[ニューヨーク 11日 ロイター] 11日のニューヨーク外国為替市場では、不安定な取引のなか、ユーロがドルに対して再び3カ月半ぶりの安値に下落した。
ギリシャの政局混迷に加え、米銀大手JPモルガン・チェースJPM.Nの巨額損失が明らかになったことで、リスク回避の動きが鮮明になった。
ユーロ/ドルは一時1月23日以来の安値となる1.2903ドルまで下落。終盤の取引では、0.1%安の1.2918ドルで推移した。ユーロの過去10営業日の対ドルでの下落率は2.4%に上る。
ドル/円は79.90円と、ほぼ横ばいで推移した。
ギリシャでは6日に行われた総選挙で第1党となった新民主主義党(ND)、第2党となったギリシャ急進左派連合に続き、この日は第3党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)のベニゼロス党首も組閣に失敗したと表明。再選挙実施が現実味を帯びてきた。
スタンディッシュ・メロン・アセット・マネジメントのグローバル・マクロ・ストラテジスト、トム・ヒギンズ氏は、「再選挙実施後も同様のことが起こり、政権が樹立できない事態となった場合、ユーロに対する重圧となる」と述べた。
欧州では、このところの経済統計から欧州全体がリセッション(景気後退)入りする可能性が示されており、欧州中央銀行(ECB)が米連邦準備理事会(FRB)より早い段階で何らかの措置を実施する公算も大きくなっている。
前出のヒギンズ氏は、「こうした要因も手伝い、ユーロはさらに下落する」と予想。「向こう半年から1年にかけて、ユーロは1.20ドル台前半から半ばで推移するとみている」とした。
スペインの銀行部門に対する懸念、および同国政府の財政赤字管理能力に対する懸念も、ユーロに対する重しとなった。市場では、ユーロ圏で第4位の経済規模を持つスペインも債務危機に飲み込まれるとの懸念が高まっている。
この日米国で発表された経済指標では、ロイター/ミシガン大学の5月の消費者信頼感指数が予想を上回って上昇し、約4年ぶりの高水準となった。また、4月の卸売物価指数は前月比0.2%低下。年初来初のマイナスとなり、インフレ圧力が軽減していることが示された。
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