[ロサンゼルス 5日 ロイター] ソニー6758.Tのゲーム子会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のアンドリュー・ハウス社長は5日(日本時間6日)、携帯型ゲーム機「プレイステーションVITA」の2012年度の1000万台の販売計画について、年末商戦に向けて目玉ソフトを投入するとともに、ネットワークコンテンツを充実させることで達成を目指していく考えを示した。
ロサンゼルスで開幕した世界最大のゲーム見本市「E3」で、ロイターのインタビューに答えた。
据置型ゲーム機「プレイステーション3」は06年の発売から6年目になる。一方で、任天堂7974.OSは、プレステと同じ年に発売した据置型機「Wii」の次世代機を年末商戦に投入する計画がある。ただ、ハウス社長は「プレステは10年のライフサイクルは十分期待できる」と述べ、次世代機の投入よりも現行機のソフト充実に力を入れる構えを示唆した。
インタビューの内容は以下のとおり。
――12年度の携帯型ゲーム機「プレイステーションVITA」の販売台数は、プレイステーションポータブル(PSP)と合わせて1600万台と公表しているが、VITAの内訳はどのくらいか。
「今期はVITAだけで1000万台を目指している」
――VITAの11年度の販売実績は、昨年12月に発売から4カ月弱で180万台。今期の1000万台はどう達成するか。
「携帯ゲーム機は季節性があるので年末が大事。それに向かって、目玉ソフトの「コール オブ デューティー」や「アサシン クリード」の新作を出す。またソニーの自社ソフトも出していく。それからVITAの強みのネットワークサービスを導入したい。YouTube(ユーチューブ)用アプリに続き、Hulu(フールー)も配信が決まった。ソフトとネットワークの2つの柱で展開したい」
――今期はゲーム事業で増収増益を目指しているが、VITAの販売動向がカギになるか。
「(06年に発売して)やや成熟しているプレイステーション3が収穫期に入っている。発売から初期段階のVITAより6年前に発売したプレステ3の方が利益が出る」
――VITAの1000万台達成は、増収増益の絶対条件ではないということか。
「もちろんそれは目指すがメインではない。プレステ3はソフトビジネスの貢献が大きくネットワークのデジタルコンテンツの購入も順調で、マージンからするといいビジネスになっている」
――プレステ3の次世代機はどこまで検討しているか。
「次世代機については何も言うことはない。ただ、プレステは10年のライフサイクルは十分に期待できる。ゲーム業界ではハード発売から5―7年くらいになると、新しいゲームや知的財産が出てこなくなるというが、ソニーとしてはその考えをとってない。その証拠としてE3では、「ザ・ラスト・オブ・アス」「ワンダーブック」「ビヨンド」などまったく新しい形態のソフトを見せることができた。それぞれのソフトでこれからのプレステ3の将来性をみせることができると思う」
(ロイターニュース 村井令二)
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