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現実味増す人民元の下落、ユーロ圏危機や中国経済減速で

[上海 23日 ロイター] 人民元トレーダーは、今年人民元は2─3%上昇するとの予想を見直しつつある。世界の経済情勢の予想以上の悪化と中国経済の減速で、市場で安全志向が表面化しているためだ。

ユーロ圏債務危機はすでに政治問題化しており、リスク回避でドル指数.DXYは23日2010年9月以来の高水準に上昇。中国政府がこのまま人民元の上昇容認姿勢を維持するのか、疑問視する声が広がっている。

さらに注目すべきは、中国の4月の経済指標が相次いで悪化したこと。中国人民銀行に銀行の預金準備率引き下げを促すかたちとなり、中国経済に対する懸念が強まった。

この結果、今月は銀行やその顧客の間では、ドル上昇局面で人民元のショートポジションを設定する動きが広がった。

ある欧州銀行のシニアトレーダーは「中国人民銀行は人民元の大幅下落は容認しないだろうが、輸出減速阻止のため、緩やかな下落が政府の選択肢となる可能性が強まっている」と述べた。

人民元の基準値は過去8営業日連続で下落しており、人民銀行が一定の下落を容認する姿勢を示している。

ただ同時に、基準値はスポットレートを上回る水準に設定されており、為替レートの相対的な安定を維持するシグナルとみられている。

中国を拠点とするトレーダー8人を対象とした民間調査では、中期的に人民銀行は経済イベントに基づき人民元の方向を決定し、年末まで下落を容認する可能性があるとの見方が示された。

今年の人民元はそれぞれ2%程度のレンジ内で下落・上昇し、1ドル=6.46─6.2元で推移すると予想されている。年初の圧倒的な上昇予想と対照的な結果となった。

人民元の大幅下落は中国からの資金流出につながり、成長を圧迫する可能性がある。

第1・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は約3年ぶり低水準の8.1%に減速した。第2・四半期については、8%を下回るとの見方が広がっている。年初時点では8.5%の成長を予想する声が多かった。

ある北米銀行のディーラーは「最近はマクロ経済面での驚きが多く、人民元が前年比下落で今年を終えても驚きはない」と述べた。

経済指標の中でも悪化が目を引くのは貿易統計で、中国への資金流入鈍化を示唆している。

これにより人民元上昇圧力は和らぎ、人民銀行が元高抑制のために介入する必要は後退する。

先週の人民銀行の発表によると、人民銀行と中国の金融機関は4月に外為市場でネットで606億元(96億ドル)を売却。国内企業によるドル保有が増えている状況が明らかになった。

昨年第4・四半期までは、人民銀行と商業銀行は国内企業から大量のドルを買い入れていたが、景気減速で企業の姿勢が一変した。

ある国有銀行のトレーダーは「企業が手にしたドルをすぐに売ろうとする姿勢が、昨年の第4・四半期ごろから反転し始めた」と指摘する。

今年大統領選挙を控えた米国が、人民元の上昇一服にどう反応するかということも不確定要素となる。人民元相場には外交的側面が強く、これまでの上昇は米国の圧力が背景となることが多かった。

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