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日銀「ゼロ回答」でも進まない円高、日米欧中で緩和期待継続

[東京 9日 ロイター] 日銀決定会合は「ゼロ回答」だったが、追加緩和期待は継続し、円高はほとんど進まなかった。米国や欧州でも緩和期待が強まっており、円安方向には進みにくいが、円高一服感が日本株の買い戻しにつながっている。

8月9日、日銀決定会合は「ゼロ回答」だったが、追加緩和期待は継続し、円高はほとんど進まなかった。昨年7月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

生産や小売りなどの中国経済指標も下振れたが、半面で緩和期待を強め、CTA(商品投資顧問業者)などのリスクオフ・ポジションの巻き戻しを依然として後押ししている。

<日銀会合で円高進まず、日経9000円回復>

日銀が8─9日に開催した金融政策決定会合では政策据え置き、札割れ対策も示されない「ゼロ回答」となったが、円高進行は限定的だった。海外勢を中心に緩和期待から円売りポジションを構築していたため、一時的にやや円高に振れたが、売りが一巡すると78円半ばの水準に回帰した。東京株式市場では、後場に一段高となり日経平均.N225は7月6日以来となる9000円大台を一時回復。「日銀が政策据え置きなら円高に振れるとみていた売り方が買い戻しを余儀なくされた」(準大手証券)という。

もともと緩和期待は低かったが、依然として日銀の追加緩和期待が残っていることが、円高の動きを阻止している。決定会合後の市場では「引き続き金融緩和の強化をにおわせる内容もあり、ある意味若干だが、ハト派色を出した感じだ。今後は海外の金融環境を見ながら追加緩和の有無を決めることになるだろう」(みずほインベスターズ証券チーフマーケットエコノミストの落合昂二氏)との声が出ていた。

日銀は輸出と生産の現状判断を下方修正。「今後も資産買い入れ基金の着実な積み上げを通じ間断なく緩和を進めていく」として、現状も強力な金融緩和を推進しており、この先も進めていくことをアピールした。「日銀は緩やかに回復していくという先行きの判断を現時点で変えていない。しかし、生産の弱さが続くとの見方が増えるようだと、追加緩和をやらざるを得ないとの判断に傾く可能性もある」(大和証券・シニアエコノミストの野口麻衣子氏)とみられている。

ただ円高懸念が晴れたわけではなく、日本株の上値には慎重な見方もある。市場関係者は今年も8月末に予定されているバーナンキFRB(米連邦公開市場委員会)議長のジャクソンホール講演を注目。「日本株が出遅れを修正するためには円安が不可欠だが、ジャクソンホールで量的緩和第3弾(QE3)を示唆するような発言があればドル安・円高に振れる可能性があるとして、輸出株の上値は依然として重い」(前出の準大手証券)という。

<中国指標下振れ、金融緩和期待強まる>

現在の世界の金融マーケットを動かすドライバーは金融緩和期待だ。景況感の悪化と引き換えの緩和期待であり、今年春先のような本格的なリスクオンには至っていないが、CTAなど短期筋のリスクオフ・ポジションの巻き戻しを誘発している。「CTAなどが債券をロングにし、株式をショートにしていたポジションを巻き戻している可能性がある」(大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏)という。

9日に発表された7月の中国主要指標も鉱工業生産、小売売上高と市場予想を下回ったが、逆に金融緩和期待を強める内容となり、上海総合指数.SSECは堅調に推移している。6月の電力生産量は前年同月比変わらず、7月は同2.1%増と低い伸びとなるなど、経済指標の数値以上に中国経済が減速しているとの警戒感が市場では強い。

一方、7月の中国消費者物価指数(CPI)が30カ月ぶりの低い伸びとなるなど、金融緩和環境は整っている。楽天経済研究所シニア・マーケットアナリストの土信田雅之氏は「2カ月連続で実施してきた金融緩和効果はまだ表れていないようだ。電力使用量などからみて中国経済はかなり厳しい可能性がある。さらなる金融緩和策が打ち出される可能性は大きい」との見方を示す。

<景気減速と引き換えの緩和期待、円債は底堅い>

一方、短期筋の巻き戻しがあるとはいえ、景況感が改善しないなかでは、円債市場は依然底堅い。日本の6月機械受注は大きく減少した前月の反動増の期待が高かったが、事前予想を下回るなど市場の期待に届かなかった。

機械受注についてみずほ証券・マーケットエコノミストの河上淳氏は「外需の落ち込みが目立ち、米国、欧州、中国といったグローバル経済の減速を確認する内容。企業としても、期初に描いた設備投資計画をそのまま実行に移していいのか、疑心暗鬼になっているのではないか」と分析する。

30日に発表された6月鉱工業生産も予想外のマイナスで期待外れの内容となっており、円債市場では「世界の中でも底堅いとされてきた国内景気だが、海外景気の減速、エコカー補助金の打ち切りの影響など懸念材料も目立ち始め、秋口以降正念場を迎えるのではないか」(国内金融機関)と、依然として景気にネガティブな見方が多い。

野田佳彦首相の解散・総選挙の確約と引き換えに、一体改革の法案成立に向けて自民党も歩み寄り、最終的に一体改革法案は参院で可決成立するとしたのは、市場のメーンシナシオ通りだったが、債券の買い遅れ感が強い投資家にとっては「買いに向けた不透明要因が1つなくなった」(国内証券)として、長期・超長期ゾーンには国内勢の買いが観測された。

今後の焦点は、解散・総選挙の時期だ。「予算関連法案の審議等を勘案すれば、早ければ9月8日の通常国会会期末前に、遅くとも10月ごろの臨時国会での解散の可能性が有力と想定している」(SMBC日興証券チーフ債券ストラテジストの末澤豪謙氏)との見方が出ているが、総選挙の結果次第では、政権交代を含めて政権の枠組みが大きく変わる可能性があるだけに「現時点で解散・総選挙までを織り込むのは不可能」(国内証券)という。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎亜巳)

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