[ニューヨーク 21日 ロイター] 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは21日、大手金融機関15社を格下げした。同社は大手金融機関の格付けを幅広く見直しており、格下げは予想されていた。
同社はJPモルガンJPM.Nの長期優先債務格付けをAa3からA2に引き下げ、見通しを「ネガティブ」とした。
モルガン・スタンレーMS.Nについては、長期優先無担保債務格付けを「A2」から「Baa1」に2段階引き下げ、見通しを「ネガティブ」とした。
ムーディーズは2月に、モルガン・スタンレーの格付けを最大で3段階引き下げる可能性があると表明していたが、実際は2段階の引き下げにとどまった。
モルガン・スタンレーはトレーディングの規模が比較的大きいことなどから、米銀の中でムーディーズによる格下げの影響を最も受ける銀行だとみられていた。
一方、クレディ・スイスの格付けが3段階引き下げられた。
15行のうち、長期優先債務格付けは4行が1段階、10行が2段階、1行は3段階引き下げられた。
ムーディーズのグローバルバンキング・マネジングディレクター、グレッグ・バウアー氏は「格付け見直しの対象となったすべての銀行は、資本市場の活動に伴うボラティリティーや大規模な損失を被るリスクに著しくさらされている」とする一方、「しかしながら、これらの銀行は多くの場合、市場をリードするビジネスに関わっており、それはムーディーズが信用を評価する上で中心的役割を果たす。その活動は資本市場業務から生じる可能性のあるボラティリティーを和らげる重要な『緩衝材』となっているが、独自のリスクや困難さももたらしている」と述べた。
主な銀行に関する格付け変更は以下の通り。
<バンク・オブ・アメリカ>
長期優先無担保債務格付けを「Baa1」から「Baa2」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。
短期債務格付けは「P―2」で据え置き。
<バークレイズ>
長期発行体格付けを「A1」から「A3」に引き下げ、見通し「はネガティブ」。
短期債務格付けを「P―1」から「P―2」に引き下げ。
<シティグループ>
長期優先債務格付けを「A3」から「Baa2」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。
短期債務格付けは「P―2」で据え置き。
<ゴールドマン・サックス・グループ>
長期優先無担保債務格付けを「A1」から「A3」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。
短期債務格付けを「P―1」から「P―2」に引き下げ。
<HSBCホールディングス>
長期優先債務格付けを「Aa2」から「Aa3」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。
短期債務の予備格付けは「(P)P―1」で据え置き。
<JPモルガン・チェース>
長期優先債務格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。
短期債務格付けは「P―1」で据え置き。
<モルガン・スタンレー>
長期優先無担保債務格付けを「A2」から「Baa1」に引き下げ。見通しは「ネガティブ」。
短期債務格付けを「P―1」から「P―2」に引き下げ。
<ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ>
長期優先債務格付けを「A3」から「Baa1」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。
短期債務格付けは「P―2」で据え置き。
<クレディ・スイス>
長期預金および優先債務格付けを「Aa1」から「A1」に引き下げ。見通しは「安定的」。
短期債務格付けは「P―1」で据え置き。
<クレディ・アグルコル>
長期債務および預金格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ。見通しは「ネガティブ」。
短期債務格付けは「P―1」で据え置き。
<BNPパリバ>
長期債務および預金格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ。見通しは「安定的」。
短期債務格付けは「P―1」で据え置き。
<ドイツ銀行>
長期預金格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ。見通しは「安定的」。
短期債務格付けは「P―1」で据え置き。
<ソシエテ・ジェネラル>
長期債務および預金格付けを「A1」から「A2」に引き下げ。見通しは「安定的」。
短期債務格付けは「P―1」で据え置き。
<UBS>
長期債務および預金格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ。見通しは「安定的」。
短期債務格付けは「P―1」で据え置き。
<ロイヤル・バンク・オブ・カナダ>
長期預金格付けを「Aa1」から「Aa3」に引き下げ。見通しは「安定的」。
短期債務格付けは「P―1」で据え置き。
*内容を追加して再送します。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」