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ECB当局者が追加措置の用意示唆、預金金利引き下げでも資金滞留続く

[フランクフルト/ウィーン 12日 ロイター] 複数の欧州中央銀行(ECB)当局者は12日、ぜい弱なユーロ圏経済の下支えに向け、一段の措置を講じる用意があることを示唆した。

7月12日、複数の欧州中央銀行(ECB)当局者は、ぜい弱なユーロ圏経済の下支えに向け、一段の措置を講じる用意があることを示唆した。11日撮影(2012年 ロイター/Alex Domanski)

ECBは先週、主要政策金利であるリファイナンス金利を過去最低の0.75%に引き下げた。またECBに滞留する資金を減らし、融資拡大を促進するため、下限金利の中銀預金金利をゼロに引き下げた。

中銀預金金利引き下げはこの日発効。ECBのデータによると、これまでユーロ圏の銀行がECBに資金を還流させていた先である翌日物預金ファシリティーの残高が急減した。だが一方で、域内の銀行がECBに持つ当座預金の残高は5000億ユーロ近く跳ね上がり、翌日物預金から当座預金に資金が横滑りしただけであることが明らかになった。

融資拡大の兆候が見られない状況の中で、インフレ圧力は後退しており、ECB当局者は、一段の行動に踏み切る構えであることを示唆している。

クノット・オランダ中央銀行総裁は、13日付のフィナンシャル・タイムズ(FT)紙ドイツ版に掲載されるインタビューで、ユーロ圏経済が引き続き悪化した場合、ECBが0.75%を下回る水準にリファイナンス金利を引き下げることを妨げるものはないとの認識を示した。

その上で「現時点では0.75%の水準は適切」とした。

ECB当局者の中でもタカ派の中核とみられるクノット総裁がこうした発言を行ったことで、ECBの追加利下げがあり得ることが示された。

同日公表されたECB月報では、ユーロ圏経済の成長はぜい弱で、「高い不確実性」が信頼感を損ねているとの景気認識が示されている。

ノボトニー・オーストリア中銀総裁は「成長見通しは、欧州全域で悪化している」とし、「欧州連合(EU)およびユーロ圏内における成長格差が拡大している」との見方を示した。

ドラギECB総裁もこの日、追加措置は経済指標の内容次第と述べ、追加利下げに含みを持たせた。

同日公表された5月のユーロ圏鉱工業生産は前月比0.6%増となり、予想外に増加したものの、フランスやオランダでは減少し、債務危機による影響が域内中核国にも及んでいることがあらためて浮き彫りとなった。

またクノット・オランダ中央銀行総裁は、マイナスの中銀預金金利の可能性について、ECBにとって選択肢かどうか判断する前に、他国の経験から学ぶべきと指摘、可能性を排除しない考えを示した。

マクチ・スロバキア中銀総裁は「必要な場合、ECBはすでに使用した措置、もしくは新たな措置を講じる」としている。

<翌日物預金残高は急減>

ECBが12日発表したデータによると、翌日物預金残高は3250億ユーロと、前日の8000億ユーロ、6月の積み期の同時期の7000億ユーロをともに大きく下回った。

ボニチ・マルタ中銀総裁は翌日物預金残高の急減について「勇気付けられる」とし、企業・消費者への融資拡大につながるとの期待を示した。

だが域内の銀行がECB内に持つ当座預金ファシリティーの残高は、前日の740億ユーロから5400億ユーロに急増。銀行や他の投資家の行動に対する影響は限定的としていたドラギECB総裁の見方を裏付ける格好となった。

当座預金に預けても付利はないが、利便性がやや高い。

RBSの金利ストラテジスト、サイモン・ペック氏は「単に資金を別の場所に移動させているだけで、結局はゼロサムゲームだ」と述べた。

手元資金の使途は銀行次第だが、融資拡大につながるかどうかについては、アナリストは懐疑的な見方を示している。

BNPパリバの欧州金利ストラテジスト、パトリック・ジャック氏は「流動性は潤沢だが、資金は当座預金にとどまったままだろう」と指摘。状況が変化するには「短期市場だけでなく国債市場や経済も含め、各国の状況が大幅に改善することが必要だ。すべての市場活動が正常化するには長い時間を要する」との見方を示した。

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