[フランクフルト 24日 ロイター] 24日発表されたユーロ圏の経済指標が弱い内容となったことを受け、エコノミストの間で欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が強まった。
5月のユーロ総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は、2009年6月以来の低水準となった。企業が値下げで消費喚起を図っているにもかかわらず、製造業、サービス部門ともに予想以上のペースで低下した。5月の独IFO業況指数も予想以上に低下した。
これを受け、エコノミストの間では、経済と政策金利の見通しを修正する動きが相次いだ。ECBが過去最低の1%となっている政策金利を向こう数カ月間に引き下げるとの見方が広がった。
大和証券(ロンドン)のエコノミスト、トビアス・ブラットナー氏は「ギリシャ情勢や最新の統計を受けて、経済予測の見直しを行った。ECBは追加利下げを実施することにより、経済見通しの悪化に対応する公算が大きい」との見方を示した。
その上で「利下げ時期が7月になるのか、あるいは昨年11月に予想外の利下げに踏み切ったように、来月利下げを行ってわれわれを驚かせるかが現時点で唯一の問題だ」と話した。
JPモルガン、BNPパリバも利下げ方向に金融政策見通しを修正した。
BNPパリバのケン・ワットレト氏は「金利見通しを修正した。現在は、6月に0.25%の利下げがあり、第3・四半期末までに0.5%になると予想している」と述べた。
シティも年内は主要政策金利が1%に据え置かれるとの見通しを修正し、第3・四半期までに0.5%引き下げられるとの見方を示した。
同行のユーロ圏エコノミスト、ヨーガン・ミッシェルズ氏は「われわれは新たなシナリオとして、ギリシャのユーロ圏離脱を想定している。その結果、ECBは追加の長期資金供給オペ(LTRO)を実施し、政策金利を0.5%まで引き下げると予想している」と語った。
この日発表された指標は経済の悪化を裏付けており、ECBは1%を越える水準まで利下げを行うことになるだろうと述べた。
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