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12年の世界経済見通しを3.3%に下方修正、さらに悪化も=IMF

[東京 9日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は東京での年次総会を控えて新たな世界経済成長見通し(WEO)を発表し、7月の見通しを下方修正した。欧州財政危機の深刻化の影響により世界経済の成長は2012年は3.3%、13年は3.6%に鈍化する見通しで、4月見通しから2度目の下方修正となった。欧州財政危機への対応と米国の「財政の崖」回避がカギを握るとし、もし対応がうまくいかなければ、今回の見通しも一層の下振れを余儀なくされるとした。

10月9日、国際通貨基金は東京での年次総会を控えて新たな世界経済成長見通しを発表し、7月の見通しを下方修正した。写真はマドリードで増税に反対するデモを行う市民ら。7日撮影(2012年 ロイター/Andrea Comas)

世界経済の見通しは、7月時点の見通しでは12年がプラス3.5%、13年がプラス3.9%だったが、現状では欧州危機がさらに世界経済に波及したことなどから下方修正された。

日本については12年の成長率を2.2%と予想。今後、復興活動が縮小していく中で成長ペースは著しく鈍化すると見込んでいる。日本の実質国内総生産(GDP)は12年下半期にゼロ成長となった後、13年上半期には約1%で成長し、その後は一段と加速すると予想している。

<見通し下振れの要因は欧州危機の深刻化など>

世界経済に関しては、経済活動や失業率に関する最近の指標で12年上半期に景気低迷が幅広いベースで深まり、第3・四半期に大きく改善する兆しがないことが示されていると指摘。製造業は世界的に急速に鈍化し、ユーロ圏周辺国の経済活動の落ち込みが特に激しいと分析している。経済活動は米国や英国など、他の国々でも期待外れに終わっており、先進国経済の不振の影響や国内要因で新興市場国や発展途上国の経済活動も阻害されているとしている。そうした影響の波及がコモディティー(商品)価格の下落につながり、コモディティー輸出国の多くを圧迫しているという。

世界経済の成長が再び予測を下回るのは、ユーロ圏債務危機が過去の世界経済見通しで見込んでいたように後退していないことが主因だと指摘。その他の要因としては、金融機関の弱体化、主要先進国における不適切な政策などを挙げた。

さらに、新興市場国および発展途上国の成長鈍化は、高成長ペースの持続を抑制し、金融の不均衡を増大させている国内要因に大半が関連していると分析している。

加えて、IMFのスタッフ調査は、財政の縮小が生産に短期的ながら増幅された、予想よりも大きな悪影響を与えていることを示唆しており、それによって成長鈍化に一定の説明がつくとしている。

<欧米の取り組み次第でさらに悪化も>

今回の見通しでは、二つの重要な政策上の仮定をもとにしており、欧米各国が事前に短期的課題に取り組むことを前提にしている。

一つは、欧州の政策当局の取り組み。この点において、欧州中央銀行(ECB)が自らの役割を果たした今、欧州の政策当局は、銀行同盟の構築および財政統合の深化に向けた確実な道筋を示すとともにそのためにさまざまな措置を採りつつ、欧州安定メカニズム(ESM)の発動に向け取り組みを進めなければならないとしている。

第2に、米国の政策当局によるいわゆる「財政の崖」の回避だ。米国連邦政府が時宜を得たやり方で債務上限を引き上げ、かつ財政の持続可能性の回復のための包括的計画の実現に向け十分に前進することを前提としている。

その上で、双方が実現しなかった場合、このIMF見通しに再び届かない可能性があると指摘した。

大局的に見れば、下振れリスクは一段と増幅し、かつ大きくなっているとも分析。金融市場と一次産品市場のデータから分析すると、先進国の景気が後退し新興市場国および途上国・地域の成長が低調となった場合、世界経済の成長率が2%に達しない可能性が6分の1の確率あるとした。

<慎重な財政政策と著しく緩和的金融環境が必要>

先進国の財政・金融政策にも言及した。過剰債務により発生しうる中期的な見通しへのリスクの軽減には、慎重な財政政策に加え、金融政策での下支えおよび適切な構造改革が不可欠だとしている。

日本については、予定された調整を推し進めるとともに、債務の対GDP比の上昇に歯止めをかけ、かつ減少軌道に乗せるための措置を新たに明示しなければならないと指摘した。

また先進国の金融政策については、先進国でのインフレ率の下落、余剰能力の拡大、および大規模な財政調整を踏まえれば、金利がゼロ下限制約に近づいていることから、非伝統的な措置も含め著しく緩和的な金融環境を維持することが必要だと言えるとしている。

IMFは、ユーロ圏危機の解決策実施には時間がかかり、米国の債務条件ならびに「財政の崖」問題が米景気の回復に懸念を生じさせているため、当面の財政状況は極めて脆弱(ぜいじゃく)にとどまる可能性が高いと指摘。先進国の銀行貸し出しはユーロ圏を中心に低調な状態が続くと予想し、周辺国でさらに貸し出しの減少が見られると指摘している。

一方、新興国市場については、資本フローが不安定化すると見込んでいる。中国のように既に信用の伸びがかなり鈍化している国では、プロジェクトの承認速度が上がって信用も一段と回復するが、その他の国では伸び率は横ばいもしくは下落する公算が大きいとみている。

<経常収支と為替不均衡是正に向けて>

経常収支と為替レートについては、その不均衡是正について指摘した。

世界レベルでは、米国、ユーロ圏全体、および日本の経常収支が、より持続可能な財政政策を講じている場合と比較し、弱くなっていると指摘。さらに、ドル、ユーロおよび円の実質実効為替レートは強くなっているのと対照的に、多くのアジアの国や地域の経常収支は、望ましくない程黒字化しており、これらの国々の為替レートは弱く、やはり望ましくないとした。これは、消費の抑制を引き起こしている歪みを一部反映していると同時に外貨準備の巨額の積み増しも影響していると指摘。為替レートが過小評価されているためだとしている。こうした不均衡解消に向け、経常収支黒字国、特にドイツでは投資の押し上げ、中国では消費促進のためのソーシャル・セーフティネットの改革、その他多くの新興市場国・地域では、外貨準備高の削減が必要としている。

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