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アングル:小沢新党結成、政界再編の序曲に

[東京 11日 ロイター] 消費増税法案に反対し民主党を除名された小沢一郎元代表らが11日、正式に新党を立ち上げる。世論調査でみる小沢新党への国民の期待度は15%前後と低調だが、党内に残る「離党予備軍」が波乱要因となり、野田政権は野党頼みの政権運営を強いられている。

7月11日、消費増税法案に反対し民主党を除名された小沢一郎元代表(写真)らが、正式に新党を立ち上げる。都内で3月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

法案成立後の衆院解散・総選挙も「11月解散」説から「来年1月の通常国会冒頭解散」説まで現実味をもって語られ始めた。民主党の分裂により、衆院解散・総選挙後の政界再編に向けた動きが始まったといえそうだ。

<総選挙後、第3極を巻き込んだ政界再編も>

党内の潜在的な矛盾を白日のもとにさらした民主党分裂が、政界再編の引き金を引いた。自民党の石原伸晃幹事長は先月、政界再編が起きるとすれば「選挙後だ」とその可能性を指摘。小沢氏の離党後には、民主党内でも選挙後の政界再編が「クリアーになった」(閣僚経験者)、「(選挙後の民・自・公大連立の可能性は)ある」(首相周辺筋)との声があがる。民主党分裂で政策の方向性の不一致が解消される結果だ。

政治アナリストの伊藤惇夫氏は「自民、民主とも分裂し、みんなの党や橋下氏(率いる大阪維新の会)を巻き込んだ政界再編になる」と第3極も巻き込んだ政界再編のうねりを予見した。

報道によると、橋下徹大阪市長は10日、今後の政局に関し「自民党と民主党で政界再編が起こる。首相を核に集まると、力強い政権になる」と述べ、初めて、野田首相を中心にした政界再編に期待する考えを示した。小沢氏も秋波を送る「大阪維新の会」との連携ができなければ、小沢新党の勢力は次の総選挙後には半減し「展望がない」(伊藤氏)。渦中の橋下氏の発言は今後の政局を左右することにもなりそうだ。

<自民も「今や早期解散は考えていない」との声>

消費増税を含む社会保障・税一体改革法案は順調に進めば、8月上旬には参院での採決の環境が整う。早期解散に追い込みたい自民・公明両党は、内閣不信任案や首相問責決議案を出して、解散に追い込むことも選択肢とするが、「今や早期解散は考えていない」(民主党幹部)との見方がもっぱらだ。法案成立直後の解散では消費増税の是非が争点化されてしまうためだ。

とはいえ、解散・総選挙が視野に入ってきたのも事実。政界からは「今年の秋から任期満了の来年夏までの間でタイミングをみるということだろう」(首相周辺筋)、「来年1月の通常国会冒頭解散」(閣僚経験者)などの声が公然と聞かれ始めた。与野党に太いパイプを持つ、たちあがれ日本の園田博之幹事長は今月初めのNHKの番組で、解散は11月になるとの見通しを示した。

「11月説」は、野田佳彦首相が9月民主党代表選で再選を果たした勢いで、内閣改造・3役人事を行い、9月下旬に臨時国会を召集。懸案の補正予算案や今通常国会で積み残される可能性も出てきた12年度特例公債法案を処理した後、解散に打って出るという見方だ。消費増税法案の採決がお盆明け後にずれ込めば、特例公債法案の会期内成立が難しくなり、同法案成立をカードにした話し合い解散が濃厚になるという。

民主党の前原誠司・政調会長は5日の記者会見で「秋に臨時国会を開き、景気対策やそれまでに議員定数削減など身を削る努力をするなかで、国民に信を問う環境を作っていくべきだ」と早期解散をけん制すると同時に臨時国会後の解散を示唆した。

公明党の斉藤鉄夫幹事長代行も9日のBSフジの番組で、特例公債法案について「賛成することは普通考えられないが、唯一考えられるのは政権側が大きな約束をすることだ。たとえば、衆院解散だ」と述べ、解散と引き換えに賛成する姿勢をにじませている。

秋の解散が「政権が追い込まれて解散」するのに対して、「来年1月の通常国会冒頭解散説」は、「自らの意志で解散に打って出るということ」(閣僚経験者)。この時には、消費増税への理解を得るために不可欠な「国会議員の身を切る努力」実現に向けた環境整備も整うとの読みがある。

関係者によると、「一票の格差」是正と国会議員定数削減を含む選挙制度改革は、法案が成立しても政府の衆院選挙区画審議会(区割審)が区割り案を策定し実施に移すまで「最短4カ月」かかるという。仮に今通常国会で法案が成立すれば、新制度での適用も可能になるタイミングになるとみられている。

衆院解散・総選挙は「早くても秋」(政治アナリスト・伊藤氏)と見込まれ、秋以降は「常在戦場」となりそうだ。

<「離党予備軍」の動静次第で政局流動化>

もっとも足元の政権運営の道は平たんではない。野田首相が政治生命をかけて取り組む消費増税法案は、順当にいけば、自民・公明の協力を得て、圧倒的多数で成立する公算が高い。しかし、法案に反対しながら党内に残り、小沢新党と連携を強める鳩山由紀夫元代表らの離党予備軍の動きが、内閣不信任決議案の提出とからみ、与野党の関心事になっている。

小沢氏は新党旗揚げ後に「新党きづな」と統一会派を組み、内閣不信任案提出などで政権に攻勢をかける構えだ。だが、統一会派を組んでも衆議院での勢力は46人で、内閣不信任案提出が可能な51人には満たない。鳩山グループからの離党が揺さぶりのきっかけとなる。

仮に小沢氏を中心とする野党が内閣不信任案を提出しても、自民党は同調しないとの見方が優勢だ。消費増税の3党合意に反対しての不信任案には同調しがたいとみられるためだ。しかし「感情論が噴き出せば、事態は一気に流動化する」(民主党幹部)リスクも否定できない。

さらに、自民党は、法案に反対しながら党内に残り、増税反対を主張し続ける鳩山氏に対して、厳格な処分どころか当初の処分を軽減した輿石体制に批判を強めている。石原伸晃幹事長は「民主党の中で改めることなく、引き続き(法案に)反対だということを参議院で言う人が呼応して出てくれば、そういう事態(参院での否決)も全く否定できない」と述べ、参院採決で反対に転じる可能性も示唆した。そうなれば、政局は一気に流動化する。

(ロイターニュース 吉川 裕子;編集 石田仁志)

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