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ギリシャ再選挙、緊縮派が過半数確保へ:識者はこうみる

[アテネ/ロンドン 17日 ロイター] 17日行われたギリシャの再選挙は、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)と合意した緊縮策を支持する新民主主義党(ND)が勝利を収め、緊縮策の撤回を求めていた急進左派連合(SYRIZA)は敗北を認めた。

6月17日、ギリシャ再選挙では、新民主主義党、全ギリシャ社会主義運動の2党が全議席の過半数を確保へ。写真はテレビの開票速報を見つめる市民(2012年 ロイター/Yorgos Karahalis)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●いったんは危機シナリオ回避

<JPモルガン証券 チーフ債券ストラテジスト 山脇貴史氏>

ギリシャの再選挙ではサマラス氏が率いるND(新民主主義党)が勝利。PASOKがどこまで本格的にNDのサポートをするかによって新政権の安定性が変わってくるが、ND/PASOKの連立政権が樹立することはほぼ確定的であろう。いったんは危険シナリオを回避し、安心感が広がりそうだ。 再選挙でNDが勝利することが判明した後の為替市場や米国債先物をみていても、それほど大きな動きにはつながっていない。手放しでリスクオンに戻ることは無いだろう。

今後はND/PASOKの連立政権がトロイカとの緊縮財政再交渉をいかに速やかに決定できるかに焦点が移る。交渉が難航すれば、預金流出の再加速、ポルトガルへの伝播、予算停止による社会不安などが再燃し、リスク回避的な行動が再び広まるであろう。ギリシャの銀行が預金流出に対応するための資金をELAから確保できなくなれば、ユーロからの離脱に相当するため、預金流出の加速が最大のリスク。再交渉が早期に決着することが求められる。

ただ、NDは 選挙戦のために緊縮財政の一部撤回を公約とした。一方で、スペイン救済で銀行への直接資本注入を認めなかったドイツの姿勢を踏まえると、欧州サイドの大幅譲歩も考えにくい。着地点を探るのには相応の労力が必要。選挙結果を受けて、リスク回避の巻き戻しが予想される。しかし、他の懸念材料(景気後退エリアの拡大・金融政策の限界・スペイン救済など) を踏まえると、本格的なリスクオンにはつながらない可能性が高いのではないか。

●ユーロ相場は楽観を許さない、1.30ドル上抜けは困難

<野村証券 金融市場調査部 チーフ為替ストラテジスト 池田雄之輔氏>

ギリシャの総選挙は想定されるシナリオの中では最善の結果となった。ギリシャがユーロの離脱を迫られるというテールリスクの確率は大きく後退したといえよう。為替市場では総じてリスクラリーを期待できる展開であり、豪ドルなどリスクセンチメントに左右されやすい通貨にとっては追い風となるだろう。

ただし、ユーロ相場は楽観を許さない状況が続いており、節目の1.30ドルを目指すことはあっても上抜けするのは難しいと判断する。

その理由は、第1にギリシャでは緊縮派の安定政権が誕生した場合でも、トロイカとの融資条件の再交渉が必須であること、第2にスペインの銀行問題を巡っては欧州による支援スキームが依然不透明であること、第3に欧州景気の失速が鮮明になってきており、海外マネーにとって投資対象としてユーロ圏資産の魅力が低下していること──があげられる。

●債券市場の不安続く、スペインなど懸念

<クレディ・アグリコル(ロンドン)の金利ストラテジスト、ピーター・チャットウェル氏>

債券市場に安心感が広がるとは言いがたい。スペイン、イタリア国債に安心感が広がるとは言えないからだ。スペインの運命はスペイン自身の行動にかかっている。市場のメカニズムによって行動しなければならない。

イタリアはスペインの状況に左右されるだろう。

一部の資金はドル建て資産から欧州市場に戻るだろうが、周辺国の債券が大きく上昇するとは思えない。上昇しても一時的だろう。

例えば、スペインは今週入札がある。スペイン国債が上昇する局面では、かなりの売りが出て入札に備える展開になるだろう。

●市場にプラス、次はG20と流動性対策に注目

<REYL(ジュネーブ)のフランソワ・サヴァリ最高運用責任者>

新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の連立の可能性が出てきたのは良いことだ。ドイツも金融支援プログラムの再交渉に前向きのようだ。市場にとってはプラスだが、まだ経済成長とスペインの問題が残されている。

新たな資金供給は必要だろう。ドイツ連邦債は、ギリシャの支援コストをドイツが負担するとの見方から売られる可能性がある。

次のポイントは20カ国・地域(G20)首脳会議と新たな流動性供給の決定だ。

選挙結果を受けて市場に安心感が広がるかもしれないが、これで問題が終わったわけではない。

●とりあえず安心感広がる=クレアインベスト

<クレアインベストのファンドマネジャー、ION-MARC VALAHU氏>

選挙結果が確認されれば安心感が広がるだろう。とりあえずは、ギリシャや欧州連合(EU)にとって最悪の事態はさけられることになるためだ。また、再選挙の実施は他のEU諸国に対し、ギリシャは緊縮策だけでは生き残っていけないことを認識させることになった。

当面は市場が安定する見込みで、ユーロは既に対ドルで1.27ドルを上回っている。もっとも、危機が終息するにはほど遠く、今後数週間にわたってユーロ圏を守るために重要な会合や決定が行われることになる。

●ユーロ残留確信できれば転機に

<UBSイタリアSIM(ローマ)の会長、INNOCENZO CIPOLLETTA氏>

ギリシャの選挙結果は欧州連合(EU)とのさらなる交渉に役立つ。従って市場にとっても、より好ましい結果と言えるだろう。

市場は現在、どの国がユーロを維持し、あるいは維持しないかで疑心暗鬼の状態だ。ギリシャがユーロ圏にとどまると市場が確信すれば、ターニングポイントとなる可能性がある。一方、ユーロ圏が長続きしない方に市場が引き続き賭けるのであれば、ギリシャ、イタリア、その他の国には災厄を意味する。

●政権基盤ぜい弱、リスクオンは一時的

<RIAキャピタル・マーケッツ(エジンバラ)の債券ストラテジスト、ニック・スタメンコビッチ氏>

連立政権の樹立は可能かもしれないが、政権基盤は極めてもろいものになるだろう。新民主主義党(ND)の急進左派連合(SYRIZA)に対するリードはごくわずかだ。大きな政策変更を議会で通すのは非常に難しい。

市場に安心感が広がったとしても一時的だろう。ただ、最悪のシナリオは避けられた。

急進左派連合の敗北で、ユーロ離脱の可能性が大幅に低下したため、株式などリスク資産市場全般に安心感が広がるとみられるが、すぐに基本的な状況に変化はないとの見方が浮上し、伸び悩む展開になるだろう。

市場では、数カ月後にはまた選挙があるのではないかとの懸念が浮上するとみられる。

●政権の安定がカギ、問題先送りも

<チャネル・キャピタル・リサーチ・ドット・コム(米ニュージャージー州)のチーフ・インベストメント・ストラテジスト、ダグ・ロバーツ氏>

現時点で決定的な打開策はなく、今後一定の妥協を迫られるとみられる。連立政権の樹立を目指す可能性が最も高いが、政治的な駆け引きの結果、政権がどの程度安定するかが本当の問題だ。

ただ現時点では、問題を先送りして時間を稼ぐ可能性のほうが高い。いずれにしても安定した状況とはいえない。

*内容を追加して再送します。

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