[10日 ロイター] 米銀大手JPモルガン・チェースJPM.Nは10日、ヘッジ戦略の失敗により、20億ドルの損失が発生したことを明らかにした。
同社は10日夕、証券取引委員会(SEC)に提出した文書で、チーフ・インベストメント・オフィスで、3月末以来「シンセティック・クレジット・ポートフォリオで大幅な評価損が発生した」と明らかにした。
これを受けて米株式市場引け後の時間外取引でJPモルガンは5%下落した。
S&P500指数先物は9.2ポイント、ナスダック100指数先物は14.75ポイント下落した。
チーフ・インベストメント・オフィスは、投機的等級の企業に対する融資などのリスクをヘッジする部門。
同社によると、コーポレート/プライベートエクイティ部門は第2・四半期に8億ドルの損失を計上する見通し。従来見通しは2億ドルの黒字だった。
JPモルガンはSECに報告を行った直後に急遽アナリストとの電話会議を設定。ダイモン最高経営責任者(CEO)は「最大10億ドルかそれ以上の影響が出る可能性がある」とし、影響が数四半期におよぶ可能性がある、との見方を示した。
JPモルガンは3月末の総資産が2兆3200億ドルと米金融機関でもトップ。金融危機下でも赤字を出したことがなく、リスク管理に優れているとみられていた。2008年には破たんしたベア・スターンズとワシントン・ミューチュアルを買収している。
ダイモンCEOは電話会議で、過ちは「甚大」なものであったと認め、謝罪した。
ダイモン氏は、自身が大手銀行の自己売買取引を禁止するボルカールールを公の場で批判していたことを考えると、今回の失敗は特に決まりが悪いと発言。ただ、ボルカールールには依然として反対しており、今回の損失はヘッジ戦略の失敗によるものだと説明した。
ヘッジ戦略は「時とともに変化」し「効果がなく、監視も構築も不完全」で「原則に反していた」という。
JPモルガンの発表を受け、他の大手銀行株も時間外取引で下落。シティグループ<C.Nは2.4%安、バンク・オブ・アメリカBAC.Nは1.7%安、モルガン・スタンレーMS.Nは3.2%安、ゴールドマン・サックスGS.Nは2.7%安をつけた。
*内容を追加して再送します。
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