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焦点:中国の海外旅行者急増、拡大続く国内消費市場を反映

[北京 13日 ロイター] 中国の海外旅行者急増は、急激に拡大を続ける同国の消費者層が、今年の成長率が1999年以降で最も低くなりそうなことを心配していないという明確な印と言える。

8月13日、中国の海外旅行者急増は、急激に拡大を続ける同国の消費者層が、今年の成長率が1999年以降で最も低くなりそうなことを心配していないという明確な印と言える。写真は昨年9月、上海で撮影(2012年 ロイター/Carlos Barria)

今年上半期に中国本土から海外旅行に出かけた人は約3900万人で、5年前のほぼ2倍。指導部が成長のけん引役にと期待する消費者の購買力が、想定以上のスピードで高まっている表れだ。

投資家にとっての問題は、「急成長するブルジョワ」が先週発表された指標で明らかになったような外需の低迷が経済に及ぼす悪影響を、完全に打ち消すほど強力なのかどうかという点にある。

市場調査会社ミンテルで上海を拠点に活動するチーフ中国ストラテジスト、ポール・フレンチ氏は、国内経済の状況を知る上で最も純粋な目安は常に消費者の動向だと指摘。「消費者の景況感が良好なら彼らは支出を行うし、景況感が良くなければ支出を取りやめる。海外旅行の際にはより多くのお金を使うという意味で、旅行は格好の指標だ」と話した。

中国における個人消費は10年にわたって2桁の伸びを続けており、7月の小売売上高は前年比13.1%増で、実質ベースの増加率は今年2番目の高さだった。

それでもこれまでのところは、成長率が6四半期連続で減速する事態を食い止めるには力不足となっている。

<より強く、より急速に>

中国の消費者が急速に力強くなりつつある事態は、ジュネーブを本拠とするデジタル・ラグジュアリー・グループが、中国の旅行市場が既に2320億ドル規模に達したと認定していることからもわかる。

国際航空運送協会(IATA)のトニー・タイラー最高経営責任者(CEO)は、中国の1人当たり年間平均所得が1万5000ドルに達すれば、航空業界は10年間でさらに10億人の新規旅客を獲得できると予想した。

IATAによると、世界の航空各社が昨年稼ぎ出した利益総額79億ドルのうち、中国の航空会社が約半分を占めた。また中国の海外旅行件数は2015年までの5年間で8─9%の伸びになるという。

世界銀行は、中国の国民1人当たり所得は現在約5000ドルだが、2030年までに1万6000ドルに増加し、経済活動に占める個人消費の割合も今の50%弱から67%程度まで切り上がるとみている。

<個人消費が痛みを吸収>

中国政府が進める内需シフトは、欧州債務危機を原因とする外需の大幅な落ち込みが経済に及ぼすマイナスの影響を和らげるだろう。

都市部における中間層の台頭によって、日用品の購入が小売売上高増加の原動力になっており、小売売上高全体の41%に達している。シティのアナリストは、この比率が向こう5年で55%まで上がるとみている。

国内の賃金上昇率は過去10年、2桁が続き(政府は2015年までの5年間は最低13%になるよう指令を出している)、証券会社CLSAが名づけた「世界最大の消費ストーリー」を中国にもたらす上で貢献した。

中国の富裕層は高級品部門に現在の推定で25億ドルという新たな市場を生み出し、この市場は2015年までには28億ドルと、日本と米国を抜いて世界最大規模になりそうだ。一方、昨年の中国の年間平均賃金は国営企業が4万2452元(6700ドル)、雇用の75%を占める民間セクターは2万4556元で、2010年の米国(3万9959ドル)にまだ遠く及ばない。

これは中国の消費市場が超富裕層と、可処分所得があまり多くない中間層に二極分化している事情を示している。

アジア開発銀行の中国経済担当責任者、ヨランダ・フェルナンデス・ロメン氏が、中国で自律的に維持可能な消費者層が形成されるのはまだ先だと考えているのは、こうした点が1つの理由だ。

フェルナンデス・ロメン氏は「一般的に、経済において消費が成長をけん引する上で意味のある役割を演じるには、平均的に人口の約70─80%を占めるような幅広い中間層が必要になる」と説明する。

<予想より早く豊かさが到来>

中国政府は、昨年時点で全人口の51%を都市戸籍としているが、その中には2億3000万人程度の農村部から移動してきた、低所得で居住権がなく、ほとんど支出もできない人々が含まれている。フェルナンデス・ロメン氏は、根本的な構造改革によってしか、こうした人々を完全な条件の整った都市消費者に変えることはできないと主張する。

ただ、コンサルタント会社マッキンゼーのアナリストは、多くのエコノミストが予想するよりも豊かさが到来するスピードは速いと見込んでいる。

マッキンゼーによると、2020年までに年間の可処分所得が1万6000─3万4000ドルの範囲である「メーンストリーム」の消費者が1億6700万人になる。これは現在、同じ条件があてはまる1400万人の10倍以上だ。

(Nick Edwards記者)

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