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政局不安でも日経平均は9000円接近、海外勢は巻き戻し優先

[東京 8日 ロイター] 国内政治の不透明感が強まる一方で、日本株は堅調だ。株高・債券安が一段と進み、日経平均は9000円に一時接近。消費増税法案の廃案リスクは高まっているものの、ヘッジファンドなど海外投資家は関心が薄く、欧米の政策期待を背景にしたリスクオフ・ポジションの巻き戻しを優先させているという。

8月8日、国内政治の不透明感が強まる一方で、日本株は堅調だ。写真は東京証券取引所で7月撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)

<日本株にも海外勢のポジション巻き戻しが波及>

これまでの政局とは違う、との指摘もある。「今の世界的なテーマは財政不安。対GDP比で世界一の借金を抱える日本がこれまで低金利を維持できたのは、増税余地があるとみられてきたためだ。その増税ができないということになれば、海外からの評価が変わる可能性もある」(国内証券ストラテジスト)という。

ただ、現時点で海外勢から政治混迷を嫌気した日本株売りは特段観測されていない。8日前場の日経平均は一時、159円高の8962円まで上昇し、約1カ月ぶりの水準を回復した。海外ヘッジファンドの動向に詳しい大手証券の株式トレーダーは「海外勢は日本の政治には期待していないが、増税は必要であり、今回遅れたとしても、いずれ消費税は引き上げられるとの見方が海外勢には多い」と話す。

株式市場には景気圧迫要因になる消費税増税を嫌う投資家も少なくない。このため廃案リスクの高まりをポジティブ材料と受け止める見方もあるが、海外勢はあくまで「日本の政治は何も変わらないと冷めた見方」(米系証券トレーダー)だという。

海外勢が進めているのは、リスクオフ・ポジションの巻き戻しだ。海外では、米国S&P500.SPXが5月以来となる1400台を回復。FTSEユーロファースト300種指数.FTEU3は3月19日以来の高値で終了した。一方、米10年債利回りは7月2日以来となる1.6%前半まで上昇している。

8日前場の東証業種別指数の上昇率をみると、海運、紙パ、鉄鋼など、ここ1カ月でパフォーマンスが悪かったセクターが上位に並んでいる。これらの業種の業績見通しが急速に明るくなったわけではなく、あくまで売り方の買い戻しなど、ポジションの巻き戻しが中心だという。「株価の上昇で、先物に売り方の買い戻しやヘッジ買いなどが入っているようだ」(立花証券・執行役員の平野憲一氏)との指摘もあった。10日にマイナーSQ(特別清算指数)算出を控えており、先物主導の相場展開となっている。

実際、「これといった買い材料がない」(米系証券)との指摘も多い。欧米の政策期待が背景とされるが、要人から対応策に前向きな発言はあっても、何かが決まったわけではない。7月の米雇用統計は上振れたが、ISM製造業指数などは2カ月連続の50割れとなり、先行指標は景気減速を示している。野村証券シニアストラテジストの村山誠氏は「欧州債務問題にはいずれ対応策がとられるとの期待はあるが、米国は財政の崖に対する懸念が残っている。全面的に楽観できる状態ではない」との見方を示している。ショートカバー一巡後に上値を追うエネルギーがあるかは不透明だ。

<円債市場では下値に国内勢の買いも>

株式市場よりも国内政治に敏感な円債市場では、国債先物は続落。中小野党に続いて自民党も、8日午後にも内閣不信任決議案と首相問責決議案を提出する構えを示しており、社会保障と税の一体改革法案の廃案リスクが高まれば「円債はいったん売られるのではないか」(国内証券)との見方が出ている。

10年長期金利は0.810%と約1カ月ぶりの水準に上昇。朝方は、海外勢の先物売りとともに、現物長期・超長期ゾーンに都銀勢のまとまった売りが出たことも地合いを悪化させた。「強気相場でポジションを膨らましてきた都銀勢から、いったんリスクを調整する動きが出ているのではないか」(国内金融機関)とみられている。

もっとも、野田佳彦首相が解散・総選挙を確約することを引き換えに、自民党も法案成立に歩み寄り、最終的に一体改革法案は参院で可決・成立するとの見方が円債市場のメーンシナリオ。仮に廃案リスクが高まったとしても、欧州問題の長期化や世界景気への懸念、日銀の緩和圧力などを背景に「売りっぱなしにはできず、どこかで買い戻さなければならない」(国内金融機関)との声が出ている。

ドイツ証券・チーフ金利ストラテジストの山下周氏は「目先は、国内政局以外に目立った材料もなく、売り材料に乏しい。先週末の米雇用統計が強かったことで、米景気に対する過度な悲観論は後退したが、世界的な景気減速シナリオは変わらないだろう。政策対応の不在期間に当たるうえ、需給環境も良いだろう」として、下値は限定的とみている。

8日の市場では、下値で一部国内勢による現物買いが観測されるなど売買が交錯。本格的な金利上昇局面を迎えたとの見方は少ない。世界の金融市場はリスクオンとリスクオフを繰り返しており、政策期待だけでは本格的なリスクオン相場への転換は難しい。「世界的に金融緩和期待が浮上するなか、株高が持続するかもしれないが、債券も売られにくい。むしろ、欧州問題でネガティブな材料が出てくると、買われる展開もある」(みずほ証券・シニア債券ストラテジストの早乙女輝美氏)という。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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