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アングル:英国苦しめる「孤立」、最大の輸出先ユーロに対しポンド上昇

[東京 3日 ロイター] 「栄光ある孤立」が英国を苦しめている。欧州の通貨統合に加わらなかったことで、金融政策を独立して決定し、財政緊縮も先行して行ってきたが、英国債が安全資産と目された結果、ポンドは対ユーロで上昇。英国の最大の貿易相手はユーロ圏であり、英輸出産業にダメージをもたらす皮肉な結果となっている。

7月3日、「栄光ある孤立」が英国を苦しめている。最大の輸出先ユーロに対しポンドが上昇し、英輸出産業にダメージをもたらす皮肉な結果となっている。ロンドンで2003年5月撮影(2012年 ロイター/Peter MacDiarmid)

一方、景気は低迷するなかで追加緩和期待は一層強まり、対円、対ドルではポンド先安観が強い。

4月から5月半ばにかけて、ユーロ/ポンドは一本調子で下落し、ポンドは対ユーロで08年11月以来の高値を付けた。ポンドが上昇する中、市場参加者の脳裏をよぎったのは、19世紀後半、英国が非同盟主義を貫いたことを象徴する言葉「栄光ある孤立」だ。

債務危機に苦しむユーロ圏構成国とは対照的に、英国政府は先行して財政緊縮路線を推進。市場のリスクオフモードが強まるなかで、英国債が投資資金の逃避先となった。債務問題でユーロに振り回された欧州の投資家には、英国が統合欧州の中で「孤立」を貫いて金融政策を独立して行い、あわせて財政緊縮にまい進する姿がポンドの買い安心感につながったと、邦銀の関係者は指摘する。

しかし、英国にとって最大の貿易相手はユーロ圏。英国からの輸出の約半分を占めている。欧州のなかで「栄光ある孤立」を貫いた結果、対ユーロでのポンド高につながり、そうでなくても振るわない英国経済を圧迫する皮肉な結果になった。

英国の1―3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス0.3%と2四半期連続のマイナス成長を記録。市場では「財政再建の悪影響やユーロ圏の景気悪化などもあって、英国の成長力は弱い」(国際金融情報センター・ブラッセル事務所)とみられている。ロンドン五輪が目前に迫っているが、オリンピックでの景気回復は一時的なものでしかないとの見方が多い。

英国では政府が財政緊縮策を推進するなか、負担がかかるのは「孤立」を選んだことで独立して行えるようになった金融政策だ。イングランド銀行(BOE、英中央銀行)のバランスシートは金融緩和を開始して以来、3倍以上に拡大しているが、追加緩和期待は依然大きい。

BOEは4日からの金融政策委員会(MPC)で量的緩和の拡充に乗り出すとみられている。6月20日に公表された前回のMPCの議事録では、キング総裁を含めた4名が量的緩和の拡大を支持し、5対4の僅差で資産買い入れ枠の据え置きが決定していたことが判明した。足元で英国のインフレ率の伸びが鈍化していることも、金融緩和を後押しする。

英国がリセッションに陥っていることで、量的緩和の効果について懐疑的な見方も出ているが、BOEとしては量的緩和の効果に信頼を置き、今後も「信念をもって緩和策を推進する」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの細尾忠生エコノミスト)とみられている。

対照的に、日米では、金融緩和姿勢そのものは維持しているものの、経済が比較的底堅いために、市場では緩和ペースを即時に強める状況にはないとの見方が多い。このため、ポンドは対円、対ドルでは先安観が強い。ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア通貨ストラテジスト・村田雅志氏は、英国の景気と金融政策が日米のそれとは方向感が異なるとして、ポンドに弱気スタンスをとっている。

(ロイターニュース 和田崇彦 編集:伊賀大記)

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