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リスク選好モメンタムは一服、消えない米雇用の先行き懸念

[東京 6日 ロイター] 7月米雇用統計の上振れを好感した市場のリスク選好モメンタムは一服。欧米株が上昇し、若干ながら円安が進んだことで日本株も反発したが、ショートカバーを中心とした買いが一巡すると、早くも様子見商状に転じた。

8月6日、7月米雇用統計の上振れを好感した市場のリスク選好モメンタムは一服。6月撮影(2012年 ロイター/Issei Kato)

金利の上昇は小幅で、円安の勢いも止まっている。米ISM製造業指数に見られるように、米製造業の勢いは減速。米4─6月期決算発表では慎重な見通しを示す企業経営者も多く、米雇用の先行きへの懸念は払しょくされていない。

<盛り上がらないリスクオン>

夏休みモードが強くなってきているとはいえ、大きく上振れた米雇用統計を受けたマーケットにしては盛り上がりに欠けた展開となった。日経平均.N225は約1週間ぶりに8700円を回復したが、前場の東証1部売買代金は3900億円と1日当たり9000億円に届かないペース。「先物の買いと現物の戻り売りがせめぎ合っているが、雇用統計を受けた市場の動きは一服している。新たなモメンタムを生むためには次の材料が必要だ」(大手証券トレーダー)という。

7月の米雇用統計は悪くなかった。非農業部門雇用者数が16万3000人増と市場予想の10万人から大きく上振れ、3カ月続いた10万人割れが止まった。「4─6月は暖冬効果の反動や季節調整の歪みで下押しされていた可能性が高かったが、ようやくトレンド付近に回帰してきた」(外資系証券エコノミスト)という。季節調整前のデータでは7月までの1年間で183万人増と、6月までの173万2000人増から約10万人増加している。3日の米ダウ.DJIは200ドルを超える上昇。リスクオフ・ポジションの巻き戻しで円安も進んだ。

だが、米雇用の先行きが楽観できる状況ではないとして、リスクオン・ポジションの構築は進んでいない。「株価の上昇はあくまでショートカバー中心。新規のロングは見えていない」(米系証券)という。

ISM米製造業指数が2カ月連続で判断の分かれ目となる50を割り込むなど米製造業は減速。ISM非製造業指数は小幅上昇したが、雇用指数は約1年ぶりの低水準となっている。米国の4─6月期決算発表でも、欧州の景気減速で米企業経営者の先行き見通しは慎重だった。8.3%に上昇した失業率のベースとなる家計調査では、就業者数が19万5000人減少したほか、労働人口も15万人減少。労働参加率は63.8%から63.7%に低下した。

T&Dアセットマネジメント、チーフエコノミストの神谷尚志氏は「金利や原油価格は低下しているが、貿易加重でみたドルは上昇、欧州経済も悪化している。今後、米経済が改善していくかどうかはドル高が修正されるかがポイント。それには投資家の悲観センチメントが改善することが必要であり、欧州債務問題に明るい兆しが見えることが欠かせない」と話している。

<米追加緩和期待は残り、円高懸念も晴れず>

円安も一服。7月米雇用統計がポジティブ・サプライズとなり、3日のNY市場ではドルが大きく下落したが、週明けの東京外為市場でドル/円は、夏休みを控えた輸出勢の売りに押されるなど上昇の勢いを早くも失っている。米雇用の先行きが依然として不透明であり、くすぶる米追加緩和期待がドル/円の上値を抑えている。

ロイターが3日、プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)16社を対象に実施した調査によると、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第3弾(QE3)を実施する確率63%(予想中央値)となった。実施時期については13社が9月の次回連邦公開市場委員会(FOMC)と予想し、7月6日に行った前回調査の16社中8社から増加した。

また今週8─9日の日銀金融政策決定会合は、前週の米連邦公開市場委員会(FOMC)と欧州中央銀行(ECB)理事会がともに追加策を見送ったため、同じく政策据え置きとの予想が市場では多いが、野村証券の金融市場調査部チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は円高進行のきっかけになる可能性があるとの見方を示す。「海外勢の間では、新審議委員らのハト派色が濃いため、政策のバイアスがハト派に傾くとの期待感がある。こうした期待が裏切られれば、同会合は円高イベントとなる可能性がある」という。

<円債先物は底堅い展開>

リスクオン・ムードの乏しさを示すように円債先物は底堅い展開。午前は質への逃避の巻き戻しが優勢となったが、終盤にかけては短期筋からの買い戻しが入り、下げ幅を縮小させた。10年長期金利も0.740%どまりとなっている。

JPモルガン証券チーフ債券ストラテジストの山脇貴史氏は「2010年、2011年も『年初に景気回復期待が高揚し、春から夏に掛けて失速、秋には過剰な悲観論が後退する』ということを2回繰り返し、2012年も同様の展開となりつつある。就業率も2009年9月からほぼ3年間にわたって58.5%近辺から動いていない。一喜一憂すべき米雇用環境の変化は見られないと落ち着いてみておくべきだろう」と話している。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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