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ギリシャ問題は17日で終わらない懸念、日米中銀会合に期待も

[東京 13日 ロイター] 「銀行同盟」構想に欧州中央銀行(ECB)が積極的な姿勢を見せたことなどが好感され、株高・債券安となっているが、動きは小幅。ギリシャ問題は国内意見が二分していることから17日の再選挙以降も不安定な情勢が続くとみられているほか、イタリアに債務問題が波及する不安も強まっている。

6月13日、「銀行同盟」構想に欧州中央銀行(ECB)が積極的な姿勢を見せたことなどが好感され、株高・債券安となっているが、動きは小幅。5月撮影(2012年 ロイター/Yannis Behrakis)

日米の中銀会合を控えて期待も出ているが、市場の慎重ムードは依然強い。

<懸念される「ドミノシナリオ」>

マーケットは17日のギリシャ再選挙に注目しているが、選挙の結果が判明した後もユーロ離脱懸念がくすぶり続ける可能性がある。緊縮財政推進派の旧連立与党で第1党の新民主主義党(ND)と、同国をユーロ圏離脱に追い込みかねない政策を訴える急進左派連合(SYRIZA)の支持率はきっ抗しており、NDが勝利しても、SYRIZA支持派の不満は残る。ユーロ圏財務相のスペインの銀行支援合意で、ギリシャに求められている厳しい緊縮財政への反発も強まっており、国内デモが広がり再々選挙が実施されるリスクもあるため、市場の警戒感は強いままだ。

SYRIZAが勝利しても、すぐにユーロ離脱ということにはならないとみられている。「ドラクマへの移行は時間がかかる。そのほかいろいろな準備が必要であり、最低でも2年は必要ではないか」(準大手証券ストラテジスト)という。各国はギリシャのユーロ離脱に備えた準備を進めており、ギリシャ単独での影響はそれほど大きくならない可能性がある。

市場が懸念するのは「ドミノシナリオ」だ。ユーロ離脱がギリシャにとどまらず、ポルトガル、スペイン、イタリアと連鎖するのではないかとの不安が広がれば、「リスクオフが一気に加速する可能性がある」(国内証券投資情報部)という。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「SYRIZAが勝利し、ユーロ離脱の可能性が高まれば、次はどこかと不安が連鎖する。連鎖を断ち切るためには欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の資金枠を一気に1兆ユーロまで倍増するとか、『カネ』を市場に見せる必要があろう」と指摘。ギリシャ選挙が終わっても市場の不安は消えないとの見方を示している。

為替市場では、ギリシャ選挙を控えてポジション調整が取引の中心だ。ドル/円は投機筋の円ロングがやや巻き戻される中で底堅く推移したが、ギリシャ選挙などのイベントを控え、「ポジションを大きく振り回している参加者はおらず、目立った動きはほとんどない」(大手邦銀)という。ユーロ/ドルは1.24ドル後半を中心に、上値の重い展開が続いている。

<「銀行同盟」には意見分かれる>

市場の終わらない不安を鎮めるために浮上してきた構想の1つが「銀行同盟」だ。国境を越えて欧州連合(EU)全体をカバーする銀行預金の保証と、金融機関に対する課徴金を原資とする救済基金、破たん銀行を処理する清算基金の設立、新たな監督機関の設置などが構想の柱となっている。一部の国の財政ルール逸脱を防ぐ権限を持った「財政同盟」の設立が前提であるとの意見も多いが、スペインの銀行問題が深刻化したことで、フランスなどから支持する声が目立ってきている。

12日の海外市場ではECBが半期金融安定報告書で、「銀行同盟」を創設することにより、ユーロ圏の耐久性が高まるとの見方を示したことが好感された。コンスタンシオ副総裁は、「銀行同盟」を創設するために「完全な『財政同盟』が必要になることはない」と述べ、「銀行同盟」が「財政同盟」よりも早い時期に創設されることもあり得るとの考えを示した。

ただ、ドイツは依然慎重だ。同国政府は、効力のある安全網が整備されていない場合、負担を肩代わりせざるを得なくなると懸念。ドイツ連銀のラウテンシュレーガー副総裁は「銀行同盟の下では、ある1国の銀行システムの危機のために他の国々の納税者の金が使われる可能性がある。銀行危機の場合はそのコストがとりわけ大きく、費用を負担する人々が統制する権利を持つべきだ」と述べている。

前場の日経平均.N225は小反発したが、米株高や円高一服を好感した買いが一巡した後は上値が重くなっている。東証1部売買代金は4016億円と依然として薄商い。「企業収益は堅調で減益見通しが強まったわけではない。PERなどバリュエーションも低くなってきた。株価のレベル感は悪くないが、待ち受けるイベントが多く上値を変えない状態が続いている」(立花証券・執行役員の平野憲一氏)という。

<日銀のETF購入枠拡大に期待も>

不安定な相場が続く中、マーケットでは日米の中銀会合を控えて追加緩和策への期待も出ている。14─15日の日銀決定会合では政策据え置きが市場のコンセンサスだが、「日銀による指数連動型上場投資信託受益権(ETF)、不動産投資信託(J─REIT)の購入枠が少なくなっている。期待度は低いが、14─15日の日銀決定会合で積み増しがあれば株価はポジティブに反応しそうだ」(大手証券)との声も聞かれる。

2010年12月以来、日銀はETFを計57回で1兆2763億円買い入れている。現在、1兆6000億円の枠があり、来年12月までの残りは3237億円。6月4日以降、1回当たりの購入額を397億円から263億円に減額したが、このペースが続けば後13回で枠を超える。

J─REITはこれまでに計55回で917億円を購入しているが、こちらも1回当たりの購入額が23億円から13億円に減額されている。買い取り枠1200億円のうち、残り枠は283億円。ただ、J─REITはマーケット規模が3兆円程度しかないことから、「これ以上の購入は市場を歪める恐れがある」(外資系証券)との指摘も出ている。

一方、19─20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、欧州問題が深刻化し、新興国経済が減速感を強める中で、追加緩和策への期待が出ている。IGマーケッツ証券・為替担当アナリストの石川順一氏は「欧州債務危機の影響が中国やインドといった新興国へ波及し始めているなか、その影響が米経済にまで波及する可能性を米経済指標が示唆すれば、市場は来週のFOMCで追加緩和に言及してくる可能性を意識するのではないか」と述べる。

5月米輸入物価は前月比1.0%下落と、2010年6月以来の落ち込みとなった。消費者物価指数(CPI)の上昇率もガソリン価格の落ち着きで前年比2%前半で足踏みとなっている。追加緩和のハードルは低くなってきていると石川氏は指摘している。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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