for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

ソフトバンクの米スプリント買収が合意に近づく、総額1.6兆円

[ニューヨーク/東京 15日 ロイター] ソフトバンク9984.Tは15日、米携帯電話3位のスプリント・ネクステルS.Nを買収することで同社と大筋で合意した。関係者によると、午後5時にも発表、孫正義社長が東京都内で記者会見する。

10月14日、ソフトバンクが米スプリント・ネクステルの株式70%を約200億ドルで取得する協議が合意に近づいていることが明らかに。都内で2010年2月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

ソフトバンクは、スプリント・ネクステルの株式約70%を約200億ドル(1兆5700億円)で買収し、米国市場に進出する。日本国外に成長の足掛かりを求めるとともに、NTTドコモ9437.Tなど国内のライバルに対して戦いを優位に進める狙い。

関係者によると、ソフトバンクは約80億ドル(6280億円)でスプリント・ネクステルが発行する新株を引き受け、120億ドル(9420億円)相当を既存株主から取得する。スプリントの企業価値は約286億ドル(2兆2450億円)となる計算で、12日の終値にもとづく時価総額を3分の2ほど上回る。

ソフトバンクは今回の買収で巨大な米国の携帯市場に参と入する。スプリントにとっては財務基盤を強化でき、他社を買収する余力が生まれる。また、超高速の第4世代(4G)通信網への投資余力が高まり、AT&TT.NとベライゾンVZ.Nが上位を占める米携帯市場で競争力が増す。市場関係者によると、スプリントはすでに約半数を保有している高速無線通信会社、米クリアワイヤCLWR.Oの残りの株式を取得する可能性もある。

ソフトバンクは日本国内での戦いも優位に進めることが可能になる。iPhone(アイフォーン)を扱うアップルAAPL.Oに対し、契約件数を生かして交渉力を高められる。そのほかの端末の調達や、基地局設置でも、規模の利益を生かしてコスト削減につなげることができる。「バイングパワー(購買力)が増すのは大きい」と、NTTドコモの元幹部は言う。

スプリントの契約数は6月末時点で5600万件超。買収が実現すればソフトバンクのグループ契約数は9000万件に膨らみ、米2位のベライゾンにほぼ並ぶ。

しかし、市場はソフトバンクの財務が悪化することを懸念。12日にスプリント買収のニュースが報じられた翌日、ソフトバンクの株価は急落し、週明け15日も続落している。スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は12日、長期会社格付けと長期優先債券(既発債)の格付けBBBを引き下げる方向でクレジット・ウォッチに指定した。

SMBCフレンド証券投資情報部の中西文行部長は、2006年に英ボーダフォン日本法人の買収を決めたときと同じ市場の反応だと指摘する。当時は買収価格が割高との批判が優勢だったものの、ソフトバンクは先行するNTTドコモとKDDI9433.Tを猛追。時価総額は3兆円の企業に成長した。今回はこれを6兆円に拡大しようとしており、「投資家も孫社長が正しい決断をしていると後で気づくだろう」と、中西氏は言う。

<メガ銀行は緊急融資を決定>

別の関係者によると、主力銀行のみずほコーポレート銀行を含むメガバンク3行などは、ソフトバンクに対し、総額1兆6500億円の緊急融資を決めた。ソフトバンクは借入資金を、スプリントの株式取得資金に充当する。

みずほCBのほか、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行は15日午前までに機関決定を済ませ、融資実行を約束するコミットメントレターをソフトバンクに提出。資金調達にメドが着いたことから、ソフトバンクは買収の正式合意を目指す。融資には、ドイツ銀行も加わる。

当初は、3行が協調して1本の融資のかたちを取るシンジケート・ローンも検討したが、時間的な猶予がないことから、各行が協調しながら個別に融資することになった。当面は、つなぎ融資として実行し、今後、長期融資に切り替える。

<米規制当局の承認も必要に>

スプリントとソフトバンクは、両社とも出資協議をしていることを認めている、スプリントは11日、実現すれば経営権が変わることがあり得るとコメント。ソフトバンク広報は15日朝、協議は継続しているが「現時点で決定した事実はない」とコメントした。

M&A(合併・買収)に詳しい米国の弁護士によると、ソフトバンクのスプリント買収は米司法省や米連邦通信委員会(FCC)など規制当局の承認が必要になるほか、安全保障の観点から、米外国投資委員会(CFIUS)の審査を受けることになる見通し。

日本企業による過去最大の海外企業の買収は、2007年のJT2914.Tによる2兆2133億円(187億ドル)の英ガラハー買収だが、今回の買収はこれに迫る規模になる。ドルベースでは過去最大となる可能性もある。

*内容をさらに追加して再送します。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up