[ナポリ 23日 ロイター] フェラーリのルカ・ディ・モンテゼモロ会長らが設立した旅客輸送会社NTVが28日、イタリア国内で欧州初となる民間高速鉄道「イタロ」を開業する。当初はローマと8都市を結ぶが、同会長はさらなる事業拡大に意欲を見せている。
NTVは2006年、モンテゼモロ会長や、高級皮革トッズTOD.MIのディエゴ・デッラ・ヴァッレ会長らが設立。その後、大手銀インテサ・サンパオロISP.MIや保険大手ジェネラーリGASI.MIなどが参加したほか、仏国営鉄道SNCFも同社に20%出資して高速鉄道運行のノウハウを提供している。
イタリアの高速鉄道事業はこれまで、旧国鉄系のトレニタニアが独占してきたが、NTVがフェラーリ風の真紅の車体で風穴を開けられるかどうか注目が集まる。モンテゼモロ会長はサービスの差別化などを通じ、2014年までに年間利用客800万─900万人、国内高速鉄道市場のシェア25%獲得を目指すと目標を掲げる。
調査会社ノミスマの運輸業アナリスト、Chiara Pelizzoni氏は、NTVが高速鉄道市場で顧客を引き付けるのはさほど難しくないと指摘。「良いサービスにお金を惜しまない顧客は存在し、事業計画の観点から言えば、経験豊富なSNCFという良いパートナーがいる」と評価した上で、「収益化が難しく、規制も多い地域路線市場に進出しようとした時に真の難題にぶつかるだろう」と述べた。
「イタロ」は、トレニタニアとサービス面で差別化することを狙っており、乗客は無料の高速インターネット接続が利用できるほか、テレビや映画の視聴も可能。すべての座席に高級家具メーカー、ポルトローナ・フラウPFGI.MI製のレザーを採用し、その座席で提供される食事は日米などでも店舗展開する「イータリー」が提供する。
ローマ─ミラノ間は約3時間と、トレニタニアとほぼ同じ時間。ただモンテゼモロ会長は、顧客サービスなど総合力で「イタロ」が選ばれるようになると自信を示している。当初はローマとミラノ、サレルノ、ナポリ、フィレンツェ、ボローニャ、トリノ、パドア、ベネチアを結ぶ予定だが、いずれは観光客の多いほかの地域にも進出する意向だという。
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