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焦点:ユーロ売りポジションの圧縮は行き過ぎの恐れも

[ロンドン 22日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)がユーロ崩壊を食い止めると宣言して以来、投資家はユーロ下落を見越すポジションを大幅に削減した。今ではユーロ下落のリスクに対して無防備になり過ぎている可能性もある。

10月22日、ECBがユーロ崩壊を食い止めると宣言して以来、投資家はユーロ下落を見越すポジションを大幅に削減した。今ではユーロ下落のリスクに対して無防備になり過ぎている可能性もある。写真はブリュッセルで昨年11月撮影(2012年 ロイター/Francois Lenoir)

ドラギECB総裁が7月末、ユーロを救うために全力を尽くすと宣言し、9月にはユーロ圏周縁国の国債を無制限に買い入れる計画の詳細を示したことで、ユーロ崩壊の懸念が薄れて投資家はユーロ買いを再開した。

しかし一部のアナリストと長期的投資家は、ユーロを取り巻く脅威はなお大きいとし、コストが下がったユーロ下落のプロテクションを今こそ買う機会ではないかと言う。

相場変動の大きさを測るユーロ/ドルのインプライドボラティリティは2008年のリーマンショック前の水準まで下がっている。リスクリバーサルを見ると、ユーロ下落に賭ける取引のプレミアムは先週、過去2年間の最低水準を記録した。

ボラティリティは通常、ユーロが上昇している時に低下する。一部のアナリストは投資家が慢心している兆候だとみている。

実際、ユーロ圏経済の弱さ、アジア経済減速の可能性、米大統領選、米国で増税と歳出削減が同時に起こる「財政の崖」など、なおリスク要因は多いとこれらアナリストは言う。

コンサルタント会社チェックリスクのマネジングパートナー、ニック・ブルマン氏は「ボラティリティと現実世界の出来事が切り離されている」とし、現在のようなボラティリティの低水準は続きそうもないため投資家は「利用すべきだ」と述べた。

<タイミング>

コメルツバンクの通貨調査ヘッド、ウルリヒ・ロイフトマン氏は、現在のボラティリティ水準は「(ユーロ圏)危機の終結を織り込んでいる」と指摘。ボラティリティが上昇すると予想し、顧客に期間12カ月のユーロ/ドルのオプション購入を勧めた。

購入に動く時機を見極めるのは難しい。スペインが救済を要請すればECBによる国債の買い取りが可能になり、ユーロは上昇しそうだからだ。

しかしロイフトマン氏を含む一部のアナリストは、7月に付けた1ユーロ=1.2042ドルの2年来安値から10%以上上昇したユーロが、一段と上昇する可能性は小さいと主張する。

米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、投機筋のユーロのショートポジションは7月半ばにネットで17万枚近くと過去最高に迫ったが、その後急減して10月16日の週には5万3000枚強となった。

これは、投資家がショートポジションを手仕舞うことによるユーロの上昇余地が限られてきた可能性を示している。

クーツのシニア投資アナリスト、ヘンリー・ランカスター氏は、ユーロ圏危機は堂々巡りで、危機、ECBの国債買い入れなどの対応、市場の慢心、緊張の一段の高まり──の繰り返しだと指摘。「ユーロを取り巻く市場心理が反転する地点に近づいている。年初来安値の1.20ドルに向けて再び下落するのは確実だろう」と述べた。

シティの通貨ストラテジスト、バレンティン・マリノフ氏は、スペインの支援要請が遅れればスペイン国債が売られ、ユーロは下がってインプライドボラティリティは上昇すると予想。「ボラティリティが極端に下がっているため、年末にかけてイベントリスクが高まったり経済指標が再び失望を誘い始めるなら、ボラティリティをロングにし始める上で面白い機会になりそうだ」と話した。

<こりごり>

多くの投資家は過去にユーロ下落に賭けて痛手を負ってきたため、今回は慎重だ。昨年末にはユーロ崩壊の懸念からユーロの下落を見越す取引が殺到し、1カ月物リスクリバーサルが4.0vols強と過去最高を更新した。ユーロは1年以内に1.20ドル、1.15ドル、場合によっては1.10ドルまで下落するというのが大方の見方だった。

しかし過去1年間にユーロが1.20ドルを割り込むことはなく、リスクリバーサルは現在、わずかにユーロ安のバイアスを示しているに過ぎない。

ソシエテ・ジェネラルのオプションストラテジスト、オリビエ・コーバー氏は、ECBが周縁国債の買い入れを約束している現在、ユーロの下落を想定するのはリスクが高いと指摘。「ユーロ/ドルの下落に賭けるのは非常に高くつくことが判明し、市場はそうした取引を止めるだろう」と話す。

しかしコメルツバンクのロイフトマン氏によると、極端から極端に振れる間違いを犯してきた投資家は、ユーロの下落を予想するのにこりごりしているのかもしれないという。ロイフトマン氏は「多くの人々が失望してきた。ユーロ危機がユーロに破滅的な影響を及ぼすと予想し続けた挙句、ボラティリティのロングポジションを採るのに疲れただけかもしれない」と語った。

(Jessica Mortimer記者)

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