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首相問責で重要法案置き去り、解散めぐり与野党攻防激化

[東京 29日 ロイター] 参議院は29日午後の本会議で、野田佳彦首相に対する問責決議案を野党の賛成多数で可決した。賛成129票、反対91票だった。

8月29日、参議院は、野田首相に対する問責決議案を野党の賛成多数で可決した。写真は昨年6月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

問責決議により、野党は議員立法など一部の法案を除いて審議に応じない方針で、赤字国債の発行を可能とする特例公債法案など重要法案を積み残したまま、今国会は9月8日の会期末まで事実上空転することになる。野田佳彦首相が「近いうち」と表明した衆院解散をめぐって与野党の攻防が激しさを増す。

<3党合意批判の問責に自民賛成、解散先送り論も>

問責決議案は野党7会派がすでに提出していた案を修正し、自民党が賛成に回った。しかし、決議案には3党合意による消費増税法案成立を批判する文言が入っており、公明党は「一体改革に否定的な内容だ」(山口那津男代表)として、採決に加わらなかった。みんなの党の水野賢一参院国対委員長兼幹事長代理は「自民党は私たちの決議案を丸呑みしたかたちで賛成した」としている。

問責決議に法的拘束力はないが、決議後は野党側が政府提出の法案の審議に応じず、28日に衆議院を通過した特例公債法案、選挙制度改革法案のほか、公務員制度改革関連法案、マイナンバー関連法案などその他の重要法案も成立は困難となる。衆議院を通過した法案は継続審議の議決を参議院で得られなければ、審議未了で廃案となる。その場合は、次の臨時国会で改めて法案を提出することとなる。

問責可決を受け、野党は衆院解散に向けて野田政権への攻勢を一気に強める構え。自民党の谷垣禎一総裁は28日、「将棋で言えばもう詰んでいる」として早期解散を求める考えを改めて示した。一方、民主党は「問責は論外だと思うが、出てきた中でやっていく。われわれは国民のため、その一点で9月8日までの会期を全うしていきたい」(城島光力国対委員長)との姿勢。野田佳彦首相も27日、解散までの課題として、社会保障国民会議の立ち上げや経済再生、行政・政治改革を挙げており、直ちに解散に踏み切る考えは示していない。

むしろ、民主党内では、野田首相への問責可決で「3党党首会談を破棄することだ。自公自らが、総理の『近いうち』を反故にする(行為だ)」(前原誠司政調会長、28日会見)との主張も広がっている。問責決議の際の討論でも民主党の武内則男参議院議員が、3党合意に批判する問責に自民党が賛成するなら、「近いうちに」解散するとした3党の合意は無効にせざるを得ないと語っっており、解散先送り論が勢いを増す可能性もある。

これに対して政府側の藤村修官房長官は「今後も3党合意に基づく社会保障と税の一体改革を進めるべきと考えている」と発言している。

<解散なければ臨時国会の審議に影響も、政府は予算抑制策提示へ>

今国会が解散なく閉会した場合、民主党代表選などを経て、10月にも臨時国会が開かれる可能性が高い。その際、10月末には財源が枯渇すると言われる中で、赤字国債発行のための特例公債法案の処理が焦点の一つとなる。

自民党は、臨時国会までに解散がなければ、引き続き国会審議に応じられないとする立場。谷垣総裁は28日、次の臨時国会で野田首相を参議院に迎えないとの声が党内にあることについて「そういう考え方があるのは事実だ。無理からぬ考えだ」としている。谷垣総裁自身、9月の党総裁選を控えて一歩も退けない状況だ。

一方、国会空転で特例公債法案が廃案になる可能性が高まる中、政府は異例の予算執行抑制策の検討に入った。安住淳財務相は28日、予算抑制策について近く提示する考えを示し、「関係法令と照らし合わせ、例外なく、様々なことをやらなければならない」と表明。具体的には、国民生活への影響や緊急性などを考慮し、地方交付税交付金、独立行政法人の運営費交付金、政党交付金などが抑制対象に挙がっており、いずれも特例公債法が成立するまで一部の支払いを遅らせる案が浮上している。抑制策は9月8日の延長国会の会期末前後に閣議決定する見通しだ。

政府・与党は、秋の臨時国会での同法案の成立を期すが、解散含みの流動的な政局の中で、同法案の扱いは「まさにチキンレース」(与党幹部)の様相を呈している。

<首相への問責可決は3人目、ねじれ国会の影響>

首相への問責決議案が可決されるのは2009年7月の麻生太郎首相(当時)に対する決議以来で、3人目。1人目は2008年6月の福田康夫首相(当時)だった。2007年7月の参議院選挙後から2009年8月の衆議院選挙までの間と、2010年7月の参議院選挙後は衆参のねじれ現象が起きており、その状況の下で首相への問責決議が繰り返される事態となっている。

(ロイター日本語ニュース 石田仁志 伊藤純夫;編集 吉瀬邦彦)

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