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アングル:ユーロ「拒否」のデンマーク、クローネは「安全通貨」に

6月12日、デンマーク・クローネが対ユーロで強含んでいる。コペンハーゲンで2008年8月撮影(2012年 ロイター)

[東京 12日 ロイター] デンマーク・クローネが対ユーロで強含んでいる。ギリシャのユーロ離脱問題がマーケットの大きな懸念になっているが、デンマークはかつて国民投票でユーロの導入を否決。いまでは通貨クローネは「安全通貨」と目されている。

ユーロ圏と密接な経済関係にあり、国内においてもユーロが重要な存在となっているデンマークだが、国民のクローネへの信頼は大きく、経済規模やユーロをめぐる価値観の違いなど、ギリシャとは対照的な立場にある点も注目される。

デンマーク・クローネはユーロとのペッグ制が採用され、外国為替市場では非常に狭いレンジ内での推移を続けている。しかし、ギリシャでの2回目の総選挙が迫り、結果次第では「ユーロ分裂」が現実味を帯びるなか、デンマーク・クローネは対ユーロで狭いレンジながらも上昇している。デンマークはトリプルAの格付けを有する国であり、デンマーク・クローネは「安全通貨」と目されているためだ。

デンマークは2000年の国民投票でユーロの導入を否決したが、「首都コペンハーゲンのレストランや百貨店など外国人観光客が多数訪れる場所ではユーロで支払が可能なほか、貿易決済や企業のM&Aなどの場面ではユーロが用いられる場面が多いなど重要な存在」(ジェトロ海外調査部・欧州ロシアCIS課の岩井晴美氏)であるという。

ただデンマークでもユーロへの信頼度は低下。アナス・カーステン・ダムスゴー駐日デンマーク大使は、今回のユーロ圏債務危機で、デンマークの多くの人々がユーロにより懐疑的になっていると指摘する。「銀行預金やローンもユーロ建てのものが提供されているが、ユーロ建ての預金やローンはデンマーク・クローネへの高い信頼のためにそれほどポピュラーではない」。

「デンマークの人々には満足感が漂っている」――在デンマーク日本大使館に1999年から2001年にかけて駐在し、現在は藤末健三参議院議員の政策担当秘書を務める寺田和弘氏は、デンマークの人々の印象をこう語る。デンマークの人々の社会や福祉制度に抱いている満足感こそ、ユーロ否決の1つの要因だった。デンマーク国民はユーロ導入が象徴事例となって自国の高レベルの社会福祉制度が弱体化することを嫌った。近年、「国民の幸福度」をランクする試みが広く行われているが、デンマークは首位の常連国だ。

国際通貨基金(IMF)の統計によれば、2000年当時のデンマークの1人当たりの国内総生産(GDP)は3万0033ドルで、同年のギリシャの1人当たりGDPは1万1661ドル。それが、2010年にはデンマークが5万6369ドル、ギリシャが2万7310ドルとなった。ギリシャのGDPは2倍強に増えたものの、デンマークとの差は約1万8300ドルから2万9000ドルに開いた。

「ユーロは導入国が着実に増える通貨だ」――2007年当時、ある通貨ストラテジストはユーロの需給面の強さをこう説いた。ユーロ/ドルは2008年7月にかけて上昇基調を維持し、1.6ドルを突破。導入来高値を付けて「覇権」を極めようとしていた。しかしながらデンマーク国民はEUの覇権主義を嫌い、2000年の国民投票でユーロ導入に「Nej」(「ナイ」=デンマーク語で「いいえ」)の結論を下した。緊縮財政には反対でもユーロの傘のもとにはとどまりたいとするギリシャの人々とはこの点でもまた対照的と言える。

(ロイターニュース 和田崇彦 編集:伊賀大記)

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