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焦点:世界景気回復の地平遠のく、信用バブル崩壊の影響深刻

[ロンドン 11日 ロイター] 世界経済がいつまでも回復に至らないのは、約5年前に崩壊した信用バブルの規模を測定することさえまだ道半ばであることが一因かもしれない。この5年弱というもの、景気の持続的な回復は、地平線のはるかかなたに先延ばしされることの繰り返しだった。

7月11日、世界経済がいつまでも回復に至らないのは、約5年前に崩壊した信用バブルの規模を測定することさえまだ道半ばであることが一因かもしれない。写真は4月、フィリピンで撮影(2012年 ロイター/Erik De Castro)

イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のキング総裁は先月、世界経済の金融危機からの回復は道半ばにしか達していないと指摘。今では、世界経済を大きな「暗雲」が覆っているという不吉な発言までするようになった。

ヘッジファンド、GLGパートナーズのマネジャー、ジャミル・バズ氏はもっと悲観的だ。欧米の域内総生産(GDP)に対する債務の比率を持続可能な水準まで引き下げるとすれば、先進国のデレバレッジ、つまり債務圧縮過程はあと15─20年続く可能性があるという。

大半の投資家が抱く時間軸はキング総裁とバズ氏の中間あたりかもしれない。しかしもう何年もの間、投資機会といえば、政策当局者が定期的に投げる命綱やアップルAPPL.Oのような企業の成功がもたらす一時的なものか、そうでなければ比較的安全な最高格付け債券や高配当優良株にじっくり投資し続けるという辛い道のりしかない状態に、投資家は慣らされてきた。

シティ・プライベート・バンクの資産配分ヘッド、アレックス・ゴドウィン氏は「現在は複数年にわたるデレバレッジ環境の最中にあり、しかもそれは始まったばかりだ。米国のGDPに対する民間債務比率はわずかに低下したが、まだまだ道のりは長い。これまでの実績から単純に推計すれば、あと5年、もしかすると10年続くかもしれない」と話す。

<遠のく地平線>

厳しいデレバレッジなどにより、既に銀行貸し出しは2007年のピークから急減している。米国、ユーロ圏、日本、英国の4主要中央銀行は08年以来、合計6兆ドル以上の資金を供給した。

多くの人々が抱いてきた疑問は、問題の規模と、景気回復の時期を見定めるのがなぜここまで難しいのか、ということだ。

しかし元のバブルの規模と性質でさえ、ようやく姿が見えてきたにすぎない。それと併せて、信用創造に携わる民間部門が今なおどれほど傷んでいるかも分かってきた。

国際通貨基金(IMF)のエコノミスト、マンモハン・シン氏とコンサルタント、ピーター・ステラ氏の論文が今、エコノミストの注目を集めている。この論文は、金融危機前の銀行と投資ファンドの間の信用創造、つまり「影の銀行システム」による信用創造の規模に焦点を当てている。

論文は、金融機関同士が担保を再利用することで巨額の「新規」マネーを生み出した過程と、その後の銀行同士の不信感と担保受け付けの縮小によりマネーが吸い取られていった過程を詳細に説明する。

アジアのヘッジファンドやボストンの投資信託といった主体が債券を担保に銀行から資金を借りると、今度は銀行がこの債券を担保に差し入れる。この複雑な過程は「再担保契約(リハイポシケーション)」と名付けられている。

論文の推計によると、2007年のピーク時には、大手銀行がファンドや保管銀行から受け取った元の担保を再利用した比率は約3倍で、入り組んだ「担保網」の規模は10兆ドル超に達していた。これに対し、当時の通貨供給量M2は約7兆ドルだった。

2011年には再利用比率は2.4倍に低下し、規模はほぼ半減した。

論文は「失われた担保フローは推計4兆─5兆ドル」だとし、「信用コストの上昇となって経済に跳ね返る」と分析している。

中央銀行が債券の買い入れを通じて資金を供給しても、問題の解決にはつながらない。銀行に新規資金を供給するのと引き換えに、質の高い担保を金融システムから吸収するからだ。しかも慎重姿勢を強めている銀行は、供給された資金を中銀の口座に積み続けている。

しかし利用可能な担保の不足を埋めるためには、短期的に国債を減らすのではなく増やす必要が出てくるかもしれない。このことは、米国の国債発行上限やユーロ圏共同債の議論の核心に関わることだ。

また、むしろ2007年の状態に戻ることの方が望ましいのか、それとも長期的な金融安定のために金融システムを罰するべきなのか、という問題もある。

元の状態に回帰するのが賢明でないというなら、長く厳しい年月が続くことを覚悟している人々の気持ちも理解しやすい。

(Mike Dolan記者)

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