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日銀が次回決定会合で追加緩和を検討へ=関係者

[東京 11日 ロイター] 日銀は27日に開く金融政策決定会合で、追加緩和を検討する。会合では今後2年間の経済・物価見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表するが、2013年度までに実質的な目標である消費者物価上昇率の1%を展望するのは難しい情勢。

4月11日、日銀は27日に開く金融政策決定会合で、追加緩和を検討する。都内の日銀本店で2009年3月撮影(2012年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

米金融政策などの動向次第では、企業収益などに影響を及ぼす円高再燃も否定できない。このため、デフレ脱却に向けて金融緩和を加速する必要があると判断する可能性が大きく、資産買入基金の増額を議論する公算が大きい。関係者が語った。

<日銀「変身」、下振れなくとも追加緩和>

10日の決定会合で日銀は金融政策を「現状維持」としたにもかかわらず、数週間後に追加緩和が必要と判断するのは2月の方針転換の影響だ。

日銀は2月に、従来の物価見通しに関する「理解」に代わり「目途(めど、英語ではgoal)」を導入することで、消費者物価上昇率1%を目指して強力な金融緩和を継続するとの「強いコミットメント」(3月28日の宮尾龍蔵審議委員講演)を示した。それまでは円高・株安など景気の下振れリスクを回避するために追加緩和を行うことが常態化していたが、「景気が良くなっていっても物価上昇率1%が見通せない時は、ゼロ金利を続け、資産買い入れ(による追加緩和)を行っていく」(2月29日の衆議院財務金融委員会での白川方明総裁)との姿勢に転換しつつある。

2月以降の円高修正や株高が一服し、円高の再燃と株価下落が進みつつあるが、日銀は現時点で景気が緩やかに回復するとのシナリオを維持しており、下振れリスクが高まっているとは認識していない。しかし27日の展望リポートでは、物価上昇率1%達成への道のりの遠さがあらためて意識される可能性が大きい。

現状は消費者物価上昇率について2012年度に前年比プラス0.1%、13年度に同プラス0.5%とみているが、原油価格上昇などを勘案しても上昇は小幅にとどまる見通しだ。2月の消費者物価指数は5カ月ぶりにプラス圏に浮上したものの、前年比プラス0.1%と引き続きゼロ近傍で、デフレ傾向が続いている。

<増税法案受け政府と歩調合せる、FOMC見極め>

政府が3月閣議決定した消費増税法案では、増税するための努力目標として「経済成長率を名目3%、実質2%程度に早期に近づける」との文言が盛り込まれたことも、追加緩和を促す一因。政府が消費税率を2014年度に引き上げるには、遅くとも13年の秋ごろまでには物価上昇率で1%実現のめどがたっていないといけない。デフレ脱却には経済成長による需給ギャップ縮小と金融緩和の両輪が必要で、日銀は金融緩和を加速させることで政府との連携を示す構えだ。

追加緩和の手段としては長期国債の増額が軸となる見通し。これまで日銀は基金では満期2年以下の国債のみを買い入れてきたが、増額規模次第では満期の年限延長も必要か議論となる可能性がある。

日銀会合直前の4月24、25日に米連邦準備制度理事会(FRB)が開く連邦公開市場委員会(FOMC)の内容などを見極めたい考えだ。先週末に公表された米雇用統計の内容が予想を下回り市場では米経済への楽観的な見通しが後退、代わりに米国が量的緩和の第3弾(QE3)を6月にも打ち出すとの観測が再燃している。今月のFOMCでも何らかのメッセージが打ち出された場合、円高が加速、企業収益などに影響を与え経済・物価の圧迫要因になる可能性も懸念されている。

(ロイターニュース 竹本能文 伊藤純夫 ;編集 田中志保)

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