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焦点:揺れるスマホ業界、ノキアとマイクロソフトに最後のチャンス

[ニューヨーク/シアトル 31日 ロイター] スマートフォン市場で米アップルAAPL.Oの「iPhone(アイフォーン)」と米グーグルGOOG.Oの基本ソフト(OS)「アンドロイド」に大きく水を開けられている米マイクロソフトMSFT.OとノキアNOK1V.HENOK.Nにとって、過去最大の、そして恐らく最後のチャンスが到来している。

8月31日、iPhoneとアンドロイドに大きく水を開けられている米マイクロソフとノキアにとって、過去最大の、そして恐らく最後のチャンスが到来している。写真は6月、台北で撮影(2012年 ロイター/Yi-ting Chung)

ノキアは9月5日、マイクロソフトの最新モバイルOS「ウィンドウズフォン8」を搭載したスマホ「ルミア」新シリーズを発表する。もしこれが消費者に受け入れられなければ、ノキアにとってはゲームセットを意味し、マイクロソフトにとっても深刻な打撃になるとアナリストらは指摘する。

カナコード・ジェニュイティのアナリスト、マイケル・ウォークリー氏は「これは非常にリスクの高い賭けだ」と指摘。「ノキアはウィンドウズにすべてを賭けたが、もし成功しなければ、次のステップは株主にとっての最善策を選択せざるを得なくなるだろう。会社の身売りか主要資産の切り売りも可能性として出てくる」と述べた。

ノキアは過去18カ月で30億ユーロ(約2950億円)を超える営業赤字を計上し、約1万人の人員削減に追い込まれた。2007年のiPhone登場前には50%あったスマホ市場でのシェアは、現在では10%以下に縮小している。

マイクロソフトにとっては、ノキアの新型ルミアが成功すれば、他の端末メーカーや通信キャリアにもウィンドウズフォン8への支持を訴えやすい環境ができる。調査会社ストラテジー・アナリティクスによれば、スマホのOS別市場シェアでは、アンドロイドが68%、アップルが17%なのに対し、ウィンドウズフォンはわずか3.7%にとどまっている。

新型ルミアが登場するタイミングは、アンドロイド勢に動揺が走っている時期と重なる。アップルと韓国サムスン電子005930.KSが争った米カリフォルニア州連邦地裁でのスマホ特許侵害訴訟は先週、陪審団がアップルの一部特許が侵害されたと判断。サムスンのアンドロイド搭載端末が敗訴したことで、訴訟リスクを恐れた端末メーカーが今後ウィンドウズフォン搭載に傾く可能性もある。

マイクロソフトにはスマホ市場攻略の新たな扉が開かれた格好だが、同社は何よりもまず、ユーザーから支持を獲得するのが先決だろう。

<好機かさらなる危機か>

ノキアが新型ルミアをお披露目する9月5日には、グーグル傘下となった米モトローラも新製品を発表する。また、翌6日には米アマゾンAMZN.Oがタブレット端末「キンドル・ファイア」の新機種を発表するとみられ、12日にはアップルが新型iPhoneを発表するとみられている。

ルミアがiPhoneやアンドロイド勢と戦って勝機を見いだすには、何かしら完全に差別化できる部分が必要になる。アレクストラの携帯端末アナリスト、テロ・クイティネン氏は、大胆なデザインや超高品質カメラ、小型プロジェクターなどを差別化要素として挙げている。

また、ウィンドウズフォンの問題の一端は、アプリの少なさにもある。iPhoneとアンドロイド向けアプリが50万本ほど用意されているのに対し、ウィンドウズフォン向けはその5分の1程度しかない。

投資会社マクアダムス・ライト・レーゲンのアナリスト、シド・パラク氏は、アプリを充実させるには「何年もかかる」とし、その点でウィンドウズフォンは「大きく出遅れている」と指摘する。

携帯端末メーカー世界最大手の座をサムスンに明け渡したノキアには、もはや何年もの余裕は残されていないかもしれない。

そのサムスンは29日、ノキアに先駆けてウィンドウズフォン8搭載スマホを世界で初めて発表。カナコードのウォークリー氏は、サムスンはウィンドウズフォン搭載機を大幅に値引きして売り出すと予想している。

サムスン以外にも、台湾のHTC2498.TWや中国の華為技術などがウィンドウズ系端末を手掛けている。しかし、ウィンドウズフォンだけに特化した端末メーカーはノキア1社であり、それだけに同社には、より洗練されたウィンドウズフォン端末を出すことが求められる。

<通信キャリアからの支持>

ノキアがウィンドウズフォン8で成功できるかどうかは、ステファン・エロップ最高経営責任者(CEO)の肩にかかっている。エロップCEOはマイクロソフトの元ビジネス部門トップであり、両社の提携をまとめた人物だ。

エロップ氏にとって追い風なのは、スマホのプラットフォームとしてアンドロイドとiPhone以外の第3極を求める米携帯通信キャリアから支持を得ていること。ベライゾン・ワイヤレスVZ.NVOD.L、スプリント・ネクステルS.N、ドイツテレコムDTEGn.DE傘下のTモバイルUSAはいずれも、ウィンドウズ8を支持するとしており、AT&TT.NはマイクロソフトのOSを搭載したノキア端末を販売すると明らかにしている。

ベライゾンで法人向けスマホ事業を手掛けるビル・バーセン氏は、「企業はウィンドウズをベースにしたプラットフォームをビジネスに使っている。彼らは、ユーザーに受け入れられた方法でマイクロソフトが(スマホを)展開することを待ち続けている」と述べた。

ウィンドウズフォン8は、10月26日にリリースされるパソコン・タブレット端末向け次期OS「ウィンドウズ8」に似ており、アプリ開発業者にとっては両方での開発が容易になる。カレント・アナリシスのアナリスト、アビ・グリーンガート氏は、アプリ開発業者がいずれはアンドロイド向けよりウィンドウズ向けを優先するようになる可能性さえあると指摘する。

ただ、マイクロソフトがスマホ業界でアップルとグーグルの競争相手として認められるには、2013年末までに少なくとも市場シェア10%を獲得することが条件になると前述のウォークリー氏は語っている。

(原文執筆:Sinead Carew記者 Bill Rigby記者、翻訳:宮井伸明、編集:梅川崇)

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