方、ハイリスクな融資慣行がはびこっている浙江省温州市では、地方銀行に対する民間投資を促したり、借り入れ先拡大策の一環として融資企業を設立したりする試行プログラムも実施した。

中国共産党最高指導部入りの野心を隠さなかった薄煕来・前重慶市共産党委員会書記の解任後に、温首相の改革に対する熱意が高まったのかもしれない。薄氏の失脚は、首相が遠回しに同氏を批判した後に発表された。首相は批判のなかで、薄氏が推し進めていた伝統的かつ国家主義的な色彩を強めた経済モデルに疑問を呈していた。

バークレイズ・キャピタル(香港)の中国担当エコノミスト、ジェン・チャン氏は「マーケット・エコノミストは何年も改革を話題にしており、温首相は今年、改革を促進するだろう」と指摘。一方、「その歩みは漸進的であり、試行錯誤を繰り返しながら始まるだろう。一朝一夕に成し遂げられるものではない」と述べた。

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