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トンネル事故で公共投資増の思惑も、財源問題あり金利は低位継続

[東京 3日 ロイター] 中央自動車道の笹子トンネル崩落事故をきっかけに公共投資が増額されるのではないかとの思惑が出ている。老朽化が進む日本の道路や橋梁への関心が高まるとみられているためだ。株式市場では建設株や橋梁株が上昇している。

12月3日、中央自動車道の笹子トンネル崩落事故をきっかけに公共投資が増額されるのではないかとの思惑が出ている。老朽化が進む日本の道路や橋梁への関心が高まるとみられているためだ。写真は10月、都内の建設現場で撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)

ただ歳出増の大部分を占める社会保障費の削減は一向に進んでおらず、財源確保は容易ではない。国債増発といった予想に直結しているわけではなく、円債金利は低位で推移している。

<インフラ老朽化で経済下押し懸念も>

週明け30日の国内株式市場では、建設や道路、橋梁セクターが買いを集めた。中央自動車道の笹子トンネル崩落事故をきっかけに、「老朽化が進む道路や橋梁への補修工事が進む」(外資系証券)との見方が強まったためだ。

実際、日本では高度経済成長期を中心に道路や橋梁など社会インフラが大量に整備・蓄積されてきたことから、その老朽化が問題になっている。国土交通白書によると、建設後50年以上経過した道路橋は2010年度は約8%だが、2030年度には約53%に増加。維持管理・更新に従来どおりの費用の支出が継続すると仮定すると、2037年度には維持管理・更新費が投資総額を上回るという。

クレディ・スイス証券のチーフエコノミスト、白川浩道氏は3日付リポートで、中央道復旧には時間がかかり、物流への影響は避けられず、10─12月期GDP(国内総生産)の下押し要因になると指摘。そのうえで、今回の事故について「人口高齢化と並び、社会インフラの老朽化が日本経済の成長制約要因になる可能性があることを示した」と述べている。

総選挙に向けて各党からの政策が出そろったが、市場では「老朽化が進む道路や橋梁の補修は急務だ。公共投資は悪のように一時言われていたが、日本経済に必要な投資は減らすべきではない」(国内投信ファンドマネージャー)と公共投資増額に期待を寄せる声も少なくない。

<財源乏しく大規模化予想は少数>

ただ個別の対応が進んだとしても、公共投資全体が大きく増加するとの予想はまだ広がっていない。社会保障費が毎年増加するなかで、財源確保は容易ではなく、「大規模な財政出動は現実的ではない」(国内証券)との見方が根強いためだ。自民党は「国土強靭化」を政権公約に掲げたが、10年で200兆円といった数値目標は盛り込まれなかった。

「公共投資はそれなりに増加しそうだが、国債が大規模増発されるような事態にはならないというシナリオが崩れたわけではない。少しでも短期金利とのスプレッドが開けば長期債を買いたいという投資家は多い」とりそな銀行・総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏は話す。

午前の円債市場で、長期金利は前日比0.5ベーシスポイント上昇の0.710%。前週末に9年5カ月ぶりに節目の0.7%を割り込み、高値への警戒感も出たことで、あすの10年債入札を前に調整地合いとなったが、依然として低位の金利水準で推移している。

<円安と日本株高は一服>

公共投資関連で個別株の動きは強まったが、日経平均自体は小幅高水準でのもみあい。心理的節目の9500円を約7カ月ぶりに一時上回ったものの、利益確定売りも多く伸び悩んだ。「短期資金とみられる円安連動の買いが日経先物に入り節目を突破したが、追随の買いは見られない」(外資系証券トレーダー)という。円安も一服し、売買代金も細り気味と、市場全体が上値を追うエネルギーはやや低下している。

ドル/円は82円前半で一進一退とこう着感が強くなっている。11月27日時点のシカゴIMM非商業部門主要6通貨のポジションで、投機筋の円のネットショートポジションが7万9000枚とリーマン・ショック後の最高水準を更新したことが明らかになったが、ピークは近いとの見方も出ている。

みずほ証券マーケットエコノミスト河上淳氏は、このところはドル/円の上昇ペースが緩やかになっていると指摘。11月27日前後がピークとなることも想定されると話す。「安倍晋三自民党総裁の発言を材料視する『安倍相場』が終わり、今後は米国の『財政の崖』への対応や雇用統計などの重要経済指標の結果を見極める時間帯となっていく」と予想している。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 吉瀬邦彦)

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