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焦点:瀕死のギリシャ経済、命運握る観光業に暗雲

[キリニ(ギリシャ) 7日 ロイター] 五輪発祥の地オリンピアにも近いギリシャ最大級のリゾート地、オリンピア・リビエラ・リゾートでマネージャーの仕事を得た2005年当時、ミカリス・ミナダキスさんは金の卵を産むニワトリを手に入れた気分だったという。それから7年、状況は大きく変わった。

6月7日、ギリシャの全雇用の20%を占めるなど同国経済の生命線の1つとなっている観光業だが、その先行きには暗雲が漂っている。写真はアテネの観光名所パルテノン神殿(2012年 ロイター)

債務危機に見舞われたギリシャにはユーロ圏離脱論も浮上し、社会的混乱を懸念して海外からの観光客の足も遠のき始めている。観光業で一山当ててやろうというミナダキスさんの夢はもろくも崩れ去った。

「ギリシャの観光業にとってドイツ人はお得意様だったが、今では怖がって足を運んでくれない」。ミナダキスさんは閑散としたホテルのプールを眺めながらこう語った。今年の予約件数は前年比25%減に落ち込み、ドイツ人観光客の客足は半減しているという。

ギリシャの観光産業は国内総生産(GDP)の15%、全雇用の20%を占め、失業率が20%を超える同国経済の生命線の1つとなっている。

ギリシャの観光業界団体SETEのアンドレアス・アンドレアディス代表は、「今年の売上高は10─15%減となるだろう」と予測。ギリシャ中央銀行によると、第1四半期の観光収入は3億9630万ユーロと、すでに前年比15.1%減となっている。

ホテル経営者協会のヤニス・レトソス代表は、損失を抑えることが重要だとし、「10%減収にとどめられれば成功の範囲だ」と話した。

<ドイツ人のギリシャ離れ>

ギリシャで拡大する社会不安の一因は、先月の総選挙で緊縮財政か否かをめぐって決着がつかず、再選挙にもつれ込んだことにある。再選挙が行われる6月17日は、すでに観光業にとっての書き入れ時に入っており、ホテル経営者や旅行会社は気が休まらないことだろう。

また、ギリシャ国民の間でドイツに対する憎しみの感情が増大しているとする国際メディアの報道も「ギリシャ離れ」をあおっている。ドイツからの観光客の1人は「ギリシャ人がドイツ人を嫌っているという報道があったので、ここに来るのは少し不安だった」と語った。

昨年ギリシャを訪れたドイツ人観光客は約220万人だったが、今年はギリシャの代わりにスペインやトルコを目的地に選ぶドイツ人が多いという。すでに10軒以上のホテルが廃業した首都アテネをはじめ、大きな都市ほど深刻な打撃を受けている。

ホテル経営者協会のレトソス代表は、「ギリシャとドイツの関係がこじれているのは大きな問題だ。関係修復には時間が経つのを待つしかない」と話した。

独旅行大手のTUIは先月、同社の代理店に「ギリシャがユーロ圏を離脱し、再び(旧通貨)ドラクマを使うようになったらどうなるのか」との問い合わせが殺到したため、ギリシャ行きの旅行客には現金でユーロを多く持っていくよう勧めた。

「友達にギリシャに行くことを話したらクレージーだと言われた」。こう話すポーランド人男性も、万が一の事態に備え、多くのユーロを持ってきていた。

<国内旅行にも暗雲>

昨年、ギリシャを訪れた観光客は1650万人を記録した。それまでの2年間は低迷が続いたが、旅行代金の安さに加え、エジプトやチュニジアの政変も手伝って観光客人気を取り戻した。観光業界がそのまま回復に向かい、低迷する経済も立て直せるのではないかという期待さえ浮上した。

東欧やロシア、イスラエルなどからの客足増加が、ドイツや英国からの観光客減少を埋め合わせる可能性もあるが、観光当局は、それだけでは足りないと悲観的な見方を示す。

ギリシャの観光収入の最大25%を占める国内旅行も先行きは暗い。ギリシャ国民は、給与や年金の削減、リストラ、増税で生活自体が苦しくなっているのが実情だからだ。

ペロポネス半島南東に位置するモネムバサの中心部で、伝統の家業である銀の宝飾品づくりを続けるアナスタシア・リビエラトーさんは、閑古鳥が鳴く店の窓から寂れた通りを眺め、「ギリシャ人のお客さんはもう来ない。物を買うだけのお金がないから」と嘆いた。

(原文執筆:Yannis Behrakis、Renee Maltezou記者、翻訳:梅川崇、編集:宮井伸明)

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