[東京 11日 ロイター] コジマ7513.Tは11日、ビックカメラ3048.Tに約140億円の第三者割当増資を行い、ビックカメラの傘下に入ると発表した。コジマはビックカメラの傘下で経営を再建する。
<両社あわせて業界2位に>
コジマは3900万株の新株を1株362円で発行し、すべてをビックカメラが買い受ける。払込期日は6月26日。ビックカメラはコジマの株式を50.06%を保有する筆頭株主になり、コジマを傘下に収める。
家電業界では、幹線道路沿いに大型量販店が建設され、競争が激化している。コジマは今回の増資で財務基盤を強化するとともに、ビックカメラの傘下入りにより両社あわせて業界2位になることで、競争で優位に立つことができると判断した。
<コジマ、今後3年程度で40―50店舗の不採算店舗を閉鎖>
調達資金のうち121億円を店舗閉鎖に充当し、残りを新規出店や店舗改装に充てる。都内で記者会見したコジマの寺崎悦男社長は、今後3年程度で40―50店舗の不採算店舗を閉鎖するとの方針を示した。「同規模の新規出店も計画し、社員のリストラは行わない」としている。
<ビックカメラ、買収資金は金融機関からの借り入れ>
一方、ビックカメラの宮嶋宏幸社長は、買収資金の全額を金融機関から借り入れることを明らかにした。「仕入れ統合により規模のメリットを生かすことが最大の狙い。今は業界1位を目指す段階ではなく、今後のM&Aは検討していない」と述べ、15%の株式を保有するベスト電器8175.Tとの関係については「現状を維持する」としている。
<新株の発行数量や希薄化の規模は合理的との判断>
コジマの新株の発行価額は、コジマの過去1カ月間の終値平均値(387円)より6.47%低く、過去3カ月間の終値平均値(455円)より20.43%低い水準。
時価より低い水準で特定の買収者に新株を発行することは、有利発行と見なされる場合がある。しかしコジマは、2012年3月期の業績下方修正を3月30日に開示し、株価はその修正を反映して形成されたもののため、新株の発行価額が割当予定先のビックカメラにとって特に有利なものではないと判断したと説明した。コジマの監査役会からも「特に有利な金額にあたらず適法である旨の意見を得ている」としている。
今回の増資でコジマの発行済み株式総数は2倍に増える。東京証券取引所TSE.ULは、発行済み株式総数が25%以上増える「大規模な第三者割当」をする場合、1)株主総会で株主の了承を得るか、2)経営陣から一定程度独立した者による第三者割当の必要性や相当性に関する意見の入手──のどちらかをするよう、上場企業に求めている。
コジマは、弁護士(須藤修氏)や公認会計士(髙野角司氏)、大杉謙一・中央大学法科大学院教授の3人で構成する第三者委員会を設立し、大規模増資の必要性や相当性について意見書を得た。
第三者委員会はコジマの提出した資料のほか、第三者委として独自に入手した資料・書簡などを検証したり、コジマのファイナンシャルアドバイザー(FA)やビッグカメラの役職員と8回ヒアリングをした。今回の増資が経営の選択肢として最善で、ビッグカメラのもとで企業価値を高められると判断。新株の発行数量や希薄化の規模は合理的と判断したという。
コジマによると、同社のFAはSMBC日興証券。
コジマは同日、2012年3月期の業績予想の下方修正も同時に発表した。
売上高は3700億円から微増するが、一部店舗の帳簿価格を減額し減損処理を行ったことにより31億円の特別損失を計上するため、当期利益が前回予想の22億円から5億円に縮小する。
(ロイターニュース 江本 恵美、編集:吉瀬邦彦)
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