[シドニー 24日 ロイター] 第1・四半期の豪消費者物価指数(CPI)は、予想を大幅に下回る伸びとなり、10年強ぶりの低水準となった。これにより来週の利下げ観測だけでなく、それ以降の追加緩和観測が高まり、豪ドルは下落、債券利回りは60年ぶりの低水準をつけた。
豪CPIに関する市場関係者の見方は以下の通り。
●中銀は来週25bp利下げ、その後は様子見
<ナショナルオーストラリア銀行のシニア・エコノミスト、スピロス・パパドポロス氏>
経済にインフレ圧力はほとんどないことが再確認された。来週の利下げが引き続き見込まれる。
利下げをした場合、中銀はしばらく経済への影響を見極めることになるだろう。経済指標が引き続き弱い数字となっていることから、追加利下げの可能性もある。依然25ベーシスポイント(bp)の利下げを予想している。
●かなり落ち着いた内容、RBAは来週25bp利下げへ
<RBCキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、スーリン・オン氏> 前期比の数字は明らかにかなり落ち着いた内容で、総合指数の上昇率は市場予想を大幅に下回った。インフレ指標が予想よりも良好となるなか、景気はさえない。
来週、25ベーシスポイント(bp)の利下げが実施され、第3・四半期にも25bpの利下げがあると予想する。来週の利下げ幅が50bpでなかった場合、来週と6月にそれぞれ25bpの利下げが行われる可能性もあるだろう。 (金利見通しの)大部分は、国内の状況だけでなく海外の見通しにも左右される。
●財とサービスで異なるインフレの状況、見通しに影響も
<CBAのチーフエコノミスト、マイケル・ブライト氏>
次回理事会での利下げ決定を思いとどまらせる要因はない。 さらなる利下げは、これらの数字が今後のインフレ動向にとってどのような意味を持つかにかかっているが、数カ月前のRBAの考えよりも良いスタート点を示しているのは確かだ。
ただ、まだいくつかの問題が残っている。サービス価格のインフレ率がモノのインフレ率を大きく上回っている点で、こうした乖離があるという状況は中期的なインフレ見通しに若干警戒感を持たせる。
したがって、リスクの方向性としては、ふたたび追加利下げがあると考えられるが、RBAが急いで実施するとは思わない。
●次回2回会合で25bpずつ利下げ
<UBSのシニア・エコノミスト、マシュー・ジョンソン氏>
次回2回の会合で25ベーシスポイント(bp)ずつの利下げがあるだろう。1度に50bp引き下げる可能性も排除しないが、それに賭けるようなことはしない。
金融政策は現時点で引き締め的で中立に戻る必要がある。利下げ後に失業率が上昇し始めるか、もしくは景気低迷が続くようであれば、追加利下げもあり得る。
●食品がサプライズ、食品以外は低水準とは言えず
<JPモルガンの主任エコノミスト、スティーブン・ウォルターズ氏>
明らかにとても低い。食品がサプライズだ。果物はわれわれの予想よりはるかに大幅な30%も下落した。その他はほぼ予想に沿っている。 (利下げは)決まったも同然だろう。CPIの数値がこれほど低ければ、欧州情勢を考えれば特に利下げに反対することは難しい。
50(ベーシスポイント=bp)の利下げはないだろう。25bpの可能性が濃厚だと思う。50bpの利下げに踏み切れば、間違いを犯し、巻き返しに必死になっていると認めるようなものだ。
また、食品以外のCPIなどの詳細を見ると、インフレ率はとても低水準とは言えない。国内要因によるインフレ率は引き続き非常に高く、懸念される。 ただ、欧州情勢の進展によっては、利下げが一度にとどまらないとの見通しが強まるだろう。
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