[東京 14日 ロイター] トヨタ自動車7203.Tは14日、世界で「プリウス」など277万台をリコール(回収・無償修理)することを明らかにした。ハンドル操作ができなくなったり、ハイブリッドシステムの電源が落ちて走行不能になる恐れがある。このうち国内は対象台数が約151万台で、一度のリコールとしては最多となる。
不具合があるのは、ステアリング装置とハイブリッドシステムの電動ウォーターポンプ。ステアリング装置は、ハンドルとギアボックスを連結する部品に強度が不足しているものがあり、低速時にハンドルを強く一杯に切る操作を繰り返すと連結部が摩耗し、ハンドル操作ができなくなる可能性がある。
また、電動ウォーターポンプは電圧変換器(インバーター)の冷却に使われており、最悪の場合、ハイブリッドシステムを動かすための電気が通じなくなって走行不能になるおそれがある。
ドイツ証券の自動車担当アナリスト、カート・サンガー氏は、今回の2つのリコールに関連して発生するコストは「300─400億円程度」と試算。リコール台数は10月発表の743万台より小さいものの、コストは2倍ほどかかるとみられるため「それなりの財務的影響だ」と指摘する。ただ、けが人などが出ていないため「ブランド(イメージ)に関するリスクはあまりないように見受けられる」と言う。
国内での対象は「プリウス」や「カローラ」など13車種。2000年8月から11年12月に製造された151万8098台で、トヨタは同日、国土交通省にリコールを届け出た。計400件程度の不具合の報告があったが、事故は起きていないという。
海外で販売した約125万台についても、各国の規制やルールに則って同様の措置をとる。このうち、米国が67万台、ヨーロッパが49万6000台。
トヨタは2009年から2011年にかけ、世界で1000万台以上のリコールを実施している。2012年も10月に「ヴィッツ」(海外名「ヤリス」)など14車種について、743万台を世界でリコールすることを明らかにした。
(ロイターニュース 杉山健太郎、取材協力:久保田洋子;編集 久保信博)
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