for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

米QE3の来月導入に疑問符、円高一服で日本株は堅調

[東京 2日 ロイター] 米連邦公開市場委員会(FOMC)は追加緩和期待をうまくつないだが、市場では9月の量的緩和第3弾(QE3)導入を疑問視する見方も多い。

8月2日、市場では9月の量的緩和第3弾(QE3)導入を疑問視する見方も。写真は昨年、マンハッタンと米国旗(2012年 ロイター/Gary Hershorn)

米連邦準備理事会(FRB)は緩和バイアスを強めたものの、その度合いは軽度。金利低下が過去最低水準まで進んだことで、副作用も懸念されているためだ。米緩和期待の後退で対ドルの円高は一服、日本株は米株安にもかかわらず堅調な展開となっている。

<QE3のハードルは徐々に高く>

7月31日─8月1日に開かれたFOMCでは新たな対策が打ち出されず、米株は下落、ドルは上昇した。景気判断を下方修正したことで追加緩和期待は何とか維持されたが、市場では9月会合でのQE3導入の確率が高まったわけではないとの声も出ている。

「緩和バイアスはやや強まったが、強まり度合いは限定的だった。9月のFOMCでのQE3導入を決め打ちすべきではない」とシティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏は話す。

FOMCは前回6月の声明で「一段の措置を適切に講じる用意がある」としていた部分を今回、「今後入手する経済・金融動向の情報を注視し、物価安定の文脈の中で一段と強い景気回復と持続的な雇用環境の改善を促進するため、必要に応じ追加緩和を実施する」と変更した。チェックポイントを具体的に増やすことで、緩和バイアスを強めたとみられているが、あくまで「必要に応じ」とある。

9月FOMCまでは2回の雇用統計発表があるが、季節調整の歪みがなくなり、底堅い数字が出る可能性もある。大統領選挙も近づくため、政治的にも追加緩和のハードルは高くなる。欧州債務問題は先行き不透明であり、いつ「爆弾」が破裂するかは見通しにくい。「金利低下が進み、金融緩和の効果が薄らぐ中、FRBは緩和カードをできるだけ先延ばししたいはずだ」(国内証券ストラテジスト)と市場は読んでいる。

一方、東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は、FRBが金融緩和の効果や副作用に懸念を持ち始めているとみる。「FRBは、金融緩和が実体経済を刺激し、景気を浮揚する効果について次第に懐疑的になってきている。その一方で、金融緩和の代償や副作用について懸念している。

米国では長期金利が過去最低水準にあることから、追加緩和によって債券市場のバブルを助長し、バブルがはじけるリスクを拡大することに対する心配もあるだろう」と指摘。来月以降に追加緩和策が打ち出されるか否かは微妙な情勢だと話している。

前場の日経平均.N225は反発。FOMCの政策据え置きを嫌気して米株が下落したが、海外時間に対ドルで円が下落したことで国内輸出株を下支えした。ただ米株が下落する中では、海外投資家の買いも鈍く、上値は重い。一方、国債先物は小反落。米国債が売られた流れを引き継いだ。

東京市場のドル/円は78円前半で小動き。輸入企業の買いがドルをサポートする一方、投機筋は戻り売りスタンスだという。

<景気軟調でリスクオンの円安は期待薄か>

米緩和期待の後退は対ドルでの円高圧力の後退につながるが、一転して円安基調に向かうことは容易ではない。リスクオンの円売りに転じるためには景気回復見通しが強まる必要があるが、グローバル景気は依然として先行き不透明であるためだ。

7月米ISM製造業景気指数は49.8と、6月の49.7をわずかに上回ったがエコノミスト予想の50.2には届かず、景気判断の分かれ目となる50も2カ月連続で下回った。新規受注指数はやや改善したものの、依然として50を下回り、雇用指数は2009年12月以来2年半ぶり低水準となった。7月の米ADP民間雇用者数が市場予想を上回るなど悪くないデータもあるが、FRB自身が認めているように、米景気の足取りは重い。

今晩の欧州中央銀行(ECB)理事会への期待感も残っているが、市場ではSMP(証券市場プログラム)などを再開したとしても「本格的な解決策にはつながらないだろう」(みずほ投信投資顧問・投資調査部シニアストラテジストの清水毅氏)と冷めた見方も出ている。

ITCインベストメント・パートナーズのシニアポートフォリオマネージャー、山田拓也氏は「リスクオフの逆回転でリスクオンに向かったように見えるが、投資家は依然慎重だ。欧州経済の落ち込みを金融緩和を進める新興国経済が年後半に回復して穴埋めできるか。それを確認するまでは、金融緩和だけでは本格的なリスクオン相場に転じるのは難しい」と述べている。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 田中志保)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up